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【特集】三栄コーポ Research Memo(1):2021年3月期は減収減益。2022年3月期は一定の回復見込む

三栄コ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

三栄コーポレーション<8119>は、70年以上の歴史を持ち高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売までのサプライチェーンを幅広く手掛ける。海外には18ヶ所の拠点、国内直営小売店には67店舗を持つ。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表されるこだわりある商品のOEM調達など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。ビジネスモデル面ではOEMが売上高の約7割を占める。事業セグメント別では家具家庭用品事業(2021年3月期売上比53.5%)、服飾雑貨事業(同26.4%)、家電事業(同14.4%)の3事業が柱である。

1. 2021年3月期の連結業績(実績)
2021年3月期の連結業績は、売上高が33,050百万円(前期比19.8%減)、営業損失が709百万円(前期は1,315百万円の利益)、経常損失が446百万円(同1,342百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が717百万円(同191百万円の利益)となり、下期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響から回復基調となったものの減収減益となった。売上高に関しては、OEM事業においてコロナ禍により需要減少の影響を受けた。また巣ごもり需要を背景にネット販売は好調に推移したものの、実店舗を販路の主軸とするセグメントにおいては外出・移動の自粛要請や休業・時短営業の要請等の影響が大きく、ブランド事業全体で減収となった。営業利益に関しては、全セグメントで営業減益となったが、特に子会社(株)ベネクシーの属する服飾雑貨セグメントの減益幅が大きく、25年ぶりの営業赤字となった。半期ベースで見ると、上期の営業損失810百万円に対して、下期は100百万円の黒字に転換しており、収益性の改善傾向は確認できる。

2. 2022年3月期の連結業績(予想)
2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.9%増の36,000百万円、営業利益が100百万円(前期は709百万円の損失)、経常利益が100百万円(前期は446百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が10百万円(前期は717百万円の損失)とコロナ禍の影響は残るものの一定の回復を予想する。売上高予想に関して、鈍い回復予想となった背景としては、商業施設を中心とした小売店舗の集客の低迷である。2021年4月下旬から6月下旬まで東京都などで緊急事態宣言が発出しており、夏に向けた商戦(特に服飾雑貨など外出時の商品)を中心に少なからず影響がある。一方下期に関しては、2021年3月期下期からさらに回復が進む予想だ。2022年3月期下期(特に2022年1月から3月にかけて)は家具家庭用品などが繁忙期となり、コロナ禍においての成長を見込む。営業利益面では、増益基調が鮮明となる予想だ。ブランド事業においては、2021年3月期の本格的なベネクシーの不採算店舗の削減などの対策により、損失額は大幅に減少する見込みである。OEM事業では、ベトナムや台湾の現地法人設立などアジア圏での販売の強化や本部・国内外子会社すべてでのコストオペレーションの徹底などが増益に有効な施策である。弊社では、ワクチン接種などコロナ禍からの脱却の見通しが立ってきたこと、2021年3月期の損失の主な要因は服飾雑貨セグメントでありその対策が進捗していること、eコマースの成長が著しいこと、などから、同社の利益回復シナリオは十分に妥当性があると考えている。

3. トピック
2021年3月期の同社の経常損失は446百万円、そのうちベネクシー(「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」小売り)の経常損失951百万円(2020年12月期)であり、ベネクシーが最大の要因であったことがわかる。不調の要因は、1)ファッションブームの一段落、2)拡大路線による自社競合の発生、3)新たな市場創造に向けた施策不足、4)高コスト構造体質、などであり、コロナ禍が追い打ちをかけた形だ。不採算店舗の削減は商業施設やビルオーナーとの契約期間の関係上、時間をかけて行ってきたが、2021年3月期は50店舗(2019年3月比15店舗削減)にまでスリム化した。今後も店舗削減は継続し2021年12月には46店舗になる計画である。一方で、より上質なサービスを提供できる旗艦店の出店への投資も行う。2020年5月には、ビルケンシュトック新宿店が新コンセプトショップ(旗艦店)としてリニューアルオープンした。修理のスペシャリスト「マイスター(フットウェアの症状の診断や修理のスキルを持つ資格者)」が常駐し、より上質なサービスを提供することでリピート率を向上させる狙いがある。レギュラー店すべての店舗で自社スタッフが接客する体制の構築、運営の縮小による本部経費の圧縮も実行中である。弊社では、ベネクシー業績は底打っており、様々な対策の効果が顕在化する2022年3月期は業績の改善が期待できると考えている。

4. 株主還元策
同社では、株主に対する適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。配当に関してはこれまでの配当性向30%を目途とする方針を改め、同社の財政状態、今後の業績動向や資金需要などを総合的に判断し決定する。同社は将来の事業展開や不測の事態に備えて内部留保による財務体質の充実に努め、経営基盤の強化を図る。また、新たな決議で再確認された経営理念「随縁の思想」のもと株主が安心して株式を長期保有できるよう、可能な限り継続的に配当を実施することを方針とする。2021年3月期はコロナ禍の影響により損失が出たものの配当を継続し、年間配当20円(中間10円、期末10円)とした。2022年3月期も、年間配当20円を見込む。

■Key Points
・「健康と環境」をテーマに「くらしに、良いもの」を世界で製造・販売する多機能商社。家具家庭用品、服飾雑貨、家電の3事業が柱
・2021年3月期はコロナの影響大きく減収減益。巣ごもり需要により家具・インテリアネットショップが好調も、実店舗を販路とする事業で低調に推移
・2022年3月期はコロナ禍の影響は残るものの一定の回復を見込む。売上高8.9%増の360億円、ベネクシーの改革が進捗し利益回復の予想
・ベネクシー(「BIRKENSTOCK」小売)の復活に向けた取り組みが進捗。好調のインテリアECサイトは売上100億円達成に向け強化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《EY》

 提供:フィスコ

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