タナベ Research Memo(11):2023年3月期の1株当たり配当金は2期連続増配予定
■株主還元策
タナベコンサルティンググループ<9644>は株主還元策として、2022年3月期以降は総還元性向で50%を目安とし、成長投資を実行しつつ、配当だけでなく自己株式取得等も含めて多様な株主還元を実施していく方針とした。2023年3月期の1株当たり配当金は期初段階で前期比1.0円増配の24.0円を予定していたが、業績状況や財務状況を鑑みてさらに2.0円増配し26.0円(配当性向61.9%)に引き上げることを2022年9月に発表した。配当利回りは12月7日終値(646円)ベースで4.0%となる。同社では今後も業績計画を着実に達成していくことで、増配を継続していくことを目標としている。
また、同社は2022年4月の東証市場再編に伴いプライム市場に移行したが、移行基準日時点(2021年6月30日)において、当該市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額と1日平均売買代金について基準を充足しておらず※、今後同基準をクリアすべく取り組みを進めている。流通株式時価総額については、中期経営計画を達成することに加え、売買回転率の引き上げに取り組むことで基準をクリアしていく方針だ。一方、1日平均売買代金を引き上げていくための施策としては、売買回転率及び認知度の向上に取り組んでいる。売買回転率向上に向けては、2022年3月期に株主優待制度の廃止と廃止に伴う増配(持株数に応じた株主還元)、中間配当の導入(利益還元の機会の充実)、株式分割(1:2)、非流通株式所有者に対する流動化交渉を実施したほか、2023年3月期は自己株式の有効活用として取締役・従業員向けに譲渡制限付株式報酬を導入する予定となっている(2022年9月末時点の自己株式保有比率は2.0%、353千株)。認知度向上に向けては、SNSを活用したIR情報の積極的な発信、戦略PR活動(広報・広告等)に取り組んでいるほか、2023年3月期には新たに適時開示資料や決算資料などの英語版作成や、決算説明会の迅速な書き起こし記事(日本語版、英語版)を作成するなどIRの充実を図っている。
※流通株式時価総額については100億円の基準に対して81.1億円、1日平均売買代金については0.2億円に対して0.06億円だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《YI》
提供:フィスコ