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【特集】RSテクノ Research Memo(8):中期経営計画は順調な滑り出し(1)


■今後の見通し

2. 中期経営計画の進捗状況
RS Technologies<3445>が2021年2月に発表した4ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2024年12月期の業績目標として、売上高37,100百万円、営業利益7,900百万円を掲げている。2024年12月期までの4期を平均成長率で見ると売上高で約10%成長、営業利益で約15%成長となる。半導体市場全体では年率5%の成長を前提としているため、同社は業界平均を上回る成長を目指していることになる。

世界半導体市場統計(WSTS)の直近の市場予測(2021年8月時点)によれば、2021年の半導体出荷額伸び率は従来予想の19.7%増から25.1%増に上方修正され、合わせて2022年については従来予想の8.8%増から10.1%増に上方修正している。こうした背景には、パソコンやスマートフォン、自動車、ロボットなど様々な用途で半導体の需要が伸びており、需要に供給能力が追い付いていないことがあると思われる。同社の最大顧客であるTSMCが米国に加えて、日本や台湾でも新工場の建設に向けた検討を始めているとしており、同社にとってはしばらく追い風が続きそうだ。

こうした状況から、同社も2021年12月期業績の上方修正を行ったが、今後も景気悪化により半導体需要が冷え込まない限りは、中期業績目標で示した2022年12月期業績についても上振れする可能性が高いと弊社では見ている。また、同社は中国市場での事業拡大にも注力している。中国政府が国策として半導体産業の育成に取り組んでおり、中国内での半導体生産額が中長期的に拡大していくものと予想されるためだ。現在、持分法適用関連会社のSGRSで12インチプライムウェーハの開発と、再生ウェーハの量産準備を進めている。プライムウェーハは設備投資が多額の資金が必要となるため、当初は経営リスクを軽減すべく持分法適用関連会社として立ち上げ、収益化の目途が立った段階で連結子会社となるよう出資比率を引き上げていくものと思われる。SGRSが連結子会社となれば売上規模も一段と拡大することが予想される。

(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業については、12インチ再生ウェーハの旺盛な需要に対応するため、日本及び台湾での能力増強に加えて、2022年12月期より中国の関連会社、SGRSの徳州工場で量産を開始する。12インチ再生ウェーハを3拠点(日本、台湾、中国)で量産するのは同社が初となる。また、今回旺盛な需要に対応すべく台湾での投資計画を見直し、2023年の生産能力を従来計画の20万枚から22万枚に引き上げ、そのための追加投資として2022年と2023年で合わせて11億円の投資を実施する計画とした。この結果、12インチ再生ウェーハの月産能力はグループ全体で2020年12月期末の42万枚から2023年12月期末には57万枚と約1.4倍に拡大することになる。同社は8インチの再生ウェーハも国内で月産13万枚の能力を有しており、単純に面積ベースの能力で見れば4年間で約1.3倍に拡大する計算となる。2020年12月期の売上高が約114億円で、価格や稼働率が変わらないとすれば2024年12月期に150億円弱の売上規模となり、年平均約7%の成長率となる。2023年以降に半導体市場が一旦調整するリスクもあることも考えれば、妥当な水準と見ることができる。

設備投資計画について見ると、徳州工場の量産開始に向けた設備投資を行う2021年12月期が47億円とピークとなるが、徳州工場については関連会社のため設備投資額の約2割を負担するスキームとなっている。徳州工場については2022年12月期第1四半期から稼働を開始する見通しで、月産能力5万枚でスタートする。中国では12インチウェーハの半導体工場の新設計画が、世界のなかで最も多く計画されており、再生ウェーハの需要も想定以上のスピードで拡大する可能性がある。このため、2024年以降のいずれかの段階で月産10万枚まで引き上げていくことも視野に入れている。なお、2022年12月期以降に中国で量産が開始されれば、現在国内から中国へ輸出している分を徳州工場からの出荷に切り替え、国内工場で余った能力について日本・アジア・欧米に振り向けていくことにしている。

中国での12インチ再生ウェーハの新たな競合として、フェローテックホールディングス<6890>の中国子会社が2021年4月以降に月産能力12万枚の工場を竣工し量産を開始しているもようだが、同社は技術面、品質面での優位性から今後も中国国内での高いシェアを維持することが可能と弊社では見ている。具体的には、ウェーハ表面のダメージを最小限にとどめて、再生利用可能回数を業界平均よりも約2倍に伸ばせる精緻な膜剥離技術や研磨技術力等が挙げられ、こうした技術は30年以上、ウェーハ再生事業に携わり蓄積してきたもので他社の追随を許さないものとしている。

(2) プライムウェーハ事業
プライムウェーハ事業では、2020年10月に竣工した山東GRITEKの新工場(徳州工場)で8インチウェーハの量産を開始し月産能力は13万枚となっており、2023年までは13万枚を維持していく予定だ。一方、関連会社のSGRSで12インチプライムウェーハの量産化に向けた研究開発を進めている。すでにモニタウェーハの品質基準はクリアしている。2021年12月期は設備投資40億円をかけ月産1万枚規模のテストラインを整備し、モニタウェーハとしてウェーハ再生事業の顧客へ販売を開始している。

プライムウェーハとして販売していくためには品質をもう一段と引き上げていく必要があり、その鍵を握るのはインゴット引き上げ工程となる。大口径のインゴットを均質な純度・品質(酸素濃度や抵抗値等)で引き上げ、高い歩留まりを達成するのは難しく、同社に先行して開発に着手していた中国メーカーで量産化技術を確立したところはいまだ出ていないもようだ。同社は大手シリコンウェーハメーカー出身のエンジニアを招聘して、現地スタッフにノウハウを伝授している段階にある。製造の後工程となる研磨・洗浄工程については再生ウェーハの技術を活用できるため問題はない。このため、順調に開発が進めば、2022年12月期後半にも量産化ラインを整備する段階に入るものと思われる。目標とする月産能力30万枚の設備を整備するためには1千億円規模の多額な資金が必要となるため、段階的に設備投資を実施していく方法や、中国競合他社とのM&A等を含めた多様な手段を検討していくことになると推測される。また、当該投資資金は、合弁先のGRINMや徳州市政府系ファンドと共同で負担していくことになると思われる。

なお、プライムウェーハにも品質によってグレードが分かれており、最高級グレードのウェーハは10nm以下の最先端プロセスで製造する半導体に使用されるが、中国半導体メーカー向けでは平均水準より若干低いグレードの製品を多く使用している。同社はこうしたボリュームグレードの製品を大手メーカーよりも安価な価格で販売することで、シェアを拡大していく戦略となっている。現在は45nmの製造プロセスに対応できる品質までクリアしているもようで、さらに品質を高めると同時に歩留まりの向上を図ったうえで量産化を進めていくことになる。

なお、子会社のGRITEKが中国版ナスダックと呼ばれる取引所の新興企業向け市場(科創板市場)への上場準備を開始したことを2020年9月に発表していたが、2021年内に上場申請書を提出し、審査が順調に進めば2022年12月期上期中に上場することになりそうだ。株式の上場目的は、資金調達の多様化とブランド力の向上、優秀な人材の採用を図り事業基盤を強化することでさらなる成長を目指すこと、同時に同社グループの企業価値向上を図ることも目的となっている。このため株式上場後も同社が実質的に過半の支配権を有し、連結対象子会社として維持していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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