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【特集】金は1800ドル前後で方向性を模索、米利上げ見通しは圧迫要因に <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 の現物相場は、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げを織り込み、ドル安に振れたことを受けて1800ドル割れで押し目を買われて堅調となった。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では早期利上げの可能性に加え、資産売却が必要になるとの見方が示された。一方、パウエル議長は議長再任指名に関する上院銀行委員会の公聴会で証言し、米FRBが年内の金融引き締めに対する準備が整っているという認識を示した。市場で予想されたほどタカ派の内容にならなかったこともドル安を促す要因になった。また、ブレイナード米FRB理事は、副議長昇格に関する公聴会で証言を行い、高水準にあるインフレ率を制御することが最重要の責務との考えを示した。

 昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.0%上昇と前月の6.8%上昇から加速し、約40年ぶりの高い伸びを記録した。12月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と事前予想の40万人増を下回ったが、失業率が3.9%(前月4.2%)に低下し、時間当たり平均賃金の伸びが加速した。CMEのフェドウォッチによると、米短期金利先物市場でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準(現在0~0.25%)は、3月の0.25~0.50%の確率が86.1%(1ヵ月前46.8%)となり、量的緩和の縮小(テーパリング)終了直後の利上げを織り込んでいる。

 ドル安に振れたことは金の支援要因だが、米FRBの3月利上げ見通しを受けて米国債の利回りの上昇傾向に変わりはない。ドル高が再開すると、金の戻りは売られるとみられる。また、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がインフレを押し上げている要因は年内に緩和するとの見方を示し、利上げする可能性は極めて低いと述べていることもドル高要因である。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻に対する懸念が出ていることは波乱要因である。地政学的リスクが意識されると、買い戻し主導で急伸する可能性も出てくる。

●オミクロン変異株でパンデミックからエンデミックへ移行見通し

 新型コロナウイルスのオミクロン変異株は重症化するリスクが低いとみられ、先行きに対する楽観的な見方が強い。ただ感染力が強く、当面はどこでピークを迎えるか不透明な状況となっている。

 英国では感染率が低下し、感染拡大の波はピークを迎えたとの見方が出ているが、フランスでは感染拡大が続いていることを受けて公共施設の利用に新型コロナワクチン接種証明「ワクチンパス」を導入する法案を可決した。米モデルナは17日、オミクロン変異株に特化したワクチンについて、数週間で臨床試験(治験)を開始し、3月頃には当局にデータを提出できるとした。米食品医薬品局(FDA)は昨年12月に米ファイザーの経口治療薬「パクスロビド」に緊急使用許可を出している。

 一方、スペインのサンチェス首相はラジオ番組で「新型コロナがパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(地域的流行)に変わる可能性を評価する時に来ている」と述べた。実際にインフルエンザのように一定の地域や周期で発生する状況になれば、先行きに対する楽観的な見方が強まるとみられる。ただ、世界保健機関(WHO)は慎重な姿勢を崩していない。

●SPDRゴールドは米FRBの利上げ見通しで投資資金が流出

 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は1月18日に976.21トン(昨年11月末992.85トン)に減少した。昨年11月にインフレ懸念の高まりを受けて買い直されたが、米FRBの早期利上げ観測が高まると、投資資金が流出した。25~26日には今年初めてのFOMCがあり、金融政策の見通しと投資資金の動向を確認したい。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは昨年11月16日時点の25万9780枚を当面のピークとして縮小に転じ、1月11日時点で19万9737枚と昨年10月19日以来の低水準となった。昨年9月に16万8399枚まで縮小しており、当面は売り圧力が強まるかどうかを確認したい。ただ、高インフレなどで1800ドル台を維持するとテクニカル面の強気観が残るとみられる。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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