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【特集】Pウォーター Research Memo(5):2021年3月期は新規顧客獲得が順調に推移し122万ユーザーに

プレミアムW <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2021年3月期通期の業績動向
プレミアムウォーターホールディングス<2588>の2021年3月期通期の売上収益は56,339百万円(前期比23.9%増)、営業利益4,394百万円(同136.3%増)、税引前当期利益3,942百万円(同167.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,193百万円(同71.1%増)となり、2ケタ増収かつ大幅な増益を達成した。売上収益に関しては、新規契約獲得が好調に推移し、それに伴い保有顧客数が積み上がったことで前期比23.9%の増収となった。2021年3月末の保有顧客数は122万件(前期末は100万件)と22万件の純増となった。コロナ禍で大型商業施設におけるデモンストレーション販売が制限されたケースがあったものの、代替施設の確保やテレマーケティング・Webの活用により顧客を増加させた。また、コロナ禍において、在宅時間の増加や内食需要の高まりにより、宅配水の需要が高まり、1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。さらに、既存顧客の継続率の向上や顧客満足度向上のための各種付帯サービスの提供等も保有顧客の維持・向上(解約の防止)に寄与した。営業利益に関しては、前期比136.3%の大幅な増益となった。売上総利益は、各工場設備の稼働率の向上等による製造原価が低減したことなどにより、売上総利益率で2.0ポイント上昇した。販管費は、営業活動の積極的な展開や各種プロモーションを強化したことにより販売促進費用等が増加した一方で、効率的な物流網の構築等の取り組みが奏功し販管費率が1.8ポイント低下した。結果として通期として過去最高の営業利益を達成した。


財務体質の強化が進展。利益剰余金が増加し、親会社所有者帰属持分比率が向上(17.0%)
2. 財務状況
2021年3月期末の資産合計は前期末比19,338百万円増の61,793百万円となり、資産規模が拡大した。そのうち流動資産は10,170百万円増であり、現金及び現金同等物6,635百万円増、営業債権及びその他の債権1,982百万円増、その他の金融資産1,967百万円増、が主な要因である。非流動資産は9,167百万円増加の33,525百万円であり、有形固定資産4,505百万円増、新規契約の獲得に向けた各種営業費用の増加に伴う契約コスト2,686百万円増が主な要因である。新規顧客獲得が順調に進捗していることが数値にも表れている。

負債合計は前期末比15,487百万円増の51,251百万円となった。そのうち流動負債は2,865百万円増であり、営業債務及びその他の債務の1,749百万円増などが主な要因である。非流動負債は12,622百万円増であり、無担保社債の発行(50億円)等により有利子負債が12,548百万円増加したことが主な要因である。資本合計は3,850百万円増加の10,542百万円となった。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴う利益剰余金3,193百万円増が主な要因である。この結果、利益剰余金は2,443百万円のプラスに転じて累積損失が解消し、財務基盤が強化された。

経営指標(2021年3月期末)では、流動比率が129.9%(前期末は95.8%)と上昇し財務の安全性が向上した。これは無担保社債の発行(50億円)等により短期借入金を返済できたためである。親会社所有者帰属持分比率も17.0%(前期末は15.7%)と改善傾向だ。現在は利益が拡大するフェーズに入っており、内部留保が蓄積し始めた。同社は今後、短期で親会社所有者帰属持分比率20%、中期的には30%を目指し、財務の安全性をさらに改善したい考えだ。


2022年3月期通期は売上収益65,000百万円、営業利益5,400百万円を予想。例年通り上振れる可能性あり
3. 2022年3月期通期の業績見通し
2022年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比15.4%増の65,000百万円、営業利益は同22.9%増の5,400百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同3.4%増の3,300百万円と、さらなる業容拡大を計画する。

売上高が前期比15.4%増の予想(前期実績は同23.9%増)と同社の過去の実績からはやや保守的な数字だが、前期も期初予想は16.6%増だったことからすれば、最低限のコミットメントと捉えることができる。宅配水業界にとってコロナ禍による影響はプラスに傾いた。在宅時間が増え、新しいライフスタイルに変化しているためである。在宅時間が長いことは、Web受注及びテレマーケティングの有効性が増すことにつながることに加え、顧客一件当たりの水の消費量が増える効果も期待できる。「プレミアムウォーター」ブランドの知名度向上により、代販(取次)の引き合いが増える傾向にあることや、製造面での規模の効果によるコスト競争力により製造受託が増えるなど売上拡大につながる好条件が揃っている。

利益面では、営業利益が前期比22.9%増(前期実績は同136.3%増)と堅調な増益を予想する。営業利益率では8.3%(前期実績は7.8%)と0.5ポイントの改善を見込む。同社のビジネスモデルは、保有顧客数が積み上がり、そこからの継続的な収益が営業活動に伴う費用を上回ると急激に利益が増加するというものだ。2019年3月期に損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズに入っている。規模の拡大が順調に進めば、工場の稼働率が高まり原価は低減できる。本社管理部門費用のスケール効果や物流効率も向上によりさらなる販管費率の低下の余地もある。弊社では、同社の過去の実績から売上原価率と販管費率の合計で前期比2ポイント程度の改善は十分可能と考えており、その場合の営業利益は6,400百万円前後(現在の予想より1,000百万円多い)となる。そのため、同社の売上高、各利益の期初予想が保守的なものであると考えており、例年通り上振れが期待できると考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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