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【特集】コプロHD Research Memo(3):充実したサポート体制による技術社員の高い定着率などが強み

コプロHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■コプロ・ホールディングス<7059>の事業概要

1. サービス概要
建設技術者派遣・紹介事業は大手ゼネコンを中心とする顧客企業に技術社員を派遣している。技術社員の主な業務内容は、建設工事の施工管理(建築・土木・設備・プラント工事現場における工程管理、安全管理、品質管理、原価管理)及びCADオペレーター等である。技術社員は派遣先企業の指示に基づいて、工事現場で管理者(所長)と職人の間に入って施工管理を行う。

2021年3月期の業種別売上高構成比は建築30.3%、土木18.5%、設備24.9%、プラント14.8%、CAD8.1%、その他3.3%だった。前期との比較で特に大きな変動はないが、今後の重点分野としてプラント業界の拡大にも注力している。なお取引先別売上高構成比ではスーパーゼネコン(5社)が約2割、エリア別売上高構成比では三大都市圏(関東・東海・関西)が約7割で推移している。

2. 特徴・強み
人財派遣ビジネスの4つの柱「採用・育成・マッチング・定着」を追求し、全国展開の支店ネットワークによる顧客拡大力及び採用力、充実した教育・研修やメンタルケア・サポートによる技術社員の高い定着率、質の高い技術社員と顧客企業との信頼関係に基づく高稼働率の維持などを特徴・強みとしている。

全国展開の支店ネットワークを活かした採用活動により、全国から寄せられる幅広い人材ニーズへの対応や、全国の派遣先企業(顧客)との取引拡大が可能になる。さらにサポート体制の充実やマッチング率向上によって技術社員の定着率を高め、質の高い技術者の派遣によって既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得につなげるという好循環を生み出す。

(1) 全国展開の支店ネットワーク
2021年3月期末時点の支店ネットワークは全国18支店となっている。また2021年4月に組織変更を実施し、5つの営業部(北日本営業部、東日本営業部、中日本営業部、西日本営業部、プラント営業部)の下に各支店を置く体制とした。マーケットに柔軟に対応することを目的として建設とプラントの営業機能を分離するとともに、営業社員が技術社員のマッチングからアフターフォローまでを一気通貫で担当する体制とした。

(2) 技術社員数は増加基調
自社運営の建設・プラント業界求人サイト「現キャリ」を活用した採用活動を展開している。2021年3月期はコロナ禍でも865人(前期比198人減)を採用して、2021年3月期末時点の技術社員数は前期末比36人増加の2,020人となった。派遣人数に比例して売上が積み上がるストック型ビジネスである。

(3) 充実した教育・研修とサポート体制
技術社員の教育・研修については、採用した技術社員に対して、就業先で起こる様々なトラブルに対応できるように、入社時の教育・研修(勤怠管理、就業規則、情報セキュリティ、技術社員のサポート担当の役割、派遣適用除外業務、ハラスメント、労働安全衛生、労働災害発生時の対応、危険予知など)を実施している。顧客満足度の向上や大手顧客との取引拡大に向けて、技術社員が現場でいかに貢献できるかを重視して、特に「コプロ」グループの技術社員としての自覚や心構えの確認を徹底している。なお、新卒の教育・研修期間は従来2週間としていたが、2021年3月期から1ヶ月として入社時の教育・研修を強化している。

入社時の教育・研修とともに、技術社員のスキルアップやキャリアサポートを目的として、自社で運営する研修施設「監督のタネ」に専属の講師を配し、受講希望者の習熟度に合わせて実習研修を行っている。「監督のタネ」は全国4拠点体制(東京、千葉、名古屋、大阪)を構築している。

サポート体制としては、技術社員に対して配属後のアフターフォロー、健康管理、メンタルヘルス管理、スキルアップ支援、定期的な安全大会の開催などのサポート活動を行うことで高い定着率を実現している。また、派遣先(顧客)や技術社員へのヒアリングなどを通じて、より良い職場環境づくりや顧客満足度向上に取り組んでいる。さらに、人材派遣会社としては珍しい取り組みとして、スマートフォンの貸与を全技術社員に対して行っており、働き方改革に向けた正確な勤怠管理の徹底のほか、技術社員とのコミュニケーションのデジタル化を推進している。

(4) 技術社員の定着率と稼働率は高水準推移
技術社員の定着率は73.9%(2019年3月期から2021年3月期の直近3カ年平均)で推移している。2021年3月期は前期比3.9ポイント低下の70.9%となった。コロナ禍で民間工事が見直しや延期されたことにより、派遣案件が一時的に減少したため、経験の比較的浅い入社1?2年程度の技術者を中心に期間満了退職が増加したことが要因としている。また技術社員の稼働率は、96.4%(2021年3月期1Q~4Q平均)で推移している。2021年3月期第4四半期末はコロナ禍で前期比2.3ポイント低下の95.8%となったが、有給休暇等を除くと実質100%の水準としている。なお、建設業界は構造的な人手不足にあるため、2021年3月期に同社が獲得した派遣案件数全体は前期比30%程度増加したとしている。業界経験者を中心に派遣需要は旺盛と言える。

3. リスク要因・収益特性と対策
建設技術者派遣・紹介事業における一般的なリスク要因・収益特性としては、法規制(労働者派遣法、労働基準法など)、人材確保、季節要因などがある。

法規制に関しては、特に2020年4月の労働者派遣法改正に伴う派遣労働者の同一労働・同一賃金が売上原価上昇要因となるため対応が課題とされている。ただし同社は取引先に対して、チャージアップ(技術社員一人当たり契約単価の向上)交渉に取り組んでおり、2022年3月期において段階的な売上原価率の改善を見込んでいる。

季節要因に関しては、建設業では特に土木工事が年度末(1月-3月)に集中する傾向があるが、同社では季節要因による技術社員の一時待機期間を発生させないように、受注の平準化や人材の流動化などの対策を推進している。また積極的な採用により技術社員が四半期ごとに増加基調であるため、売上高に関して特に大きな季節変動傾向は見られない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《AS》

 提供:フィスコ

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