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【特集】ギフト Research Memo(1):国内1,000店舗達成に向けて3つの改革を実施

ギフト <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ギフト<9279>は「横浜家系ラーメン」を主力ブランドに、直営ラーメン店の運営(直営店事業部門)及びプロデュース店(契約先店舗)への食材や運営ノウハウの提供など(プロデュース事業部門)を行っている。直営店では、クリーミーなスープが特徴の「横浜家系ラーメン」やがっつり系の「豚山」といった複数ブランドのラーメン店を多店舗展開している。「横浜家系ラーメン」を主体に、人口集中エリアである駅近エリア及びロードサイドエリアへ出店している。自社工場及び委託工場で生産した麺・タレ・スープ・餃子・チャーシューなどプライベートブランド(PB)商品を、直営店とプロデュース店に供給している。2021年10月期第2四半期末の店舗数は、直営店136店舗(うち海外3店舗)、プロデュース店444店舗(うち海外12店舗)となっている。

同社は、出店から製造、教育までの重要な機能を内製化しており、これが同社のビジネスモデルの特徴の1つとなっている。出店は競合状況などを総合的に勘案し、プロデュース店を含め同社が一元的に意思決定を行っている。新業態開発は市場で評価されている業態を開発しており、最近では「豚山」が成功例となる。教育・研修体制や評価・人事制度が確立されており、離職率が他店に比べ低い。PB商品があるため、直営店もプロデュース店も安定した味と品質を維持できるうえ、仕込みなど店内作業を削減することができ、コスト高や匂いによる出店制約といったデメリットもない。チェーンの仕組みを背景にオペレーションを単純化・標準化、各店で活気ある安定したサービスを提供している。職人に依存するラーメン店が多い中、職人を必要としない、こうした「横浜家系ラーメン」業態を確立したことが同社の強みと言える。

同社は中期経営計画として、2023年10月期に売上高213億円、経常利益21億円、2025年10月期に国内1,000店達成を目指している。また、中期ビジョンとして、「商品改革」「オペレーション改革」「製造・物流改革」の「3つの改革」を実行し、業務・製品の仕組化を推し進めることを掲げている。その際のリスクとしては、出店数に応じた人材の育成と、直営店ノウハウのプロデュース店への横展開にあると考えられる。人材については、徹底した教育体制と充実した評価・報酬制度によって十分確保できるであろう。一方、独立志向の強いプロデュース店は本来チェーン化のニーズに乏しいが、日々ブラッシュアップを続ける同社のPB商品や運営ノウハウは、プロデュース店の味・品質・サービスの維持やオペレーションコストの継続的な削減にもつながる。このためプロデュース店においても、3つの改革の効果は波及していくことが予想される。

2021年10月期第2四半期の業績は、売上高6,303百万円(前年同期比18.9%増)、営業利益306百万円(同4.7%増)となった。店内滞在時間が短いラーメン業態であることから、日常食という強みを生かし、店内における各種感染症対策を万全に講じ、コロナ禍でも直営店事業、プロデュース店事業のいずれにおいても休業となるケースはほとんどないなど、安定的に事業展開を図った。また、人材確保が順調に進捗したことで新規出店は計画通りに進み、時短営業・外出自粛の影響が少ない住宅街・郊外ロードサイドに加え、アフターコロナ(コロナ禍収束後)を見据えた都心の一等地へも積極的に出店した。利益面では、3つの改革の実行により、収益性が向上した。2021年10月期の業績見通しについては、売上高15,150百万円(前期比37.9%増)、営業利益1,080百万円(同134.1%増)を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によって営業利益達成のハードルは上がったが、3つの改革を徹底することなどで当初予想を達成する考えである。また、3つの改革の成果をプロデュース店に導入していくことも検討している。

■Key Points
・「横浜家系ラーメン」を主力とした複数ブランドを展開
・中期経営計画では「商品改革」「オペレーション改革」「製造・物流改革」の3つの改革を実行
・3つの改革の実行により、2023年10月期に売上高213億円、経常利益21億円、2025年10月期に国内1000店舗を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

 提供:フィスコ

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