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【特集】三和HD Research Memo(6):第三次中期経営計画は、2022年3月期まで延長(1)

三和HD <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略と進捗状況

1. 第三次中計の進捗状況
三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略は、長期ビジョンと、その実現に向けた具体的アクションプランとしての中期経営計画の2段構成となっている。これまで2014年3月期に策定した『三和グローバルビジョン2020』を長期ビジョンとし、その仕上げとして第三次中期経営計画(2020年3月期~2021年3月期)を推進してきた。しかし、世界的なコロナ禍という、想定していなかった経済環境の悪化に直面し、2021年3月期はコロナ禍対応に追われたことで達成できなかった戦略もあった。そこで、同社グループでは中期経営計画を1年延長することで、やり残した戦略を完遂することとした。そして、次期長期ビジョン・中期経営計画は2022年5月に発表する予定である。

推進中の長期ビジョン『三和グローバルビジョン2020』では、「動く建材」のグローバル・メジャーとして、世界中の顧客に安全・安心・快適な商品とサービスを提供することを目指す。その中で、第三次中期経営計画は、「グローバル・メジャー」としてのトップブランドの基盤を確立するという位置付けであり、「コア事業」として(1)日・米・欧のコアビジネスの事業領域拡大と強化を、「成長事業」として(2)サービス分野の強化とビジネスモデルの拡大、(3)アジア事業の基盤拡充を、そして「基盤強化」として(4)働き方改革と生産性向上、(5)ESGを推進し社会からより信頼される企業体質へ、の5つの基本戦略を推進している。

同社では、これら5つの基本戦略を推進することで、最終年度の売上高4,500億円、営業利益375億円、営業利益率8.3%、ROE14.1%などの数値目標を掲げている。2020年3月期は順調に推移していたが、2021年3月期は経済環境悪化の影響が大きく、業績は数値目標を大きく下回った。しかし、2022年3月期業績については、コロナ禍前の水準に回帰すると予想しており、売上高4,500億円、営業利益340億円、営業利益率7.6%、ROE12.0%などを計画する。売上高を除いて目標には未達の見通しであるが、同社の期初業績予想は慎重な予想であることから、最終的にどこまで目標に近づくか注目される。また、同社では5つの基本戦略を着実に推進しており、その成果がグループの次の中長期成長戦略の原動力になると弊社では考える。

2. 基本戦略(1):コアビジネスの事業領域拡大と強化
グループの中核である日本では、各事業分野でのポジション確立によって、動く建材企業としての成長を目指している。そのために、コア事業としてシャッターやドアの収益性確保を、多品種化事業として間仕切、フロント、防災商品などについてグループ連携による拡大を、またサービス事業としてコロナ禍影響における修理や法定検査の遅れの挽回を推進している。主力事業のシャッター、ドアでは、販売価格への転嫁、施工・物流などのコスト削減により収益は確保できており、これから先の受注取り込みも強化し、販売体制の強化にも取り組んでいる。また、生産、物流、施工力など供給力の強化にも取り組んでおり、効率性の改善によって利益増加への更なる貢献を目指す。ただ、多品種化の展開とサービス事業の強化が今後の課題である。

ODC(米国)では、コア事業の維持・拡大とともに、周辺事業分野への参入を目指している。ドア事業では住宅用改築の強化、商業用(非住宅)ドアの拡大、新ERP(ヒト・モノ・カネ・情報の、経営資源要素を適切に分配して有効活用する計画)導入などに、開閉機事業では住宅用シェアの拡大に、自動ドア事業では製品競争力の強化や買収したWon-Door社との連携強化に取り組む方針だ。米国では、引き続き販売チャネルの強化を図り、ホームセンターなどでの販売にも取り組む。旺盛な住宅需要を取り込みながら、しっかり値上げを実現する考えだ。ERPについては長期的な施策として取り組んでいるが、前期のコロナ禍による遅れを挽回する。また、開閉機事業については前期に大きくシェアを拡大したが、これを堅持する方針だ。自動ドア事業では、ニッチな分野であるが競争力の高いWon-Door社とのシナジー発揮により販路拡大を目指す。

NF(欧州)では、産業用製品のさらなる強化とNF4.0によるデジタル化を推進しており、ヒンジドア事業、ガレージドア事業、産業用製品事業を推進している。ヒンジドア事業では、買収したRobust社の統合計画がコロナ禍の影響により一時的に遅れたものの順調に推移しており、今後は北欧及び英国での拡販を目指す。ガレージドア事業では、住宅の回復が非住宅よりも強いことから、開閉機事業の強化を図る。産業用製品事業の市場は厳しいが、足元で好調なサービス事業の強化を図る。また、欧州ではデジタル化に早くから着手しており、コロナ禍で一部遅れが出たものの、今後も加速する計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

 提供:フィスコ

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