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【特集】金は米FRB議長の慎重姿勢が下支え、焦点は雇用統計とジャクソンホール <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 の現物相場は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派転換の影響が一服したことを受けて下げ一服となり、1800ドル前後に戻した。米金融当局者のタカ派発言が続いたが、雇用不足に対する懸念から買い戻しなどが入って地合いを引き締めた。

 6月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比85万人増と前月の58万3000人増から伸びが加速したが、成人女性の復職について見方が分かれ、雇用不足に対する懸念が残った。一方、6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.4%上昇と、前月の5.0%から加速し、2008年8月以来の大幅な伸びとなった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、価格上昇は一過性だとの見通しを改めて示し、米国債の利回りは低下した。新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大でリスク回避の動きが出たことも利回りを低下させる要因となったが、ドル高に振れると、金に利食い売りが出た。

 現物相場は中長期の節目となる200日移動平均線を突破できず、1791.61~1833.59ドルのレンジを形成した。当面は6日に発表される7月の米雇用統計や、26~28日にジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムでの同議長の講演が焦点である。市場では、同議長は講演で量的緩和の縮小(テーパリング)の実施を示唆するとみられている。

●7月の米FOMCでFRB議長は慎重姿勢を示す

 7月27~28日の米FOMCでは、新型コロナウイルスの感染者が増加したが、米経済の回復は順調との見方が示された。また、金融支援策の最終的な撤回に向けた議論を継続する意向を示した。ただ、具体的な縮小時期などは示されなかった。パウエル米FRB議長は利上げ検討は程遠いと述べ、経済支援策を撤回するには米労働市場にいくつかの着手すべき問題があると慎重姿勢を示した。

 インフレ懸念を背景にテーパリングを開始すべきとのタカ派と雇用不足によるハト派で意見が分かれている。米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、デルタ株の感染拡大を巡る懸念が、米労働市場の回復を遅らせる可能性があるとの見方を示した。

 6日に発表される7月の米雇用統計の事前予想は、非農業部門雇用者が88万8000人増(前月85万人増)、失業率は5.7%(同5.9%)となっている。予想より好調な内容になると、テーパリング実施の見方が強まる可能性がある。ただ、第2四半期の米国内総生産(GDP)速報値はサプライチェーン(供給網)の制約による在庫の大幅な切り崩しを受けて前期比6.5%増と事前予想の8.5%増を下回った。半導体不足で自動車生産が減少しており、サプライチェーンに対する懸念が残ると景気回復が遅れる可能性が出てくる。

 米政府は新型コロナワクチン接種完了者にも屋内でのマスク着用を推奨する指針を出した。米疾病対策センター(CDC)はデルタ変異株に感染した場合、ワクチン接種者の体内でも未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出すことを示す研究結果を発表した。ワクチンは感染者の重症化を防ぐが、米国ではワクチン拒否の動きも強く、集団免疫を獲得する接種率70%に達する時期は12月16日の見通しとなっている。感染拡大とワクチン接種の行方を確認したい。

 一方、英国では成人の70%強がワクチン接種を完了した。ワクチンのおかげで入院・死亡リスクが低下し、英国での感染はあと数ヵ月で収束する可能性があるとの見方が出ている。イングランドで7月19日に規制がほぼ解除されるなか、新規感染者数が半年ぶりに5万人を超えたが、その後はピークを迎えて減少傾向にある。

●NY金先物のファンド買い越し拡大もETFから投資資金の流出が続く

 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は3日に1027.97トンとなった。1800ドル前後に上昇したが、米FRBのテーパリング見通しを背景に6月18日の1053.06トンをピークとして減少傾向にある。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは7月27日時点で19万9388枚(前週19万5972枚)に拡大した。6月22日に16万6214枚と2019年6月以来の低水準となったが、新規買い・買い戻しが入り、急落前の6月8日以来の水準を回復した。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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