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【特集】上方修正サイン点灯!「上期決算発表」接近で要注目の有力株リスト <株探トップ特集>

22年3月期第1四半期は好決算が相次いだが、慎重な通期予想を据え置く企業が目立つ。今回は上期決算発表シーズンを前に、業績修正履歴を使って上方修正の有力候補を6社選んだ。

―好業績&高進捗銘柄に照準、過去データから増額有望な妙味株を絞り込む―

 今月下旬から本格化する22年3月期上期(4-9月)の決算発表シーズンを前に、業績予想を修正する企業が増えている。通常、上場企業は期初に立てた業績予想について、期末までに何回か見直しを行い、より実態を反映した数値に修正する。業績修正を発表する企業が1年で最も多いのが、上期決算発表のピーク期間にあたる10月下旬から11月中旬だ。今回は上方修正の先回り候補として、第1四半期の業績が好調で通期計画に対する進捗率が高く、業績上振れが期待できる銘柄を追った。

●好決算も先行き不透明で慎重な見通し目立つ

 22年3月期第1四半期にあたる4-6月期決算では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大打撃を受けた前年同期から収益が大きく回復した企業が大半を占めた。想定以上に好調な業績を踏まえ、通期見通しを引き上げる企業が相次ぎ、7月初めから8月中旬にかけて上方修正に踏み切った企業は約250社に上った。この時期としては異例の多さだ。一方、新型コロナ変異種(デルタ株)の感染拡大など先行きを懸念する向きも強く、第1四半期業績が好調でも慎重な姿勢を崩さない企業も目立つ。上期決算発表の本格化を前に、上振れ余地が大きい企業をチェックしておきたいところだ。

●業績修正履歴から上方修正候補を抽出

 上場企業が算出する業績予想は企業ごとに習性を持ち、毎年保守的な計画を出す企業があれば、強気な見通しを立て続ける企業もある。業績修正についても同様で、期中に修正を繰り返す企業がある一方、計画値から大きく外れても修正せずにそのまま期末を迎える企業も多く存在する。こうした企業の“クセ”をつかむことによって、上方修正しそうな銘柄とその時期を予想することができる。ここでは業績予想を上方修正する傾向が強い企業に注目し、前期の上期決算シーズンに上方修正した履歴がある銘柄の中から、第1四半期経常利益の通期計画に対する進捗率が過去5年間の平均値を上回り、かつ足もとの業績が好調に推移している6社を紹介していく。

【松田産業 <7456> 】

  貴金属リサイクルを主力とする松田産業の第1四半期業績は、売上高701億2000万円(前年同期比31.0%増)、経常利益43億1100万円(同2.6倍)と高変化を遂げ、いずれも四半期ベースの過去最高を塗り替えた。自動車市場の回復などを背景に取引先である電子部品・デバイス業界の生産活動が持ち直し、貴金属リサイクルの取扱量が増加したことに加え、貴金属相場の上昇も追い風となった。好調な業績を踏まえ、22年3月期通期の経常利益予想を14期ぶりの最高益となる111億円(従来は86億円)へ上方修正した。ただ、増額幅が第1四半期実績に比べ保守的とみられるほか、同社は期中に複数回にわたって業績修正するケースが多く、更なる上振れが期待される。指標面では予想PER10倍近辺と株価の見直し余地も大きい。

【ITFOR <4743> 】

 アイティフォーは金融機関向けソリューションを主力とする独立系ソフト開発会社。個人向けローン債権の督促を行う債権管理システムで圧倒的なシェアを誇る。足もとの業績は金融機関を中心に旺盛なデジタルトランスフォーメーション(DX)ニーズを捉え、成長路線をまい進している。第1四半期は主力の金融機関向けのソフト開発やインフラ設備の更新、コールセンター向け自動受架電システムの導入などが好調を維持したほか、保守サービスや公共分野向けBPOサービスも増勢だった。業績好調に伴い、売上高、経常利益ともに通期計画を4期連続の過去最高見通しに上方修正したが一段の増額に含みを持たせている。また、予想PER12倍台とシステム系としては割安感が強いことに加え、無借金経営で財務面の健全性が高く安定配当を続けていることも注目ポイントだ。

【高砂香料工業 <4914> 】

 高砂香は国内トップの香料メーカー。食品や洗剤、化粧品に使われる香料を主力とし、足もとでは香料市場の成長が見込まれるアジアや欧米などの海外展開に重点を置いている。第1四半期業績は、国内で昨年低迷した飲料向け香料の販売が回復に転じたほか、米国では新型コロナの影響による芳香剤向けの好調が継続し、経常利益は29億9000万円(前年同期比3.2倍)に膨らんだ。22年3月期は販管費の増加などを考慮し、経常利益53億円(前期比27.2%減)と大幅減益を見込むが、第1四半期実績だけで進捗率が5割を超えており、上振れする可能性が高いとみられる。指標面ではPBRが0.5倍台と会社解散価値の半分程度に過ぎず、株価の水準訂正余地は大きい。

【プロパティエージェント <3464> 】

 プロパティAは投資用マンションの開発・販売を主力とする。デジタル技術に強みを持ち、不動産投資型クラウドファンディングサービスを運営するほか、直近では顔認証IDビジネスやDX事業に参入するなど、不動産テック企業としての評価も高い。第1四半期業績は前期から本格始動した中古不動産マッチング事業で投資用中古物件の販売が大きく伸びたほか、居住用コンパクトマンションの売却が好調だった。前年同期が非連結だったため単純比較はできないが、経常利益は7億1300万円(前年同期は4億5200万円)に急増し、通期計画に対する進捗率は38.8%と高水準だ。また、同社は前期まで4年連続で11月上旬に通期計画を上方修正しており、有力候補としてマークしたい。

【三井倉庫ホールディングス <9302> 】

 三井倉HDは21年3月期に経常利益172億4000万円と過去最高益をたたき出したが、今期は成長一服を見込む。足もと第1四半期業績はフォワーディング業務や港湾運送業務が回復をみせたほか、東京五輪需要やコロナ禍での消費行動の変化を背景にテレビなどの家電物流が好調だった。決算発表と併せて通期の経常利益予想を増額修正したが、第1四半期実績の修正した通期計画(153億円)に対する進捗率は4割近くに達するうえ、ここ4年連続で11月上旬に上方修正した経緯もあり、一段の増額に期待がかかる。株価は9月14日に約8年ぶり高値圏となる2880円に浮上したあと、全体波乱相場を背景に500円近い下落を強いられている。ただ、急速な下げで値ごろ感が出てきており、押し目買いが意識される場面にある。

【ヒガシトゥエンティワン <9029> [東証2]】

 ヒガシ21は大阪地盤の運送・倉庫事業を軸に、オフィス移転やITサポート業務、介護サービスなども展開する。第1四半期は運送事業で事務所移転ニーズを取り込んだほか、倉庫事業におけるインターネット通販向け大型物流センターの本格稼働なども寄与し、売上高65億3700万円(前年同期比18.1%増)、経常利益5億1600万円(同2.4倍)と収益ともに大きな伸びをみせた。経常利益は四半期ベースの過去最高益を記録し、対通期計画(13億円)進捗率は39.7%と業績上振れが視野に入る。同社は株主還元への意識が高く、業績予想の上方修正に踏み切れば配当の増額も期待できそうだ。なお、今期配当は期末一括で20円(前期比2円増)を予定している。

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