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8798 アドバンスクリエイト

東証P
692円
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22:34 11/22
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時価総額 159億円
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アドバンクリエ Research Memo(8):2023年9月期は保険代理店事業の成長により2ケタ増収増益見込む(1)


■今後の見通し

1. 2023年9月期の業績見通し
アドバンスクリエイト<8798>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比26.9%増の15,050百万円、営業利益で同43.1%増の2,950百万円、経常利益で同39.0%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同29.6%増の1,700百万円と期初計画から若干下方修正した。前述したとおり、円安を背景とした外貨建て保険商品等の解約による影響や、再保険事業の収益が悪化したことなどを考慮した。ただ、保険代理店事業では売上の先行指標となるアポイント数が前年比2ケタ増ペースで増加し、コールセンター部門のコスト抑制やオンライン接客等も含めた生産性向上が見込まれること、再保険事業も「みなし入院給付金」の終了に伴い損益改善が見込まれることから、下期以降収益成長が加速するという従来の計画に変わりない。

(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の月次動向を見ると、2023年4月は申込ANPで前年同月比2%減と8ヶ月ぶりにマイナスに転じた。2023年9月期はコロナ禍による行動制限がなくなったため大型連休を前に消費性向が高まり、逆に保険ニーズが減退したことが要因と見られる。販売チャネル別で見ると、対面販売が同12%減と減少したものの、提携代理店が同19%増、非対面販売(生命保険のみ)が同14%増といずれも2ケタ増となった。損害保険を含めると非対面販売はもう少し高い伸びになっていると思われる。自動車保険新規申込件数については、前年同月の約800件に対して約2,200件と大幅増となり過去最高を更新した。2023年5月以降も高成長が続く見通しだ。

アポイント取得数については約1万件と1月の約1.1万件をピークにやや減少しているものの、前年同月比では2割増と2ケタ増ペースが続いている。5月は1.1万件まで回復するペースとなっており、6月以降も右肩上がりの増加を見込んでおり、つれて申込ANPも増加していく見通しとなっている。一方、PV収入については前年同月比10%減と2ヶ月連続で減少した。申込ANPとのギャップは外貨建て保険商品の解約によるもので、今後も円安傾向が続いた場合は影響が長引く可能性もある(下期の為替水準は1米ドル130円台半ばの水準が続くことを前提)。

同社は、「アポイント×稼働率×人財」と売上高を構成する3要素をそれぞれ強化することで高成長を目指す考えだ。アポイント数の獲得件数については同社が保有する見込み顧客リストに対して、IT活用による最適なマーケティングプロモーションを行い、増加する問い合わせに対してコールセンター部門の増員を図ったことで、2022年夏以降前年同月比2ケタ増ペースで伸び続けてきた。アポイント獲得経路についても以前は8割以上が電話による獲得であったが、直近ではデジタル(テキストコミュニケーション、アバター等)による獲得が3割以上にまで上昇しており、アポイント獲得コスト(コールセンター部門のコスト)の抑制に寄与しているだけでなく、ANPの増加にもつながっている(デジタルアポイントの申込ANPはアナログ比で1.4倍)。このため第3四半期以降は一段とデジタルによる獲得に注力する方針としている。

見込み顧客リストについては保険会社等からのリスト提供のほかに、スリーピングジャイアントを活用している。スリーピングジャイアントとは、「folder」のダウンロード者(16万人)や、LINE公式アカウントの友だち(115万人)、メールアドレス登録者(150万人)のことを指す。重複する部分もあるが、これら登録者に対してマーケティングオートメーションツール等も使いながら、最適なタイミングで最適な情報を最適な手段で配信することで、アポイントの獲得機会を増やしている。成約件数を伸ばすためにはアポイントを獲得することが重要であり、今後もこれらの手法を駆使してアポイントの獲得件数を増やす方針だ。

稼働率については、オンライン面談比率の増加によって直営店1人当たりの月間面談件数が2023年9月期第2四半期で約47件(オンライン面談の比率は約5割)と10年前と比較して約2倍に増加した。同社は面談件数をさらに増やしていくことも可能と見ている。現状はまだ社員間でITリテラシーに差があるため面談件数にもバラつきがあるが、若手社員の採用・育成を強化することで、全体の底上げは可能だろう。

なお、アポイント取得1件当たりの成約率については、面談キャンセル率がオンライン面談のほうがやや高いため、まだ実面談の成約率の方が高い状況にある。ただしオンライン面談は時間効率が良いため、時間当たりの生産性においては実面談を上回っている。面談種類別の世帯単価では、実面談に対してオンライン面談は2~3割低い水準となっているが、コンサルタント指名の場合は逆に実面談より1.2倍となり、さらにアバター面談の場合は1.5倍になっている。オンライン面談のうちコンサルタント指名予約等の比率は全体の1割程度にすぎないが、今後これらの比率を上げることで売上高の拡大につなげていく。現時点ではアバターで相談から契約締結まで完結できる保険商品が限られるため、コンサルタントすべてがアバターに置き換わることはないが、将来的に法改正によりアバターが販売可能な保険商品の範囲が広がれば、アバターによる保険販売の比重が高まるものと予想される。業界に先駆けてノウハウを蓄積している同社にとってはシェア拡大の好機にもなると弊社では見ている。

人財については現在約120名のコンサルタントを200名まで増員する方針を掲げており、新卒・中途社員を含めた採用を積極化している。2022年10月から2023年5月までの採用者数は新卒で40名(前年比13名増)、中途で25名(同19名増)となり、2024年春の新卒採用は100名を予定している。同社は2022年に福岡証券取引所と札幌証券取引所に株式上場したが、もともと現地での認知度向上による顧客獲得だけでなく採用力の強化も目的の1つであった。実際、現地での応募者数も増えているようで株式重複上場の効果が出ているものと見られる。同社は入社後に集合研修とOJT研修による即戦力化を図っており、直営店1人当たりの月間売上高も2023年9月期第2四半期は前年同期比約3割増となるなど、育成強化に取り組んでいる効果も出始めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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