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【市況】明日の株式相場に向けて=ワンデー・ダブルバガー銘柄出現

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比405円高の2万8860円と大幅続伸。全体相場は大きく切り返しに転じているが、先物主導の無人エレベーターの趣きで、個人マネーは依然として活力を欠いた状態にあるようだ。前日時点の信用評価損益率について、ネット証券大手によると東証1・2部や新興市場を含めた全市場ベースではマイナス9.5%。改善はしているものの決して良好な状態ではなく、含み損を抱えて悶々としている投資家が少なくないことを物語る。

 また、マザーズ市場に特化した信用評価損益率は前日時点でマイナス26.8%。今回の下げ局面での最悪期だった28%台からは改善しているとはいえ、この数字だけを見れば今なお追い証回避の投げを誘発して不思議のない状況だ。最近は、マザーズ銘柄だけで信用取引の2階建てを行うような猛者の割合は少なくなっていることで、投げが投げを呼ぶような状況に陥ることは少ないというが、全体指数が急速に戻り足をみせていても、個人投資家の傷が癒えるのは「まだこれから」という段階にある。

 個別ではメタバース関連の一角に投機性の強い資金が流れ込んでいる。圧巻だったのはシーズメン<3083>。ファッションブランドのメタバース参入支援ビジネスを開始するとの発表を受け、前日まで2日連続のストップ高カイ気配を演じていたが、値幅制限拡大となったきょうは一時99%高の2270円まで買われる場面があった。

 つまり、1日で株価が2倍、ワンデー・ダブルバガーである。その後は伸び悩んだが、たとえ需給思惑オンリーであっても、こうした銘柄が存在するということは特筆に値する。メタバース関連は業績面で難がある銘柄が多いのも事実で、半ばマネーゲーム的な割り切りが必要となる。そのなか、業績実態も考慮してCRI・ミドルウェア<3698>などは中長期投資にも耐え得る底値買い銘柄としてマークしてみたい。

 このほか、AI関連ではブレインパッド<3655>が底入れ反転の兆し。量子コンピューターのテーマでも物色の流れに乗る。また、半導体セクターでは海外投資家からの注目度が高いソニーグループ<6758>の動向に引き続き目を配りたい。化合物半導体製造装置に強みを持つ半導体商社の伯東<7433>の動きも良い。20年ぶりの高値圏にあるが、PER、PBR、配当利回りの主要3指標で判断してまだ割安感が強い。更に、割安さに着目するなら遠藤照明<6932>の押し目は魅力的。今年に何度か取り上げてきたが、10月下旬に高値形成後は調整を入れていた。成長期待が大きく、株式需給面で目先売り一巡感が漂う。

 もう一つ押さえておかなければならないのは、今月後半から怒涛のIPOラッシュが始まるということだ。特に第4週、20日からクリスマスイブの24日にかけてが凄まじい。マザーズ市場を中心に、乱れ打ちで夜空に繚乱する花火のごとし。今回は個人投資家の資金の回転が滞っていることで盛り上がりに欠けるとの見方も根強いが、それだけに跛行色が強まり、輝きを放つ銘柄には資金が集まりやすくなる。

 市場関係者の声を総括すると、やはりAI・IoTやDX関連株への注目度が高いようだ。今週末10日にマザーズ上場予定のフレクト<4414>や23日上場予定のエクサウィザーズ<4259>などの人気素地を指摘する声が強い。

 またサイバーセキュリティー分野に展開するグローバルセキュリティエキスパート<4417>、複数の国内ネット証券が出資していることで話題性があるFinatextホールディングス<4419>などもマークされる。鳴り物入りの大型上場では、15日にマザーズ市場ではなく東証1部に上場予定のネットプロテクションズホールディングス<7383>がある。もっともこれは値動きという点では派手さはない。セカンダリーはこの時の全体市場の地合いに左右されやすく、投資家心理を測るバロメーターという見方も出ている。

 あすのスケジュールでは、11月のマネーストック、10~12月期の法人企業景気予測調査、10月の特定サービス産業動態統計、11月の都心オフィス空室率など。また、5年国債の入札も予定される。海外では、11月の中国消費者物価指数(CPI)、11月の中国生産者物価指数(PPI)、10月の米卸売在庫・売上高など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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