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安全神話崩れるニッポン列島、「監視カメラ」関連株に勇躍の刻 <株探トップ特集>


―凶悪事件相次ぎ思惑買いを刺激、いまそこにある危機を予防せよ―

 凶悪な事件が多発するなか、「監視カメラ」関連株に向けられる視線は熱い。年初には東京都狛江市で高齢女性が殺害されるなど、広域強盗事件が相次ぎ発生。こうした悲惨な事件が関連銘柄の株価を刺激する格好だが、犯罪の影が身近になる状況で防犯意識も高まっており、更なる監視カメラ市場の拡大が予想される。関連株の動きも一時に比べある程度落ち着きを取り戻しており、こうした時だからこそ関連する銘柄を冷静にウオッチしておくことが肝要と言えそうだ。改めて監視カメラ関連株に注目してみた。

●迷惑行為検知に乗り出すダイワ通信

 昨年7月8日、奈良市で街頭演説をしていた安倍晋三元首相が銃撃され日本列島を震撼させた。テレビに映し出された、銃撃シーンの映像が大きな衝撃をもって受け止められたことは記憶に新しい。安倍元首相が凶弾に倒れたその日は、銃撃が伝わると監視カメラ関連株の一角が急動意した。また、狛江市の事件をはじめ、同一の犯人グループによるものとみられる強盗被害が全国で発生したことで、ここでも監視カメラ関連株に注目が集まった経緯がある。

 また最近では、回転ずし大手のスシローを始めとする飲食店内での迷惑行為が相次ぎ、店内の監視カメラ設置が進むとの思惑から関連銘柄が物色された。こうしたなか、今月6日の取引終了後にダイワ通信 <7116> [東証S]が迷惑行為検知AIカメラシステムの企画開発に着手することを発表。同社では、回転ずし店舗での迷惑行為を撮影した動画をSNSに投稿する問題が相次いでいることを受けての対応で、実証実験を行い画像認識及び行動分析機能を用いた通知システムの企画開発を進めるという。

 このタイムリーともいえる発表を受けた7日、同社株は思惑買いを誘いストップ高に。その翌日も余勢を駆って一時2515円まで買われ高値をつけたが、現在は調整し1650円できょうの取引を終えている。同社は昨年12月にスタンダード市場に上場したニューフェース。防犯・監視カメラの企画・販売・施工・保守などセキュリティー事業を展開するだけに、今後折に触れて投資家の視線を集めることになりそうだ。

●用途広がり市場規模は拡大続く

 凶悪な事件が発生するたびに急動意する傾向が強い監視カメラ関連株だが、安全・安心が脅かされるなか急速にニーズが拡大しているのも事実だ。市場調査の富士経済が発表した「セキュリティ関連の国内市場を調査」でも市場規模の拡大を予想。このなか「監視カメラシステム分野は、半導体不足などにより一部の機器生産が影響を受けているものの、需要は堅調」とし、監視カメラシステムでは2021年比で26年には18.9%増の1278億円に拡大すると予測している。

 更に「従来は防犯目的が主軸であったが、近年は製造現場での作業効率化や事故防止対策、災害対応、省人化対応などでAI/画像解析技術が活用されている」と指摘し、監視カメラの用途拡大にも注目している。

 監視カメラ関連株に関心が高まるが、業績はまだら模様だ。前述の富士経済の調査でも指摘しているが、世界的な半導体不足の影響は監視カメラ業界にも影を落とす。ただ、これも次第に改善されてきており、今後は業績面をカバーすることが予想される。

●セーフィー、じわり調整一巡感も

 クラウド型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」の開発・運営を手掛けるセーフィー <4375> [東証G]は、防犯ニーズを捉え注目を集める一社だ。Safieは高画質・安価なうえ、誰でも簡単にスマートフォンやパソコンで使える監視カメラサービスだが、防犯という用途にとどまらず遠隔地の現場の見える化や、複数の現場や店舗の一括管理など幅広い分野で活用されている点もポイントだ。今月17日には、新潟県村上市と、映像データを活用することで災害現場の迅速かつ正確な把握を目指し、「災害時における映像資機材等の供給支援に関する協定」を締結するなど活躍の舞台を着実に広げている。業績面では連結営業損益で赤字が続くが、23年12月期通期は赤字幅が縮小する見通し。株価は2月16日に直近高値をつけた後は調整しているが、じわり調整一巡感も。

●セキュアは導入社数が8000社突破

 セキュア <4264> [東証G]にも投資家の視線は熱い。同社は2月16日取引終了後、人工知能(AI)を活用した店舗ソリューションを開発・提供する米スタートアップと無人店舗ソリューションの展開に向けて業務提携したと発表し、これを受けて翌17日にはストップ高に。更に、20日には提供している監視カメラシステム、入退室管理システムなどのセキュリティソリューションの累計導入社数が8000社を突破したと公表したことで、2営業日連続のストップ高となるなど注目度の高さを見せつけた。株価はその後に調整が入るも、ここにきて再浮上の気配をみせている。22年12月期通期の連結営業損益は1億6900万円の赤字に転落したが、23年12月期は1億円の黒字に回復する見込みだ。

●東名は「オフィスカメラ119」で頭角

 東名 <4439> [東証P]は昨年10月、遠隔からの店舗・事務所の監視、モニタリングを目的としたクラウド対応ネットワークカメラのレンタルサービスで「オフィスカメラ119」の提供を開始した。非接触・非対面で店舗などを管理することができるため、臨店・店舗巡回のコスト削減目的での導入需要が増加しているという。同社は、法人向け光回線サービスの提供、情報通信機器・環境商材販売や電力小売も手掛けるが、監視カメラ関連株の一角としても頭角を現しそうだ。業績も好調で、1月13日に発表した23年8月期第1四半期(22年9-11月)連結決算は、営業損益が4億7000万円(前年同期2000万円の赤字)と大きく黒字転換し、第1四半期として過去最高を更新した。電力小売販売「オフィスでんき119」が新規獲得件数を着実に積み上げ、収益フェーズに入ったことが牽引した。通期業績は、営業利益13億6000万円(前期比4.1倍)を計画している。株価は上場来高値圏を舞うが、今月15日に2644円まで買われた後は上昇一服となっている。

●タムロン、監視カメラ用レンズでニーズ捉える

 レンズ専業大手で監視カメラ用レンズにも注力するタムロン <7740> [東証P]にも目を向けてみたい。同社の23年12月期は、営業利益段階で前期比4.2%増の115億円を計画し、2期連続で過去最高益を更新する見通しだ。資源高や半導体不足の影響はあるものの、足もとでは緩和の動きが見られるだけに、株価は上値の重い展開が続くが注目は怠れない。監視やFA/マシンビジョン用レンズは、中国市場のゼロコロナ政策の長期化により開発の停滞や販売低迷が生じたものの、先進国で販売が好調に推移。高解像度かつコンパクトなマシンビジョン用単焦点レンズシリーズの発売など、多様化する用途に応じたラインアップ強化を図っている点も見逃せない。

●オプテクスGは補助投光器で輝き増す

 オプテックスグループ <6914> [東証P]にも注目してみたい。防犯用、自動ドアなど各種センサー大手で、防犯意識が高まる状況で活躍期待が高まっている。監視カメラの用途が拡大するなか、同社は夜間の撮影に最適な監視カメラ用補助投光器を手掛けており、暗闇における鮮明な映像の取得を可能にしている。グループのオプテックスは、昨年10月に「テロ対策特殊装備展(SEECAT)'22」に出展しており、ハイレベルな警戒が必要な場所に最適なセキュリティーを提案している。このなか監視カメラの強化とともに補助投光器の重要性を説いている。大規模重要施設などのセキュリティー対策も求められるなか、オプテクスGの活躍領域は一段と広がりをみせそうだ。23年12月期は営業利益で前期比19%増の75億円を見込んでおり、2期連続となる過去最高益を更新する見通しだ。

 また、株価が高値圏で頑強展開を続ける高千穂交易 <2676> [東証P]からも目が離せない。2月7日に発表した23年3月期第3四半期累計(22年4-12月)の連結経常利益が、前年同期比57.3%増の11億7300万円に拡大し、通期計画15億円に対する進捗率が78%に達している。そのほかの関連銘柄では、TOA <6809> [東証P]、あい ホールディングス <3076> [東証P]、図研エルミック <4770> [東証S]にも目を配っておきたい。

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