【特集】MDNT Research Memo(6):潤沢な現金及び預金を有し、成長投資の供給体制は盤石
メディネット <日足> 「株探」多機能チャートより
■メディネット<2370>の業績動向
2. 財務状況
2024年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は6,100百万円(前期末比466百万円増)となった。主な要因は、現金及び預金504百万円、投資有価証券52百万円の増加、仕掛品14百万円、売掛金13百万円、有形固定資産19百万円の減少であった。負債合計は533万円(同57百万円減)となった。主な要因は、流動負債その他の前受金57百万円の減少であった。純資産合計は5,567百万円(同523百万円増)となった。主な要因は、新株予約権の行使などによる資本金563百万円及び資本剰余金563百万円の増加、その他有価証券評価差額金45百万円の増加、四半期純損失計上に伴う利益剰余金634百万円の減少などであった。この結果、自己資本比率は、前期末の89.2%から2.0ポイント増加の91.2%となった。
3. 資金調達
同社では2020年9月期に第三者割当増資(新株予約権の発行・行使)を通算4回(第14~17回)実施し、資金2,942百万円を調達した。2023年9月期は、2022年の第18回新株予約権(1,690百万円を資金調達)に続き、2023年に第19回新株予約権(マッコーリー・バンク・リミテッド)を発行し、2024年3月末現在で発行総数の84.14%を行使した。資金調達額は2,272百万円となった。資金の使途(金額)は、1) 同社運転資金(600百万円)、2) 慢性心不全治療に用いる再生医療等製品の実用化に向けた開発費用(2,250百万円)、3) 資本業務提携に伴う株式取得に係る費用(1,503百万円)などを予定している。同社はこれまでに第三者割当により継続的に資金調達してきたが、2021年7月以降は株価低迷により資金調達が目標額を大きく下回っている。早期黒字化による株価アップ、そして安定的資金調達の良循環の経営サイクルの確立が急がれる。
4. 2024年9月期第2四半期のトピック
同社は、台北証券取引所上場企業であるMedigen Biotechnology Corporation(基亞生物科技股フン有限公司。以下、「MBC」)に対し、同社のがんを対象疾患とするγδΤ(ガンマ・デルタT)細胞培養加工技術のライセンス契約を2019年10月に締結し、技術移転が完了した。この技術を用いたがん免疫細胞治療は台湾当局の承認後、MBCが提携する医療機関である新光呉火獅紀念醫院(台北市)が台湾の規制当局へ申請し、2023年2月に承認された。同年9月には秀傳紀念醫院(彰化市)が、12月には花蓮慈濟(花蓮市)がそれぞれ当局から承認された。彰濱秀傳紀念醫院(鹿港鎮)については、2023年10月に当局から承認され、同年11月から同社の細胞培養加工技術を用いたがん免疫細胞治療が受けられるようになった。2024年4月に奇美醫療財團法人柳營奇美醫院(台南市)が、同年7月に臺北市立萬芳醫院(台北市)が承認を受け、MBCの提携医療機関は8施設に拡大した。各提携医療機関より所在の市・県の衛生局へ登録作業が完了次第、治療提供の開始となる。
5. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期の業績は、売上高は850百万円(前期比28.5%増)、営業損失が1,488百万円(前期は1,425百万円の損失)、経常損失が1,475百万円(同1,419百万円の損失)、当期純損失が1,479百万円(同1,437百万円の損失)と予想している。引き続き免疫細胞加工受託件数の回復・拡大に加え、新技術による新しい細胞種の受託メニューの提供により特定細胞加工物製造業のさらなる売上拡大を図る。併せて、成長が期待できるCDMO事業の強化を図る。損益面については、細胞加工の品目や受託メニューの拡大とそのための細胞培養加工の環境・体制整備費用の先行に加え、研究開発案件の進展などにより研究開発費が増加する見込みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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