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【特集】TKP Research Memo(2):「Regus」等とともに、需要拡大が見込まれるフレキシブルオフィス市場をけん引

TKP <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

1. 会社概要
ティーケーピー<3479>は、貸会議室ビジネスを起点とする「空間再生流通事業」を展開している。独自のビジネスモデルにより、遊休不動産の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで効率的に会議室を利用したい法人のニーズを結び付けるところに新たな市場を創出し、高い成長性を実現してきた。2019年5月にはレンタルオフィス「Regus」等を展開する日本リージャスを買収したことにより、貸会議室ビジネスとの親和性の高い短中期オフィス事業へ本格参入すると、同年9月には台湾リージャスを買収し、アジアを中心とした海外展開へ向けても足掛かりを築いている。また、コロナ禍をきっかけとして分散型オフィスやサテライトオフィス需要が顕在化するなかで、TKPでも新ブランド「Work X Office」を立ち上げ、「時間貸し」(貸会議室)中心から「期間貸し」(貸オフィス)へとサービス領域を拡充した。足元ではコロナ禍における社会経済活動の正常化が徐々に進み、回復基調にある貸会議室需要をはじめ、コロナ禍をきっかけにさらなる拡大が見込まれるフレキシブルオフィス需要を取り込むことで成長を加速する戦略である。

事業領域は5つに区分されるが、「フレキシブルオフィス事業※」(貸会議室・ホテル宴会場・レンタルオフィス・コワーキングスペース)をコア事業として、「ホテル・宿泊研修事業」「料飲・バンケット事業」「イベントプロデュース事業」「BPO事業」の周辺サービスを提供している。コロナ禍による影響を勘案し、周辺サービスについては一旦選択と集中を進めたものの、今後はポストコロナを見据え、新技術との組み合わせを含めた多様なラインナップを提供することで、今後回復する需要を全方面から刈り取る方針である。

※一般的なオフィスの賃貸借契約ではなく、より利用者の目的に対応したワークスペースを活用することができる新しいオフィスの在り方のこと。


2. 沿革
2005年に(株)ティーケーピーを設立、ポータルサイト「貸会議室ネット」と「貸オフィスネット」を運営開始し、1号店である「TKP六本木会議室」をオープンした。2006年~2007年には早くも、北海道・関西・九州・東北・東海に進出している。2008年には、(株)コンビニステーションを設立し、低価格帯貸会議室の運営事業化を開始したほか、会議・研修のトータルサービスを提供開始し、単なる貸会議室だけでなく周辺事業にも展開を開始した。その後もビル管理事業、コールセンター事業、企業向けレンタル事業に参入。2011年には、「TKPガーデンシティ品川」をオープンし、ホテル内宴会場の運営を開始した。2013年には(株)常盤軒フーズを立ち上げ、飲食サービスの内製化の強化を図った。また、同年には「レクトーレ」をオープンし宿泊型研修会場の提供を開始したほか、海外初施設をニューヨークに出店している。2014年に法人向け旅行事業のワンストップサービスの充実をさらに推し進め、札幌に「アパホテル〈TKP札幌駅前〉」をフランチャイズ出店し、会議室併設型ハイブリッドホテルの運営を開始した。2015年には伊豆長岡の「石のや」で旅館事業に参入、同社のブランドで最上級となる「ガーデンシティPREMIUM」を新設し、イベント・コンテンツ事業に参入するなど快進撃が続いた。2016年には(株)ファーストキャビンと資本業務提携契約を締結、簡易宿泊事業に参入した。2017年に入ってからも、東京証券取引所マザーズ市場に上場したことをはじめ、スペースマッチングサービスである「クラウドスペース」の運営開始、(株)メジャースの子会社化(100%株式取得)によるイベントプロデュース事業への本格参入など、積極的な事業展開を進めた。(株)日経CNBCの「今年の優秀IPO企業」最優秀賞を受賞するとともに、「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2017ジャパン」においても河野貴輝(かわのたかてる)代表取締役社長が日本代表※に選出されている。2018年には直営会議室2,000室を突破した。2019年5月には、レンタルオフィス最大手の日本リージャスを買収し、短中期オフィス事業へも本格参入すると、同年9月には台湾リージャスを買収し、台湾にも進出している。

※2018年6月にモナコにて開催された約60ヶ国の代表起業家たちが集う世界大会へ日本代表として出場した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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