【特集】金は高値更新が続く、米政府機関閉鎖や米中貿易摩擦再燃などが支援 <コモディティ特集>
MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行●米政府機関閉鎖・米中摩擦再燃が金の上昇要因に
米上院でつなぎ予算案が否決され、10月1日から米政府機関の一部が閉鎖された。トランプ米政権は民主党の地盤州の予算を凍結するなど強硬姿勢を採っており、その後の採決でも否決が繰り返された。ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)のボート局長は連邦職員の解雇を進めているとし、民主党に譲歩を迫っている。ただ、空港で航空管制官らが不足し、航空便の遅延が続くなど、経済への影響も出ている。過去の米政府機関の一部閉鎖は2018年末の35日間が最長だったが、政治的な対立が続くと、これを上回る可能性があるという。米労働省は15日発表予定の9月の米消費者物価指数(CPI)を24日に延期するという異例の対応を採った。
トランプ米大統領は10日、中国の輸入品に対して11月1日から100%の追加関税を課すと発表した。中国がレアアース(希土類)の輸出規制強化を発表したことが背景にある。ただ、12日に「中国のことは心配するな」とSNSに投稿し、態度を軟化させた。10月下旬に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で中国の習国家主席と会談する予定であり、追加関税は回避される可能性がある。
●ガザ停戦など地政学的リスクの行方も焦点
イスラム組織ハマスは13日、イスラエルとの停戦合意の第1段階として、生存していた人質20人を解放した。トランプ米大統領はエジプトで開催されたパレスチナ自治区ガザの和平を巡る首脳会議で、ガザ停戦に関する文書に署名した。和平案の第2段階ではハマスの武装解除やガザの戦後統治、イスラエル軍のさらなる撤退などが含まれている。ただ、ハマスはガザ地区に居座り、支配力回復を図っており、先行き不透明感が強い。
一方、米国はロシアとの戦争が続くウクライナに巡航ミサイル「トマホーク」を提供する可能性がある。トマホークは2500キロの射程を持ち、モスクワも射程に入る。米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は17日に会談し、ウクライナの防空能力や長距離攻撃能力について協議する見通しであり、ウクライナ情勢の行方も確認したい。
●金ETF・先物ともに買われる
世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、10月13日に1018.88トン(8月末977.68トン)となった。米FRBの利下げ見通しや米政府機関閉鎖、米中の貿易摩擦に対する懸念を受けて投資資金が流入した。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは9月23日時点で26万6749枚(前週26万6410枚)となり、2月18日以来の高水準となった。米政府機関閉鎖を受けて10月に入ってから発表が延期されている。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
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