FCE Research Memo(7):Robo-Pat DX、Smart Boardingが好調で実質2ケタ増収増益
■業績動向
1. 2023年9月期第2四半期業績
FCE Holdings<9564>の2023年9月期第2四半期の業績は、売上高2,124百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益412百万円(同21.3%増)、経常利益397百万円(同15.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益261百万円(同18.9%増)となった。通期計画に対する進捗率は売上高で52.3%、営業利益で71.3%だが、後述するように季節要因で第2四半期の利益構成比が高くなる傾向があり、想定に対しても若干上回って推移したようだ。なお、前期第2四半期の業績は決算短信では非公表だが、決算説明資料に開示された数値を使用して増減率を計算した。
日本経済は、各種政策により新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が縮小していく一方、ウクライナ情勢に端を発する原材料高、世界的な金融資本市場の変動、円安などにより不透明な状態が続いた。DX推進事業に関連する業界は、リモートワークや出社を問わず、働き方改革を背景とする自動化や生産性改善に対するニーズが続いており、同社にとって引き続き良好な環境にある。教育研修事業においては、研修業界でeラーニングへのニーズが拡大、教育業界では、文部科学省の掲げる「GIGAスクール構想」を背景に学校のICT環境の整備・強化が持続的に進んだ。こうした環境下で同社は、「チャレンジあふれる未来をつくる」という経営理念のもと、事業の拡大と収益性の向上に取り組んだ。その結果、ストック型のビジネスが拡大、粗利ミックスが改善し、増収増益につながった。2022年1月に売却した学習塾運営事業の影響を除くと売上高は13.0%増、さらに上場関連の一時的な費用の影響も除くと経常利益は25.0%増となり、実質的には2ケタの増収増益だったと言える。なお例年、第2四半期(1月~3月)にフォーサイト手帳の売上・利益が計上されることから、第2四半期3ヶ月の業績が突出して大きくなる傾向がある。
第2四半期のセグメント別業績は、DX推進事業が売上高1,018百万円(前年同期比20.3%増)、調整前セグメント利益200百万円、教育研修事業が売上高1,025百万円(同0.3%増)、調整前セグメント利益163百万円となった。なお、前2022年9月期第2四半期のセグメント別業績は決算短信では非公表だが、決算説明資料に開示された数値を使用して売上高のみ増減率を計算した。
DX推進事業では、「Robo-Pat DX」が、現場の業務フローと必要な機能を追究し、継続的に改善を重ねた一方で、さらなる事業拡大に向けた広告宣伝などを積極投入した。また、顧客の現場で業務にあたりながらRPAを使いこなすことができる人財(または同社のファン)を厚くするため、「ロボパットマスター認定プログラム」の受講者数増加を推進した。こうした施策により中期戦略における顧客間の横展開や税理士事務所との連携が順調に進んできたようだ。さらに、「kintone」を提供しているサイボウズのオフィシャルプロダクトパートナーに認定されたことで、ツール間の連携もより深まってきた。地方展開に関しては、あおもり創生パートナーズ社との提携のような動きが各地で広がり始めている。この結果、登録者数の加速・拡大に弾みがついたようで、2023年9月期第2四半期末時点の導入社数は1,107社(前年同期末比169社増)と好調に推移した。
教育研修事業の研修事業においては、「Smart Boarding」がeラーニング市場の成長を背景に、2023年9月期第2四半期末時点の導入社数が523社(前年同期第2四半期末比143社増)と、引き続き導入社数を伸ばすことができた。教育事業は、2022年1月の学習塾運営事業売却により減収・減益となったが、その影響を除くと実質増収となっている。その他の事業は堅調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ