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【特集】ハウスドゥ Research Memo(2):フランチャイズチェーン網を活用し、不動産業界初のソリューションを次々と展開


■会社概要

1. 沿革
ハウスドゥ<3457>は1991年に京都府で創業し、自社で培った不動産売買仲介事業のノウハウをベースに、2006年にフランチャイズ事業を開始した。「全てのエリアにハウスドゥ お客様のより近くに安心、便利な窓口を創り出す。」をビジョンに、不動産情報のオープン化の推進と安心・便利なサービスを提供する不動産コンビニ構想の実現に向けて、国内1千店舗、アジア5万店舗を目指している。2020年に47都道府県での出店を果たし、フランチャイズ事業の累計加盟契約店舗数は702店舗(2021年6月期末)に達するなど、順調に推移している。

2. ブランド理念
2020年10月に同社は、約15年ぶりにコンセプトとロゴを一新した。新しいブランドロゴとスローガンには、IT・Webを融合させた不動産テック企業として、住まいのことなら何でもワンストップでスマートに応えることで、不動産業界を顧客のための業界に変革していく意志が込められている。なお新ブランドは、草津店(滋賀県草津市)を皮切りに、2021年1月より新店舗に順次導入されている。また、既存店については、直営店は2020年内に新ブランドロゴの看板に変更済みで内装リフォームは順次進める予定、加盟契約店舗は完了までに数年を見込んでいる。

3. 会社概要
同社は、不動産売買仲介チェーンとして加盟店舗数全国トップの実績を誇る。住宅情報モールや家・不動産買取専門店、ハウス・リースバック、リバースモーゲージ保証事業など、業界初となる業態や新規事業を開発・商品化することで、不動産業界や日本社会が抱える問題に対してソリューションを提供するなど、日本経済の活性化に貢献してきた。

同社の強みは、不動産売買仲介で業界最大のネットワークを有し、SPA(製造型小売業)のように業界初のサービス・事業を次々と開発し、商品化する能力にある。他社に先駆けて開発したサービスや制度の一例を挙げると、2013年10月に開始した買取りに特化したフランチャイズ事業の「家・不動産買取専門店」、住みながら家の売却を可能にした「ハウス・リースバック」、2017年10月に開始した金融機関との提携による「リバースモーゲージ保証事業」など多岐にわたる。

同社は、これまでも時代のニーズに即したソリューションサービスを提供する「不動産サービスメーカー」として、リアルの店舗ネットワークとIT・Webを融合させることで、情報のオープン化と安心・便利な不動産サービスの窓口となる「不動産コンビニ」構想の実現を進めてきた。

一例を挙げると、同社が提供する不動産業向け基幹システム「DO NETWORK」がある。これは、不動産業務に必要な物件・顧客・業者・契約といった情報を一括管理できるオリジナルの基幹システムで、集客・営業支援、物件顧客マッチングシステム、追客支援、最新不動産情報配信メールサービス等、同社が現場で培ってきた実証済みの“使える”ノウハウをシステム化していることが特徴である。同システムは業務効率化、時間短縮、コスト削減のほか、中小企業の生産性向上を支援していることから、2020年まで4年連続で経済産業省の「IT導入補助金対象サービス※」に認定されている。

※新規導入企業に対して下限30万円~上限150万円未満(補助率1/2以下)が補助される。


また、2020年8月には「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進本部」を設立している。不動産業では一般的な対面でのやり取りや書面交付を基本とした旧来の取引から脱却し、顧客が安心・便利に利用できる「不動産×金融×IT」を融合したサービスの推進を目指す。この背景には、コロナ禍により社会全体がDX推進への機運を一層高めたことがある。具体的には、業務面でのコロナ禍対策として、オンライン商談、在宅勤務などのテレワーク、Web会議システム導入などが進んだことがある。

そのほか2021年4月には、住宅において必要なIoT機器を標準装備した「スマートDOホーム」の販売を開始した。専用のスマートフォンアプリや音声でIoT機器を操作できるほか、家電や設備を自動連携することで新しい生活スタイルを手に入れることができる。今後は、「スマートDOホーム」を同社グループの新築住宅の標準仕様とする方針で、直営店での提供を本格化した後に加盟店へのサービス展開を進める予定である。

4. グループ会社
同社グループは、同社と連結子会社7社及び関連会社1社により構成される。同社はフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産売買事業及びリフォーム事業を行い、子会社では(株)ハウスドゥ住宅販売が不動産流通事業、(株)フィナンシャルドゥが金融事業、(株)ピーエムドゥがプロパティマネジメント事業、(株)京葉ビルドが不動産賃貸業等を展開している。また、2019年8月に買収した小山建設グループは、(株)小山建設、(株)小山不動産及び(株)草加松原住建(現 (株)ハウスドゥ・ジャパン)からなり、埼玉県草加市を中心に不動産売買仲介及び賃貸仲介、建設業等を営む。なお、同社は、グループガバナンスの強化と経営資源配分の最適化、経営人材の育成及び機動的な組織体制構築などを目的に、2022年1月1日に持株会社体制に移行することを発表している(詳細は後述)。

海外市場では、2019年2月に、アジアにおける事業展開の足掛かりとなる同社初の海外関連会社をタイに設立した。合弁会社H-DO (THAILAND) Limitedは、事業運営を現地の合弁先が担い、同社は日本で培った不動産流通に関するノウハウを提供することで、主に中古住宅のリノベーション事業を行う。まずは中古再販事業で実績を積み上げ、その後フランチャイズ事業の展開を進める予定だ。タイでは日系企業による住宅やオフィスビルの開発が盛んだが、中古不動産の流通市場に進出している日系企業はなく、同社子会社が業界トップの座を狙える未開拓のブルーオーシャンとなる。タイ事業を軌道に乗せた後は、アジア圏での事業拡大を目指す。なお、H-DO (THAILAND) Limitedの株式は、不動産開発や住宅金融などを行っているCapital Link Holding Limitedが49.0%、同社が49.0%、同社の海外事業をサポートする企業が2.0%を持つ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《YM》

 提供:フィスコ

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