【特集】後発でもレッドオーシャンを勝ち抜く、その鍵とは
気になる会社を診断
億トレ・ガチホ企業~バリュエンスの強さと課題-最終回
・前回記事「その赤字に意味あり、『戦略は◯、戦術は?』から最高益更新へ」を読む
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■バリュエンスの嵜本晋輔社長

「金相場」次第で上方修正か
――2026年8月期第1四半期(1Q)決算は、売上高・営業利益ともに四半期ベースで過去最高を更新し、売上高営業利益率も6%台に向上しました。通期でも過去最高を計画していますが、同利益率は1Q時点で4%台としています。トランプ波乱もあり、先行きを保守的に見ているのでしょうか。
嵜本晋輔社長(以下、嵜本): とりわけ今期の下期は慎重に計画しています。当社が取り扱う商品の価格は、貴金属相場などの動向によって収益性が左右される部分があるからです。
相場が上昇トレンドであれば、仕入れ価格が上昇しても販売価格に転嫁するのは難しくありません。しかし、反対になると販売価格の下押し圧力が強まり、採算性が悪化します。
相場の先行きを予測するのは容易ではなく、どうしても慎重シナリオをベースに収益計画を作らざるを得ない面があります。
■『株探プレミアム』で確認できるバリュエンスの通期業績の長期・収益性推移

ビジネスモデル変革への挑戦が収益改善のきっかけに
――今期最高益更新の原動力になるのが、強化に取り組む小売ビジネスです。26年1Qの小売セグメントの売上高は全体の24%となり、強化に踏み出した24年1Qの13%から2倍水準となりました。今後も、小売が成長を牽引していくのでしょうか。
嵜本: 一気に小売に傾斜した24年は一時的に躓いたものの、それ以来、試行錯誤を経て、小売は順調に伸びています。
24年に躓いた理由は、同じブランド品の販売でも卸と小売ではノウハウが異なることを十分に認識できていなかったことです。
卸であればすぐに注文が入る品物も、小売では想定した価格や期間で売れないことがあります。それにもかかわらず、当時は「小売は卸よりも高く売れる」という前提から、仕入れ段階で査定が甘くなった面がありました。
特にロレックスのような競争の激しい人気商品は、品揃えに加わると集客効果を生むという期待もあり、多少無理して買い取り合戦に参加していました。こうした状況もあって、仕入れてから数カ月後に赤字になった状態で売るということがありました。
こうした二の舞を演じないように、様々な改革に取り組んでいます。
■卸と小売の事業特性

――小売事業では、どのような試行錯誤を経ましたか。
嵜本: まず見直したのは、買い取りの査定基準です。価格相場に一定の変動があっても、しっかり利益を確保できる水準で買い取るように改めました。
その成果は、売上総利益率の四半期推移にも表れています。24年1Q以前は25%前後で推移してきましたが、急激な小売シフトで躓いた24年の上期は22%にまで低下しました。
その後、仕入れ基準を見直して改善を進めた結果、直近四半期では27%台まで回復し、約5%ポイント上昇しました。このほかにも、どの商品が売れるかを見極めるマーケティング精度の向上に地道に取り組みました。
■バリュエンスの売上高と売上総利益率の推移

卸と小売の双方で強固なプラットフォームを持つ
――そもそも小売を強化する狙いは。
嵜本: 業者向けの自社オークションサイトと同様に、小売でも世界中からアクセスが集まる強固なプラットフォームを構築できれば、リユース企業としての競争優位が高まり、競合が追随できない存在になれると考えたからです。
創業当初から小売に踏み込まなかったのは、資金的な制約があったためです。小売の在庫回転期間は90~120日ですが、卸では3分の1水準の30~45日と資金効率に優れます。
この卸ビジネスの特徴を生かして、当社は今月に仕入れた商品を翌月までに業者向けオークションで売り、稼いだキャッシュを買い取り店舗の出店に再投資する取り組みを、創業から10年ほど注力してきました。
卸ビジネスへの注力で、安定的に仕入れ商品を確保しキャッシュを生む体制を構築できたことで、いよいよ小売にも本格的に取り組む段階に入ったと考えています。
――新規事業の位置づけになる小売で、順調に成長していくポイントは。
■小売店舗「ALLU」新宿店の外観

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億トレ・ガチホ企業~バリュエンスの強さと課題-最終回
登場する銘柄
| バリュエンス<9270> |
取材・文/真弓重孝、高山英聖
・前回記事「その赤字に意味あり、『戦略は◯、戦術は?』から最高益更新へ」を読む
・「気になる会社を診断」の記事一覧を見る
| この記事を読んで分かること |
| 1. バリュエンスが収益改善に成功した理由 |
| 2. 買い取り店舗の集客で差違化する次の一手 |
| 3. 株主還元で意識しているポイント |
上場来赤字を契機に、戦術の練り直しで今期・最高益が視野に入ったバリュエンスホールディングス<9270>。
目下の注目点は、来期以降も最高益更新を続ける収益基盤の深化。同社が取り組んでいるのが、祖業の卸ビジネスよりも利幅が大きい小売ビジネスを強化する戦略だ。
ただし、小売は多くのプレーヤーが参入するレッドオーシャン。同社の嵜本晋輔社長も、長期的には「利幅は悪化していく可能性がある」と覚悟する。
それでも小売を強化するのは、レッドオーシャンの中でも、新たな需要を生むブルーオーシャンを構築できると見ているからだ。
最終回は、小売戦略の次の一手を嵜本社長に聞いた。
目下の注目点は、来期以降も最高益更新を続ける収益基盤の深化。同社が取り組んでいるのが、祖業の卸ビジネスよりも利幅が大きい小売ビジネスを強化する戦略だ。
ただし、小売は多くのプレーヤーが参入するレッドオーシャン。同社の嵜本晋輔社長も、長期的には「利幅は悪化していく可能性がある」と覚悟する。
それでも小売を強化するのは、レッドオーシャンの中でも、新たな需要を生むブルーオーシャンを構築できると見ているからだ。
最終回は、小売戦略の次の一手を嵜本社長に聞いた。
*同社は4月10日(金)に2026年8月期第2四半期決算の発表を予定。インタビューは3月11日に実施
■バリュエンスの嵜本晋輔社長

「金相場」次第で上方修正か
――2026年8月期第1四半期(1Q)決算は、売上高・営業利益ともに四半期ベースで過去最高を更新し、売上高営業利益率も6%台に向上しました。通期でも過去最高を計画していますが、同利益率は1Q時点で4%台としています。トランプ波乱もあり、先行きを保守的に見ているのでしょうか。
嵜本晋輔社長(以下、嵜本): とりわけ今期の下期は慎重に計画しています。当社が取り扱う商品の価格は、貴金属相場などの動向によって収益性が左右される部分があるからです。
相場が上昇トレンドであれば、仕入れ価格が上昇しても販売価格に転嫁するのは難しくありません。しかし、反対になると販売価格の下押し圧力が強まり、採算性が悪化します。
相場の先行きを予測するのは容易ではなく、どうしても慎重シナリオをベースに収益計画を作らざるを得ない面があります。
■『株探プレミアム』で確認できるバリュエンスの通期業績の長期・収益性推移

ビジネスモデル変革への挑戦が収益改善のきっかけに
――今期最高益更新の原動力になるのが、強化に取り組む小売ビジネスです。26年1Qの小売セグメントの売上高は全体の24%となり、強化に踏み出した24年1Qの13%から2倍水準となりました。今後も、小売が成長を牽引していくのでしょうか。
嵜本: 一気に小売に傾斜した24年は一時的に躓いたものの、それ以来、試行錯誤を経て、小売は順調に伸びています。
24年に躓いた理由は、同じブランド品の販売でも卸と小売ではノウハウが異なることを十分に認識できていなかったことです。
卸であればすぐに注文が入る品物も、小売では想定した価格や期間で売れないことがあります。それにもかかわらず、当時は「小売は卸よりも高く売れる」という前提から、仕入れ段階で査定が甘くなった面がありました。
特にロレックスのような競争の激しい人気商品は、品揃えに加わると集客効果を生むという期待もあり、多少無理して買い取り合戦に参加していました。こうした状況もあって、仕入れてから数カ月後に赤字になった状態で売るということがありました。
こうした二の舞を演じないように、様々な改革に取り組んでいます。
■卸と小売の事業特性

――小売事業では、どのような試行錯誤を経ましたか。
嵜本: まず見直したのは、買い取りの査定基準です。価格相場に一定の変動があっても、しっかり利益を確保できる水準で買い取るように改めました。
その成果は、売上総利益率の四半期推移にも表れています。24年1Q以前は25%前後で推移してきましたが、急激な小売シフトで躓いた24年の上期は22%にまで低下しました。
その後、仕入れ基準を見直して改善を進めた結果、直近四半期では27%台まで回復し、約5%ポイント上昇しました。このほかにも、どの商品が売れるかを見極めるマーケティング精度の向上に地道に取り組みました。
■バリュエンスの売上高と売上総利益率の推移

出所:IR資料、注:四半期ベース。期間は2023年1Qから26年1Q
卸と小売の双方で強固なプラットフォームを持つ
――そもそも小売を強化する狙いは。
嵜本: 業者向けの自社オークションサイトと同様に、小売でも世界中からアクセスが集まる強固なプラットフォームを構築できれば、リユース企業としての競争優位が高まり、競合が追随できない存在になれると考えたからです。
創業当初から小売に踏み込まなかったのは、資金的な制約があったためです。小売の在庫回転期間は90~120日ですが、卸では3分の1水準の30~45日と資金効率に優れます。
この卸ビジネスの特徴を生かして、当社は今月に仕入れた商品を翌月までに業者向けオークションで売り、稼いだキャッシュを買い取り店舗の出店に再投資する取り組みを、創業から10年ほど注力してきました。
卸ビジネスへの注力で、安定的に仕入れ商品を確保しキャッシュを生む体制を構築できたことで、いよいよ小売にも本格的に取り組む段階に入ったと考えています。
――新規事業の位置づけになる小売で、順調に成長していくポイントは。
■小売店舗「ALLU」新宿店の外観

提供:バリュエンス
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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