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【特集】プラチナはレンジ下放れ、FOMCの利上げ前倒し懸念でリスク回避 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は2月以降、新型コロナウイルス禍からの回復が待たれるなか、1107~1336ドルのレンジ相場が続いていた。しかし、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派姿勢が示されドル高に振れると、レンジ下限を割り込んで一段安となり、1月11日以来の安値1022ドルをつけた。

 米FOMCでは2023年に2回の利上げが予想され、量的緩和の縮小(テーパリング)の議論も開始された。米金融当局者はテーパリングを早めに進めれば柔軟な対応が可能になるとの見方を示している。

 市場では、米連邦準備理事会(FRB)が8月にワイオミング州のジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムでテーパリングに関する計画を発表するとみられている。ただ、政策変更には一段の進展が必要との見方が強い。一方、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、消費改善で成長ペースが加速する可能性を示したが、金利上昇を容認する時期には達していないとの見方を示した。

 短期的にはドル高がプラチナの圧迫要因になるとみられる。ただ、中長期での景気回復見通しに変わりはなく、各国の制限措置の解除で需要が回復すると、安値を買い拾われるとみられる。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)は四半期報告で2021年は5トンの供給不足と3年連続の不足を予想しており、強気のファンダメンタルズも下支え要因である。

●プラチナは各国の制限措置の解除の行方を確認

 米ニューヨーク州で15日、新型コロナウイルスのワクチンを接種した成人が70%に達したことで、クオモ知事は飲食店や小売店などに対する残りの制限措置を即時解除すると発表した。バイデン米大統領は7月4日の独立記念日までに成人70%が1回目のワクチン接種を終えることを目標としており、大半の州が規制を緩和もしくは解除している。

 一方、ジョンソン英首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する制限措置の解除を1ヵ月間延期し、7月19日にすると発表した。変異株の感染拡大が背景にある。

 変異株が猛威を振るっていたインドでは首都圏で外出禁止令が7日以降、大幅に緩められ、経済活動が段階的に再開された。各国の感染状況と制限措置の解除の行方を確認したい。

 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、5月の欧州連合(EU26)の新車(乗用車)登録台数は前年同月比53.4%増の89万1665台となった。増加したが、2019年5月の120万台を下回った。1~5月は前年同期比29.5%増の431万4264台となった。1~2月に減少したが、3~5月の増加に相殺され、プラスとなった。

 5月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は63.1となり、前月の62.9から上昇し、1997年6月の調査開始以来の最高を記録した。域内の行動制限が段階的に緩和され、経済が第2四半期に力強く回復している。23日の夕方に6月速報値の発表がある。

●欧米のプラチナETF残高が増加

 プラチナETF(上場投信)残高は6月18日の米国で39.64トン(5月末39.37トン)、17日の英国で19.47トン(同19.37トン)、18日の南アフリカで15.90トン(同16.05トン)となった。欧米で投資資金が流入した。下げ止まったのち、安値拾いの買いが入るかどうかも確認したい。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月15日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0057枚となり、4月6日の3万2748枚をピークとして縮小した。レンジ内で軟調となるなか、手じまい売り・新規売りが出た。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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