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【特集】新型コロナ感染拡大でも原油高のなぜ? 未体験の相場は続く<コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司

ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)やブレント原油など海外原油は調整含みだが、7月以降の高値圏を維持している。大型ハリケーン「アイダ」が米ルイジアナ州のインフラやロジスティクスに広範な被害を与えたことで、米国の海上油田の生産量が大幅に減少していることなどが背景にある。ただ、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大が続いており、上値は伸びない。需要回復見通しが不透明となっているなかでも、石油輸出国機構(OPEC)プラスは増産を続ける。

●生活様式に変化をもたらした新型コロナ、石油製品需要の行方は

昨年からの上昇トレンドが続くのかどうかは、新型コロナウイルスの流行次第である。需要回復が腰折れし、減少傾向にある経済協力開発機構(OECD)加盟国の商業在庫が増加に転じるようであれば、相場の流れはおそらく下方向へと変わる。ただ、OECD在庫の先行指標である米国の石油在庫は減少傾向にあり、相場が崩れる兆候は見当たらない。先週のEIA週報で原油と石油製品の在庫の在庫は合計で12億4381万6000バレルと、2019年4月以来の低水準まで減少した。デルタ株が流行していようとも米国の石油製品需要は旺盛であり、日量2282万バレルと統計開始以来の最高水準を記録している。原油高の拠り所は在庫の減少傾向である。

北半球では夏場の需要期が終わり、米国ではガソリン消費が失速してきそうだが、コロナの流行と共に経済活動の正常化が行われているため、例年のような季節的な需要構造の変化が相場を圧迫するのか疑問である。コロナは生活様式を変化させており、秋から冬場に向かって石油製品需要は鈍化していくのだろうか。感染を避けるために自家用車での移動が増えているならば、年末に向けて需要は底堅く推移するかもしれない。昨年、原油価格が1バレル=0ドルを下回りマイナス価格となったことは市場参加者にとって初めての体験となったが、今も未体験の相場が続いていることに変わりはない。

新型コロナウイルスの流行の行方が中心的なテーマであるにせよ、変異を繰り返すウイルスの感染状況は見通しようがなく、市場参加者にとっては手探りの相場であるといえる。ただ、値動きを見通せないにしても、在庫の減少トレンドを頼りにすれば弱気になるような場面でもない。

●ワクチンが迎える初の試練、楽観許されぬ冬場の到来

北半球はまもなく冬場を迎える。一年間で最も感染症が広がりやすい冬場である。米ファイザーや独モデルナが開発したワクチンが実戦投入され、接種率がそれなりに高まったなかでの初めての冬場である。ワクチンの抗体価が低下していくなかで、この時期を乗り越えられるのだろうか。3回目の接種が行われている国があるとはいえ、ワクチンにとっては試練のときである。ワクチンに頼りつつ欧州や米国で経済活動の正常化が続けば、クリスマスや年末に向けて人流は増加し、潜在的な感染リスクは高まる。

日本の場合も、優先接種を受けた医療関係者や高齢者の抗体価が年末に向けて低下する。冬場に試練を迎えるのは欧米だけではない。日本も米国やイスラエルなどと同様に3回目の接種が行われるのだろうか。世界で最も早く3回目の接種を始めたイスラエルでは感染者数が過去最多を更新しており、楽観は許されない。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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