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【特集】ピアズ Research Memo(5):2021年9月期第2四半期累計業績は、減収となるも利益は概ね計画通り

ピアズ <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2021年9月期第2四半期累計業績の概要
ピアズ<7066>の2021年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比40.9%減の1,550百万円、営業利益で同53.0%減の184百万円、経常利益で同43.2%減の223百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同44.3%減の136百万円となった。

売上高の減少要因は、前年同期の業績に大きく貢献した大手携帯キャリア向けのキャッシュレス推進事業が、コロナ禍の影響が長引いた影響で営業活動の自粛を余儀なくされ、大きく減少したことが主因だ。一方で、携帯ショップ向けに関しては、コンサルティングや研修サービスのオンライン化対応を進めたほか、オンライン接客サービスの導入を進めたことで回復した。特に、オンライン接客サービスは、契約のクロージングをオンラインで完結するサービスとなっており、2020年秋に本格的にサービス開始して以降、費用対効果の高いサービスとして導入店舗数が拡大している。同社はオンライン接客センターを東京(秋葉原)に開設し、約60人体制で運営を行っている。

従来は、1人のスタッフで1店舗しか対応できなかったが、オンライン化により1人で複数店舗を対応できるようになり、生産性向上にもつながっている。現在、オンライン接客サービスを提供しているのは同社を含めて2社だけとなっており、下期以降もさらに導入店舗数の増加が見込まれている。なお、通信業界以外の事業に関してはまだ規模が小さいこともあり、売上高への影響は軽微だった。

売上原価率は前年同期の74.5%から66.0%と8.5ポイント低下した。キャッシュレス推進事業に関しては、実際の営業活動(店舗への導入提案活動)を外注先に委託していたため、同事業の大幅縮小により外注費が減少したことが主因となっている。そのほか、オンライン接客サービスの拡大で人員稼働が効率化したことに伴う外注費や人件費の減少、現場への移動が不要になったことによる交通費の減少などが改善要因となった。外注費に関しては前年同期比52.4%減の803百万円、人件費関連は同16.2%減の196百万円となった。一方で、販管費は前年同期比24.2%増の342百万円と増加した。リテールテック分野への開発投資を前倒しで実施したことが主因となっている。

営業利益の増減要因について見ると、コロナ禍の影響によるキャッシュレス推進事業等の減収により203百万円の減益、提供サービスのオンライン化に伴う収益性の向上と交通費等の各種経費の削減効果で169百万円の増益要因となり、売上高の減収分をある程度カバーしたが、リテールテック領域への事業転換に関連した投資費用の増加173百万円が減益の主な要因となった。投資の主な内容としては、オンライン接客センターの開設費用、AIトレーニングシステム及びオンライン接客システムの開発投資、「ZEROレジ」の開発・改修投資などがあり、そのほかに主力人材をリテールテック領域に配置転換したことに伴う機会損失なども含まれている。なお、オンライン接客システムについては、現在汎用サービスを利用しているが、今後は在宅ワークでも対応できるようにするため、顧客情報管理等の情報セキュリティ面を強化した自社システムの開発を進めており、完成次第導入していく予定となっている。

主な子会社の状況について見ると、One Colorsは組織コンサルティングサービスを中心に堅調に推移し、若干の黒字を計上している。また、XEROは「ZEROレジ」の導入店舗数が約650店舗超まで増加し、売上高は着実に伸びているが、システム開発・改修投資などまだ投資負担が大きく、営業損失で60百万円程度になったと見られる。2Linksでは、リモートワーク施設のマッチングサービスに加えて、2021年よりリモートワーク用個室ボックスの販売を試験的に開始している。新宿に設置した8室が好評なことから、本格的に展開していくため製造委託先と交渉を進めている段階にある。先行企業の製品と比べて割安感を打ち出した製品となっている。


手元キャッシュは新規事業への投資に充当
2. 財務状況と経営指標
2021年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比321百万円増加の3,459百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が329百万円減少した一方で、売上債権が521百万円増加した。また、固定資産では、有形固定資産が45百万円、投資有価証券が30百万円それぞれ増加した。

負債合計は前期末比254百万円増加の1,256百万円となった。買掛金が224百万円、未払法人税等が36百万円それぞれ増加した。また、純資産合計は同66百万円増加の2,202百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益136百万円を計上し、配当金を66百万円支出した。

経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末比4.3ポイント低下の63.7%、有利子負債比率は1.0%低下の31.8%となった。新規事業への投資を積極的に行っているため、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債)は1,496百万円と前期末からやや低下したものの、事業規模からすると充足しているものと見られる。今後もこれらキャッシュを新規事業に投下し、売上成長を目指していく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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