来週の株式相場に向けて=急伸後の反動安は続くか、米SVB株の下落が波紋呼ぶ
10日の日経平均株価は前日比479円安と6日ぶりに大幅反落し、2万8100円台まで値を下げた。前日のNYダウが543ドル安と急落したことが響いた。日経平均は前日まで5日続伸し、この間の上昇幅は1000円を超えており、25日移動平均線ベースの騰落レシオも130%超となっていただけにやや過熱感もあり調整が入るのは当然と言えるが、この間の上昇幅の4割強をきょう1日で失っただけに厳しい下げとなった。
9日の米国市場では日本では馴染みのない銀行持ち株会社、SVBファイナンシャルグループ<SIVB>の株価急落が波紋を呼んだ。同社は金利上昇による業績悪化などが懸念された。先行きに対する不透明感が高まるなかでの銀行の経営悪化となると思わず身構えてしまうが、「現在は金融危機が起こるような状況ではない」(アナリスト)という。むしろ、SVBはベンチャーキャピタルなどとの取引が強く、「IT関連など新興テック企業の資金調達に関する影響が大きいのではないか」(同)とみられている。となると、震源は米金利上昇となり米金融政策の行方に戻る。
今晩の米2月雇用統計、そして14日の同消費者物価指数(CPI)の結果次第では、米銀行株や大手テック株の下落が続き、21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで調整局面が続くこともあり得る。
ただ、東京市場ではバリュー株のウエートが高いTOPIXが、今週昨年来高値を更新するなど相場は底堅い。大規模な自社株買いを発表した大日本印刷<7912>が上昇基調を強め、決算とともに増配と自社株買いを発表した積水ハウス<1928>が1989年以来、約34年ぶりに上場来高値を更新するなど、異次元の相場に入っている。やはりいったん調整があってもバリュー株の上昇基調は続きそうだ。
来週は前出の米CPIのほか、15日の米2月小売売上高や同生産者物価指数(PPI)、17日の米3月ミシガン大学消費者マインド指数などへの関心が高い。同じく15日の中国2月小売売上高や16日の欧州中央銀行(ECB)理事会も注目される。日本では15日に1月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表されるほか、同日に2月訪日外客数が公表される。週初の13日からはマスク着用が個人の判断に委ねられる。14日には神戸物産<3038>の決算発表がある。来週の日経平均株価の予想レンジは、2万7700~2万8400円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
9日の米国市場では日本では馴染みのない銀行持ち株会社、SVBファイナンシャルグループ<SIVB>の株価急落が波紋を呼んだ。同社は金利上昇による業績悪化などが懸念された。先行きに対する不透明感が高まるなかでの銀行の経営悪化となると思わず身構えてしまうが、「現在は金融危機が起こるような状況ではない」(アナリスト)という。むしろ、SVBはベンチャーキャピタルなどとの取引が強く、「IT関連など新興テック企業の資金調達に関する影響が大きいのではないか」(同)とみられている。となると、震源は米金利上昇となり米金融政策の行方に戻る。
今晩の米2月雇用統計、そして14日の同消費者物価指数(CPI)の結果次第では、米銀行株や大手テック株の下落が続き、21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで調整局面が続くこともあり得る。
ただ、東京市場ではバリュー株のウエートが高いTOPIXが、今週昨年来高値を更新するなど相場は底堅い。大規模な自社株買いを発表した大日本印刷<7912>が上昇基調を強め、決算とともに増配と自社株買いを発表した積水ハウス<1928>が1989年以来、約34年ぶりに上場来高値を更新するなど、異次元の相場に入っている。やはりいったん調整があってもバリュー株の上昇基調は続きそうだ。
来週は前出の米CPIのほか、15日の米2月小売売上高や同生産者物価指数(PPI)、17日の米3月ミシガン大学消費者マインド指数などへの関心が高い。同じく15日の中国2月小売売上高や16日の欧州中央銀行(ECB)理事会も注目される。日本では15日に1月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表されるほか、同日に2月訪日外客数が公表される。週初の13日からはマスク着用が個人の判断に委ねられる。14日には神戸物産<3038>の決算発表がある。来週の日経平均株価の予想レンジは、2万7700~2万8400円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS