アイモバイル---創業者2名と市場から約3%の自己株式を取得
アイモバイル<6535>は21日、同日開催の取締役会において自己株式の取得を決議したと発表した。取得する株式の総数は650,000株、取得価額の総額は10億円を予定している。これは、同社の発行済株式総数の約3%に当たる。市場からの買付に加え、同社創業者であり大株主である田中俊彦氏(現代表取締役会長)と野口哲也氏(現代表取締役社長)からの普通株の取得によるもの。2名の持株比率合計は同社株式の75%を超えており、持株比率の上昇及び同社株式の流動性の低下の影響を懸念してのこととみられる。
同社は、アドネットワークの会社としてネット広告代理店出身の田中氏が日本IBM出身の技術者野口氏とともに2007年に設立。2014年にふるさと納税支援サイト「ふるなび」を開発したことが転機となり、この分野でのポジションを着実に築いてきた。現在では、「ふるなび」の契約自治体数は443、会員数も80万人を超えるポータルサイトへ成長し、直近での営業利益の構成比は、7対3と、祖業であるインターネット広告事業を逆転している。コロナ禍にもかかわらず、同事業の成長が牽引し7月の決算も当初計画を大きく上回った。
同社の株価は、好業績や配当などの株主還元の実施の発表もあり、この3か月で株価が2倍に、前年同時期と比較しても3倍になった。しかしながら、各種指標をみても、同業他社に比べても据え置かれている感が否めない。
今回の自己株式の取得をみると、同社ではまだ自社の株価水準を割安とみていると推測される。また、9月11日に発表された創業者個人から資産管理会社への株式の移動を鑑みると、創業者からみても割安だと判断していると推測される。株価水準が低い今のうちに購入し、取得した株式を今後の成長のためのM&A戦略や、ストックオプションなど役員・従業員へのインセンティブ施策や市場での売却も検討しているものとみられる。
同社は2016年に株式上場以降、オンラインゲーム会社の子会社化を始め、直近では2019年8月にスマートフォン向けアプリの企画開発会社オーテを買収し、M&A戦略を積極化している。オーテはゲームユーザーが2倍に成長し、初年度より業績に貢献している。
コロナ禍による外出自粛によるインターネットとの接触時間の増加や巣ごもり消費は、同社にとってはむしろ追い風とみられる。資本政策を含めた同社の動きに今後も注目していきたい。
《ST》
提供:フィスコ