【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】エヌビディア決算がトリガーとなるか

「エヌビディア決算がトリガーとなるか」
●足もと調整も、3万7000円水準で底固め
日経平均株価は5月13日につけた3万8494円をピークに調整を継続しているが、75日移動平均線を支持線として底堅さがみえてきた。
一方、米国市場では、財政悪化と長期金利上昇に対する警戒が根強いほか、トランプ大統領のSNS投稿に翻弄される状況が続いている。また、関税によるインフレ押し上げ効果を見越し、米連邦準備理事会(FRB)が利下げ再開により慎重な姿勢に傾くとの見方もなされている。
FRBのウォラー理事は、トランプ政権が貿易相手国に課している関税が10%前後で落ち着けば、FRBが利下げする可能性があるとの見解を示したが、その時期は「年後半」である。米国は8日に英国と貿易協定で合意し、中国とは12日に相互に追加関税を115%引き下げることで合意したが、その後は関税合意の報道もない状況であり、手掛けづらいところであろう。
米国市場が不安定な半面、日本市場では海外投資家の買い越し基調が続いており、米国に集中していた資金が欧州やアジアに還流する動きが意識されてきそうだ。日経平均株価は3万7000円処での底堅さがみられ、3万8127円辺りで推移する52週移動平均線を捉えてくるようだと、海外投資家の資金流入への思惑が一段と高まりやすい。
決算発表が一巡し、手掛かり材料には欠ける状況だが、来週28日(日本時間29日早朝)には米半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算発表が予定されている。同社株は足もとのリバウンドで52週線を突破しており、決算が評価されるようだと、1月7日につけた上場来高値の更新が期待されてくる。その場合、日本市場で弱い値動きを続けるハイテク企業への支援材料となり、日経平均株価を押し上げてくる可能性があろう。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆古河電気工業 <5801> [東証P]
通信用・電力用ケーブルを手掛ける電線メーカー大手。5月21日、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画の進捗説明会を開いた。既存事業の収益拡大や新事業創出に向けた基盤整備など重点施策が着実に進捗しているとの認識を示すとともに、成長を続けるデータセンター市場で収益拡大を図る方針を掲げた。翌22日の株価は11%超上昇し、3月上旬以来となる6000円台を回復。急ピッチの上昇による短期過熱は警戒されるが、足もとの上昇で26週線を突破してきており、1月23日につけた年初来高値8304円が射程に入ってきた。
◆ソシオネクスト <6526> [東証P]
カスタムSoC(システム・オン・チップ)を手掛ける ファブレス半導体ベンダー。4月28日に決算を発表。2026年3月期の連結営業利益は前期比44.0%減の140億円と大幅減益を見込む。中国の通信機器向け 半導体の販売が落ち込むほか、新規量産品の拡大に伴う粗利率の低下、為替影響などが重石となる。想定為替レートは1ドル=130円。ただし、依然として不透明感は拭えないが、米中両国が互いに追加関税を115%引き下げ、90日間停止することで合意したことを受け、しばらくは買い戻しの動きが優勢となりそうだ。株価は直近のリバウンドで13週線を突破し、26週線に迫ってきた。これをクリアすると、2600円台半ばで推移する52週線トライが期待される。
◆ヤーマン <6630> [東証P]
家庭用美容健康機器や化粧品を手掛ける。3月14日に、2025年4月期の連結営業利益を従来予想の25億円から9億円に大幅下方修正。主力の中国市場で美容機器の販売が想定を下回るほか、円安による仕入価格の上昇が響く。ただし、悪材料出尽くしとの見方から株価はリバウンドをみせ、4月21日には926円まで買われた。その後調整を入れたが、上向きで推移する75日線を支持線とするトレンドを形成しており、上値抵抗の25日線突破からのリバウンド本格化に期待したい。決算発表予定日は6月13日。
◆メガチップス <6875> [東証P]
任天堂 <7974> [東証P] 向けが中心のファブレス半導体メーカー。5月14日に決算を発表。2026年3月期の連結営業利益は前期比37%増の30億円を計画。アミューズメントを除くASIC(顧客専用LSI)やASSP(特定用途向けLSI)が伸び、利益率が改善する見込み。株価は4月7日につけた3695円を底に反発。直近では75日線を支持線として200日線に挑戦の態勢にあり、同線を突破すれば上昇に弾みがつく可能性もあろう。
◆マネックスグループ <8698> [東証P]
個人投資家向けオンライン証券事業を中心に、 暗号資産交換業を手掛ける。5月22日、暗号資産のビットコインが初めて11万ドルの大台を突破し、1月につけた史上最高値を更新した。トランプ大統領は、議会が休会に入る8月までにステーブルコイン法案や関連法案に署名する意向と報じられており、関連株には思惑が高まりやすい。同社の株価は22日に9%超上昇し、75日・200日・52週の各線を突破。週末23日は反動安となったが、25日線が支持線として意識されそうだ。
(2025年5月23日 記)
株探ニュース