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【特集】プラチナは軟調、供給過剰見通しや景気の先行き懸念が圧迫 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しや、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大、半導体不足による自動車メーカーの減産などを受けて軟調となり、昨年11月以来の安値937ドルをつけた。1000ドル割れで中国勢の安値拾いの買いが入ったことや、ニューヨークの指定倉庫在庫が減少し、実需筋の買い戻しが入ったことが下支えになったが、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告で供給過剰見通しに転じたことも圧迫要因になった。

 ただ、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済が回復し、需要は増加しており、実需筋の買い意欲が強まれば下支えになるとみられる。感染力の強いデルタ株が猛威を振るい、景気の先行き懸念が残ることは上値を抑える要因だが、ワクチン接種が進み、感染拡大が抑制されるようなら、先行きに対する楽観的な見方によりプラチナが地合いを引き締める可能性が出てくる。

 8月の米雇用統計で労働市場の改善が急減速し、FRBの早期のテーパリング観測が後退した。ただ、米金融当局者には年内のテーパリング開始が適切とのタカ派発言が目立つ。9月21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で決定が先送りされても、今後発表される雇用指標が改善すれば11月か12月の米FOMCでテーパリング開始が発表されるとみられる。当面は開始時期が注目されるが、利上げのタイミングを見極めるうえで規模縮小のスピードや終了時期も焦点となる。

 一方、欧州中央銀行(ECB)は、9日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模を前2四半期の月間800億ユーロから600億~700億ユーロに小幅縮小することを決定した。ただ、ラガルドECB総裁は「テーパリングではない」と強調し、明確なPEPPの終了時期は示されていない。新型コロナウイルスの感染拡大などに対する懸念が残っている。

●プラチナは供給過剰見通しに転じる

 WPICの四半期報告によると、第2四半期のプラチナは5トンの供給過剰(前四半期3トン供給不足)に転じた。昨年の鉱山会社の操業停止で積み上がった鉱石の処理が進み、南アフリカの供給が前年同期比124%増の36トンとなったことが背景にある。ただ、総需要も新型コロナウイルスの影響からの回復が継続し、同23%増の59トンとなった。需要増加が続くようなら下支えになるとみられる。今年は6トンの供給過剰(前年27トン供給不足)が見込まれている。

 WPICのポール・ウィルソンCEOは「年初来、経済活動の回復ペースは予想を超えている。プラチナの需要と供給の両方が増加し、このトレンドは年内続くと予想している」と述べている。供給急増で需給バランスが崩れたことが指摘されているが、急成長する水素経済などで今後、需要が増加する可能性は高いとみられている。

●プラチナETFから投資資金が流出

 プラチナETF(上場投信)残高は9月13日の米国で38.42トン(7月末39.47トン)、英国で19.26トン(同19.51トン)、南アで14.18トン(同15.95トン)となった。FRBのテーパリング見通しや新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けて投資資金が流出した。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6349枚となった。もみ合いとなるなか、2019年6月以来の低水準となった8月10日の5819枚から24日には9143枚に拡大したが、戻りは売られた。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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