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【特集】ADワークスグループ Research Memo(7):既存事業の強化に加えて“脱”不動産事業の育成にも取り組む(2)


■ADワークスグループ<2982>の中期経営計画

(3) 共通施策
a) クラウドファンディングの活用
資金調達手段として、今後はエクイティ・ファイナンスよりもDebtを活用して成長資金を調達する方針を打ち出しており、そのなかでクラウドファンディングによる資金調達も機動的に組み合わせていく方針だ。また、販売面でもクラウドファンディングのプラットフォームを通じて、米国での住宅ローン債権を金融商品化して販売(50百万円)したほか、今後の顧客拡張や新たな投資ソリューション商品組成において同プラットフォームを活用していくことにしている。

b) フィービジネスなどノンアセット事業の強化・探索
ノンアセット事業では、業容拡大に比例して管理物件棟数、オーナーとのリレーション数、売買物件情報量が増加するため、売買仲介やPM、リノベーション工事等のフィービジネスのチャンスも乗数効果を伴って増加していくことが期待される。

事業会社のうち、PM業務を展開するエー・ディー・パートナーズや、バリューアップ工事を行うエー・ディー・デザインビルドについては、バリューチェーンの強化において存在感を発揮する一方で、フィー収入を基本とするビジネスモデルとなるため資本効率が相対的に高く、両社の収益力を強化することで全体の資本効率も向上していくものと見ている。

また、REIT事業において、その運用に付随してAM(アセットマネジメント)収入や仲介手数料、PM収入、修繕工事収入等の各種フィー収入の獲得が見込めるように、不動産ビジネスの新たな枠組みにおいて不動産周辺事業の収益獲得機会も増加する見通しだ。さらに、将来的にはCVC事業やDXを活用した“脱”不動産事業に取り組むことで、資本効率の高い事業を育成していくことにしている。いずれも中期経営計画には限定的な織り込みとなっており、順調にこれらの取り組みが進展すれば資本効率指標においてのアップサイドが期待できることになる。

c) DX推進元年
同社は2021年1月に「DX推進元年」を宣言し、優先度の高い経営課題としての取り組みを明確化した。

具体的には、DXに関する社員全体のスキルレベルを底上げすべく教育に注力し、基礎レベルを向上させ主体的に業務改善に取り組める状態を早急に作り上げていくほか、外部の知見を合わせて専任チームを編成し、以下の4段階で業績に寄与するDXに取り組んでいく。第1に、管理系(人事・経理等)業務フローのデジタル化・効率化、第2に、事業系業務フローのデジタル化・効率化(各種データ連携、決裁フロー、契約関連等)、第3に、デジタル技術導入による業務自体の革新、第4に、DXによるビジネスモデルの変革や“脱”不動産事業領域の機会探索を推進していく。

d) 全施策を支える人事制度・報酬制度改革
人事評価制度については2021年4月より、報酬改定ルールを見直し、市場価値連動型報酬制度や年功序列に拘らず優秀であれば若手社員であっても早期に昇格させる評価制度を導入した。また、人事制度全般では、人事制度改革プロジェクトを立ち上げ、社員の成長を加速させることによる既存事業ラインの強化、社員のキャリア転換を含めた新事業領域の具現化、それらをリードする高付加価値人材の活躍をバックアップすべく、抜本的な改革を前提とする人事制度の導入を今後進めていく予定となっている。

なお、同社独自の報酬制度として、従業員向けキャッシュ長期業績連動報酬(LTI)※や新卒社員向け株式報酬制度、役員向けナスダック総合指数連動型ストックオプションなどを既に導入している。

※利益目標を達成した翌期から3年間、賃金や賞与とは別に一時金支給を確約する報酬制度で2015年度より導入している。2019年3月に経済産業省主催の「経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会」において、外部競争力重視の報酬設定の事例として取り上げられた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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