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【特集】ムサシ Research Memo(7):選挙関連ビジネスをベースに注力事業の拡大で持続的成長の実現を目指す(2)

ムサシ <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期成長戦略

3. 印刷システム機材
この事業は、「デジタル化の流れ」や「インターネット通販業者の台頭」に加えてコロナ禍の影響による「印刷会社の設備投資意欲の減退」などにより、「印刷需要の低迷」と「販売単価の下落」など厳しい事業環境にある。そのような環境下、ムサシ<7521>にとって喫緊の課題は、この事業の「収益力の改善」を主眼に置いた「業績の回復」にある。この対応策として、同社では、以下のような施策を実行することで、「収益力の改善」と「売上高の回復」を図る。

(1) 注力分野
a) 「印刷後加工分野」の商品販売に注力
レーザー加工機、表面加工機などの拡販に注力する。この分野の商品は競合が激しくないので、適正な利益が確保できる。
b) 新しいビジネス分野の開拓
「シールラベル印刷」「パッケージ印刷」「オンライン講座」など
c) 印刷分野に特化したソフトウェアビジネスの拡大
d)「商品諸掛の削減」など事業経費の削減

(2) 印刷システムの新製品
同社は、2021年11月に新製品を発表した。この商品は、海外のメーカーから同社が直輸入して国内で販売する商品である。このインクジェットプリンター「T3-OPX」は、様々な厚みの多種多様な材料への印刷を可能にした画期的なモデルだ。プリンターヘッドの高さが自動で調整される機能が備わっており、組み立てられた段ボールのような厚みのある材料から、極薄の材料まで幅広い厚さに対応可能。また、自然由来の水性インクを採用することで、環境負荷の低減を実現している。プリンターヘッドの高さが変動する搬送型インクジェットプリンターで水性インクを採用したものは「T3-OPX」が国内初である。水性インクのため、臭いが少なく、健康や環境に配慮が必要な店舗や施設でも安心して導入することができる。この商品によって、今まで主要顧客であった印刷業界以外の幅広い業界やブランドオーナー、製造業やサービス業などで、新規顧客の獲得を目指す。

4. 選挙システム機材
選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では依然として“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているからだ。事実、今期(2022年3月期)の選挙システム機材の売上高(単体ベース)は過去最高となる見込みだ。

この要因はいろいろ考えられるが、もっとも大きいのは省力化(省人化)ニーズの高まりであり、これは投票業務と開票業務の双方に共通した要因だ。投票業務については期日前投票の増加や選挙権年齢の引き下げなどに加えて、最近ではコロナ禍の影響で「可能な限り接触を避ける」ニーズが高まっていることが背景にある。一方で開票業務についても、接触を避けることに加えて迅速かつ正確な開票作業のニーズと、それと相反する人件費削減の社会的要請が背景にあると考えられる。

(1) 投票所
投票所においては、投票者に対する接触感染防止対策として、投票所職員が投票用紙に触れることなく投票者に投票用紙を交付することができる「投票用紙交付機」の拡販に努めていく。また最新の投票用紙交付機は、投票用紙の色を機械が判別するので、取り違え交付も未然に防止することが可能となっている。 さらに多数の投票者が集まる投票所では、3密回避と感染防止対策が非常に重要となっており、投票者の滞在時間を短縮するため、投票者の本人確認の迅速化に寄与する「投票業務管理システム」の 需要が拡大している。

(2) 開票所
開票所においては、これまで各自治体は、開票集計作業に非常に多くの人員で対応していた。しかし今後は、3密を避けるため、作業者の大幅な削減が必要となっている。当然、人員の削減は開票作業の遅れに繋がってしまう。自治体はこれをカバーするため省力化機器を導入、もしくは増設することにより、作業効率を上げて対応することが必要となっている。実際にコロナ禍での選挙では、開票所の作業者の人数を 30%から 50%も減らす自治体が増えてきた。このため各自治体では今まで以上に、開票集計作業の効率を上げるため、「投票用紙読取分類機」 や「投票用紙計数機」などによる機械化が必要となっている。 同社では、開票作業のさらなる効率アップと安全な選挙の実施に向けて、これら省力化・省人化機器の導入を促進していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《SI》

 提供:フィスコ

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