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【特集】金は堅調、インフレ懸念も米FOMCで金融政策の見通しを確認 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 の現物相場は、9月末に8月10日以来の安値1721ドルをつけたのち、ドル高一服やインフレ懸念などを背景に買い戻されて堅調となり1800ドル台を回復した。9月は米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しを背景に米国債の利回りが上昇し為替はドル高に振れたが、10月に入り英中銀の利上げ観測が出るとドル安に転じた。また、原油高が一層進んだことでインフレ懸念が高まった。

 金は中長期の節目となる200日移動平均線(26日1793ドル)水準で推移しており、ここをしっかりと維持できるかどうかがテクニカル面の焦点である。ただ、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング開始に着手することが見込まれ、米金融当局者の関心が利上げ時期に移っていることは中長期の圧迫要因となる。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、FOMCをきっかけに戻り売り圧力が強まる可能性がある。

●原油高によるインフレ懸念が短期的な支援要因

 ニューヨーク原油は2014年10月以来の高値85.41ドルをつけた。サウジアラビアが増産を否定したことに加え、需要増加見通しを受けて堅調となった。

 世界銀行はエネルギー価格が2021年に80%以上高騰し、2022年もさらに小幅上昇する見通しを示している。また、原油価格が上昇したにもかかわらず、石油・ガス掘削リグ稼働数が2016年並みの水準までしか回復していないことが指摘されている。原油は強気局面の入り口にあるとされ、ゴールドマン・サックスが2023年は85ドルの水準を予想するなど、原油高の長期化を見込む大手銀行が増えている。

 これまで金融当局者は、インフレは新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした供給制約による短期的なものとしていたが、原油高が加わったことでインフレに対する警戒感が高まっている。英中銀のベイリー総裁は17日、エネルギー価格の値上がりによってインフレ局面がより長引き、予想物価を押し上げるリスクが高まっているとし、そのような場合には政策対応をすると述べたことが利上げ観測につながった。インフレ警戒感を受けて金ETFに逃避買いが入る状況ではないが、今後の原油とインフレの動向を確認したい。

 CMEのフェドウォッチによると、米金利先物市場で来年後半にFRBが3回利上げすることが織り込まれた。26日時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準(現在0~0.25%)の確率は12月に0.75~1.00%が32.2%となり、1ヵ月前の6.7%から急上昇した。ただ、市場ではテーパリング着手が11月のFOMCで発表され、量的緩和の終了が来年半ば頃となる見通しであることを考えると、利上げの織り込みは行き過ぎと指摘されている。FOMC後に見通しがどう変化するかも確認したい。

●SPDRゴールドの現物保有高は昨年4月以来の低水準

 世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの現物保有高は10月25日に978.07トン(前月末990.03トン)に減少し、2020年4月以来の低水準となった。FRBのテーパリング見通しを背景に6月18日の1053.06トンをピークとして減少傾向にある。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは10月19日時点で19万3349枚となり、9月28日時点の16万8399枚を当面の底として拡大した。新規買いが6068枚、買い戻しが1万8882枚入り、買い戻しが目立った。FOMCで戻り売り圧力が強まるかどうかが当面の焦点である。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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