タナベ Research Memo(1):戦略策定からマネジメント実装・オペレーションまでを一気通貫で支援
■要約
タナベコンサルティンググループ<9644>は、今年創業66年を迎える日本の経営コンサルティングのパイオニアであり、経営ミッションとして「ファーストコールカンパニー100年先も一番に選ばれる会社へ、決断を。」を掲げている。顧客企業の専門化・多様化している経営課題に対して、戦略策定(上流)からデジタル技術も駆使した現場におけるマネジメント実装・オペレーション(中流~下流)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンを全国地域密着で構築していること、トップマネジメント(経営者層)アプローチにより顧客基盤の拡大かつ長期契約を実現していることが特徴であり、強みとなっている。
2022年10月1日に純粋持株会社体制へ移行するとともに、商号を株式会社タナベコンサルティンググループに変更して東京証券取引所(以下、東証)プライム市場への上場を継続している。同社が営んでいた経営コンサルティング全事業は100%出資の新設会社、(株)タナベコンサルティングに承継した。また、2019年10月にBtoB企業を対象に営業のデジタルシフト支援を行う(株)リーディング・ソリューション、2021年1月にクロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門に対してBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)・ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)等のDX支援を行うグローウィン・パートナーズ(株)、2021年12月にブランディング、CX(カスタマーエクスペリエンス)デザイン、マーケティングDX支援等を行う(株)ジェイスリーをグループ会社化しており、コンサルティングメニューの拡充と相互送客を行うことでシナジー効果を高めている。また、2023年2月に外資系を含む大企業に対する戦略PR、海外PR及びデジタルマーケティングの戦略立案・運用支援を強みとする(株)カーツメディアワークスと資本業務提携することを発表している。
1. 2023年3月期第2四半期累計業績の概要
2023年3月期第2四半期累計(2022年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比18.7%増の5,386百万円、営業利益で同102.9%増の601百万円と過去最高を更新し、会社計画(売上高5,015百万円、営業利益300百万円)を上回る好決算となった。売上高はグループ会社とのシナジーにより、多様なコンサルティングニーズに対応できるようになったことで新規顧客の開拓が進んだほか、1社あたりの売上規模も大きくなったことが増収増益要因となった。5つの経営コンサルティング領域(ストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランディング&マーケティング)すべてで2ケタ増収を達成し、特に上場大企業や中堅企業、自治体からの引き合いが増加した。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期業績見通しについては第2四半期までの進捗状況を踏まえて、売上高で前期比10.7%増の11,700百万円、営業利益で同24.1%増の1,150百万円と期初計画(売上高11,250百万円、営業利益1,015百万円)から上方修正した。第3四半期に純粋持株会社体制への移行及び65周年記念等に係るブランディング・プロモーション投資のほか、人材投資も加速していく計画となっているが増収効果で吸収する。景気の先行き不透明感が強まっているものの、足元の引き合いについては引き続き活発な状況が続いている模様で、計画達成は可能と見られる。
3. 中期経営計画
同社は中期経営計画の業績目標として、2026年3月期に売上高150億円、営業利益18億円を掲げている。経営コンサルティングの上流(戦略策定)から中流・下流(デジタル技術も駆使した現場におけるマネジメント実装・オペレーション)までを一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンと、全国主要10都市に事業拠点を置き地域密着型サービスを提供できる強みを生かして、5つの経営コンサルティング領域すべてで拡大を目指していく。特に、需要が旺盛なDX領域においてはM&A戦略でさらに強化していくことで成長を加速していく考えだ。また、人材採用についてもキャリア採用を中心に強化していく方針で、2022年9月末時点の519名から2026年3月期には800名まで拡大していく。M&Aによるシナジー効果も業績面で顕在化し始めていることから、今後も収益成長を加速し中期業績目標を達成する可能性は十分あると弊社では見ている。
■Key Points
・企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンを強みに成長を続ける
・2023年3月期第2四半期累計業績はすべての経営コンサルティング領域が2ケタ増と好調、期初計画を上回る増収増益を達成
・2023年3月期業績を上方修正し、売上高は過去最高を更新見通し
・2026年3月期売上高150億円、営業利益18億円の目標達成に向け順調な進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《YI》
提供:フィスコ