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【特集】舞い上がる「非接触テック」関連株、ニューノーマル視野に導入急ピッチ <株探トップ特集>

新型コロナの感染拡大を機に変化した生活様式が定着しつつあるなか、対面サービスを見直す動きが相次いでいる。非接触ニーズは依然として高く、更なる市場拡大が見込まれている。

―ウィズコロナ対応の新サービス続々、ニーズ捉える企業の商機拡大へ―

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に生活様式は大きく変化し、ニューノーマル(新常態)が徐々に定着しつつあるなか「非接触」がキーワードのひとつとなっている。足もとではワクチン接種が進み、行動制限の緩和が模索されているが、経済活動の正常化が一段と進むためには安心・安全な空間を実現する仕組みが欠かせない。ウィズコロナを見据えた新たなサービスや製品が相次いで登場しており、「非接触テック」市場は更に拡大しそうだ。

●対面サービスに変化

 感染防止の観点から外食業界で非接触化のニーズが高まっている。イタリア料理店をチェーン展開するサイゼリヤ <7581> は8月から、アルファクス・フード・システム <3814> [JQG]の配膳AIロボット「サービスショットα2号機」の実証実験を開始。料理を提供する配膳や皿の回収(下げ膳)をスムーズに行えるかどうかを確認し、改善点などを洗い出すことで導入店舗を拡充したい考えだ。

 また、すかいらーくホールディングス <3197> は10月、ファミリーレストラン「ガスト」などで料理の配膳や下げ膳を行うフロアサービスロボットを順次導入すると発表した。計画では2022年4月までに約1000店舗、同年末までに更に約1000店舗への導入を目指すとしている。

 このほか、日本調剤 <3341> が9月から横須賀中央薬局(神奈川県横須賀市)で非接触での処方薬受け渡しの実証実験を実施しているほか、花王 <4452> は10月にカネボウ化粧品のスーパープレステージブランド「SENSAI(センサイ)」のウェブサイトに非接触で肌状態を測定するツールを公開。11月からJR東京駅(丸の内中央改札口)に設置されたインフォメーション端末には、新光商事 <8141> の非接触ソリューション「ノータッチフレーム」が搭載されている。

●企業の取り組み活発化

 非接触ニーズを捉えた企業の取り組みは活発で、シャープ <6753> は各種端末やデジタルサイネージのタッチレス操作ができる「静電ホバータッチディスプレイ」を開発した。これは新開発の高感度タッチコントローラーにより、ディスプレーの表面から最大約5センチ離れた指を高精度で検知するもので、サイズは15インチ程度の中型から55インチ程度の大型まで幅広く展開することが可能だという。

 楽天グループ <4755> は、チケット予約・販売サイト「楽天チケット」でのチケット販売と、スキーデータ(東京都千代田区)が提供する自動認証機を含む入場管理ソリューションを連携させた完全非接触型のワンストップ・チェックイン・ソリューションを提供している。既にイベント主催者や施設、自治体での導入検討が進んでおり、来春から神戸文化ホールに導入されることが決まっている。

 インパクトホールディングス <6067> [東証M]子会社のimpactTVは、ハウス食品グループ本社 <2810> と非接触・タッチレスの「スパイス・エア・サイネージ」を共同開発したほか、フルテック <6546> とはインフォメーション機能を持つ非接触バリアフリートイレドアスイッチ「ソーシャルアイ」を共同開発し販売している。

 これ以外では、TOA <6809> と小野測器 <6858> などが非接触バイタル・センシング技術の開発を推進しているほか、島津製作所 <7701> は医療機関向けの受付システム「メルシス フォーシリーズ」のタッチパネル部に取り付ける非接触パネルを販売。空中入力ソリューションを手掛けるアルプスアルパイン <6770> 、非接触スイッチを扱うミタチ産業 <3321> 、非接触ボタンを装備したエレベーターを提供するフジテック <6406> 、空中ディスプレー事業を展開するアスカネット <2438> [東証M]などにも注目したい。

●高まるロボットの重要度

 非接触化が求められるなか ロボットの重要度は一段と増しており、関連銘柄にも目を配りたい。

 オムロン <6645> はこのほど台湾の協調ロボットメーカーであるテックマン・ロボットに出資することで合意したほか、川崎重工業 <7012> は藤田医科大学病院(愛知県豊明市)で検体や医薬品などを無人で運ぶサービスロボットの実証実験を開始。ケイアイスター不動産 <3465> のグループ会社であるCasa roboticsは6月にリモートでの接客を行うための専門部署「ロボット部」を設立し、規格型平屋注文住宅IKI(イキ)の無人内覧を実施。6月から9月の無人内覧を希望する顧客の申し込み件数は、設立前の2月から5月に比べて約3.3倍になったという。

 また、自律走行型配送ロボット「YUNJI DELI(ユンジ デリ)」を手掛けるNECネッツエスアイ <1973> 、グループ会社がヒト型協働ロボット「NEXTAGE」を商品化している川田テクノロジーズ <3443> 、屋内自律移動ロボットソフトウェア「Rtino(アルティノ)」を提供するセック <3741> 、無人配送ロボットを取り扱うFIG <4392> 、カセットボンベを燃料とした「熱電発電システムを用いた自律ロボット」を東京大学などと共同開発したダイニチ工業 <5951> も要マーク。

 次世代サービスロボット向けRTシステム「SEED Solutions」のスマートアクチュエーターを搭載したプラットフォームロボット「SEED-R7シリーズ」を展開するTHK <6481> 、中国の深センPuduテクノロジーが開発・展開するサービス配膳ロボットの国内代理店となっているテクノホライゾン <6629> [JQ]、ロボットシステムを手掛けるグループ会社を持つIDEC <6652> などのビジネス機会も広がりそうだ。

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