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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】米中協議継続なら海外投資家の買い戻しが強まる

RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一

「米中協議継続なら海外投資家の買い戻しが強まる」

●米英の交渉成立を好感し、日経平均は3万5000円回復

 5月9日の日経平均株価は大幅に続伸し、3月28日以来となる3万7000円台回復を果たした。米英の関税交渉が成立したことに加え、週末に予定される米中閣僚級協議で両国の貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が高まった。米中協議の行方は楽観できないが、今後の協議継続が確認されれば、市場センチメントを明るくさせよう。

 日経平均株価は3万7500円を突破し、3月26日の戻り高値3万8220円に接近してきた。年初以降、海外投資家は売り越し基調を続けてきたが、投資部門別売買動向によると4月半ばから買い越しに転じている。センチメントの改善を背景に、海外投資家の買い戻しが一段と強まる可能性がありそうだ。

 来週は決算発表がピークを迎え、週間では2000社ほどが予定されている。決算内容を見極めたいとして様子見ムードは強まりやすいが、一方で先回り的な買いが入っていない分、予想を上回る決算内容を示した企業はリバウンド基調を強めてきそうだ。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆エレコム <6750> [東証P]
パソコン周辺機器メーカー大手。3月にはリチウムイオン電池に比べ約10倍の寿命を持つナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーを発売。2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比1.4%増の93億8800万円で着地した。半導体関連の投資需要が減速しBtoBソリューションが苦戦したものの、モバイルバッテリーなどのパワー&I/Oデバイス関連、周辺機器・アクセサリが堅調だった。株価は25日移動平均線を支持線とするリバウンドにより、年初来高値を2カ月ぶりに更新。23年9月高値の1840円が射程に入ってきた。(5月15日に2025年3月期決算を発表予定)

◆三菱ロジスネクスト <7105> [東証S]
フォークリフト大手。5月9日に決算を発表。2025年3月期の連結営業利益は前の期比51.3%減の207億6600万円で着地した。米国でエンジン認証遅延に起因する新型エンジンへの切り替えに伴う一時費用の発生が響いた。26年3月期の連結営業利益は同58.9%増の330億円とV字回復を見込む。米国事業について関税政策によるコスト悪化は生産価格に転嫁可能であるとするとともに、販売台数は10%の需要下振れの影響を想定している。株価は週末9日に荒い値動きながらも3月19日に付けた年初来高値2234円に肉薄する場面もみられており、75日線水準での押し目狙いに向かわせよう。

◆アドバンテスト <6857> [東証P]
半導体試験装置で世界大手。米中対立の悪影響が警戒されて、1月10日に付けた上場来高値1万0430円から4月7日には4703円まで売られた。週末に米中協議が行われるが、貿易交渉のテーブルにつくことが貿易戦争の解決に向けた第一歩である。今後も両国が協議を続けていくことが確認できれば、同社など半導体関連株を見直す動きが期待される。5月2日時点での信用倍率は4.63倍と4月4日時点の13.93倍から取り組みは改善傾向にある。

◆SHIFT <3697> [東証P]
ソフトウェアのテスト受託事業が主力。2025年8月期第2四半期累計(24年9月-25年2月)の連結営業利益は前年同期比72.1%増の80億5800万円で着地。ソフトウェアテスト関連サービスのほか、ソフトウェア開発関連サービスが好調。株価は4月7日の970.7円を安値に順調にリバウンドを続け、2月13日の年初来高値1526.5円を射程に捉えてきた。

◆コプロ・ホールディングス <7059> [東証P]
建設・プラント技術者の 人材派遣・紹介、機械設計開発技術者の人材派遣・請負などを手掛ける。2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比52.8%増の21億4800万円で着地。主要顧客先の建設業界において都市開発プロジェクト関連工事やインフラ老朽化に伴う再整備、半導体工場の新設など堅調な需要が見込まれる。株価は4月7日1309円を安値に反発。75日線を支持線に変えて3月の戻り高値1729円を捉え、2月14日の年初来高値1789円も射程に入ってきた。(5月15日に2025年3月期決算を発表予定)

(2025年5月9日 記)

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