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【市況】日経平均は続伸、「適温」期待に忍び寄るリスク/ランチタイムコメント

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均は続伸。214.14円高の29375.94円(出来高概算4億6000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け14日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、85ドル安となった。15~16日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を前に持ち高調整の売りが出て、NYダウは軟調に推移。一方、長期金利が引き続き1.5%を下回る水準で安定推移したため、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.7%の上昇となり、およそ1か月半ぶりに過去最高値を更新した。本日の東京市場でも米ハイテク株高を受けて投資家心理が上向き、日経平均は94円高からスタートすると、寄り付き後も上げ幅を拡大。前場中ごろには一時29450.29円(288.49円高)まで上昇し、取引時間中としては5月10日以来の高値を付けた。

 個別では、売買代金トップのエーザイ<4523>が5%を超える上昇となっているほか、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>が堅調。トヨタ自<7203>は小高い。決算発表のLink-U<4446>やMSOL<7033>、一部証券会社の投資判断引き上げが観測されたくら寿司<2695>などが東証1部上昇率上位にランクイン。また、フォーカス<4662>はリリースが材料視されてストップ高水準での買い気配となっている。一方、JAL<9201>やANA<9202>の軟調ぶりが目立つ。経済活動再開への期待から上昇してきた銘柄に利益確定売りが出ているようだ。エムスリー<2413>も軟調で、任天堂<7974>、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>は小安い。また、業績下方修正のパーク24<4666>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、医薬品、精密機器、金属製品などが上昇率上位。一方、空運業、鉄鋼、証券などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の50%、対して値下がり銘柄は44%となっている。

 米ハイテク株高を受けて投資家心理が上向き、本日の日経平均は取引時間中としてはおよそ1カ月ぶりの高値を付けた。日足チャートを見ると、これまで上値抵抗となってきた75日移動平均線を上抜け。6月に入ってからの米長期金利の低下で、国内外投資家のエクスポージャー(投資残高)が大きい米ハイテク株の上昇にサポートされる形で日経平均がもち合い上抜けすることもある程度想定されたが、やはりFOMC前というタイミングには意外感があると言わざるを得ない。

 前日も大方の予想以上に日経平均が堅調な動きを見せたが、中国・香港・台湾等の市場が休場だったこともあり、東証1部売買代金は1兆9646億円と1月18日以来の低水準。それ以上に株価指数先物の取引は閑散とした印象で、日経平均の値幅の割に目立った買い越しの動きは見られなかった。強いて言えばモルガン・スタンレーMUFG証券が東証株価指数(TOPIX)先物の売り越しを継続。相変わらず海外勢によるTOPIX先物の買い戻しの動きは出てきておらず、値がさグロース(成長)株を中心とした現物株の買いが相場を押し上げたことがわかる。

 一方、米債券市場の動向を見ると、確かに長期金利はなお1.5%を下回る水準で推移しているものの、ここ2営業日は反発している。4日発表の5月雇用統計を受け、「労働需給のギャップは徐々に解消される」との見方から期待インフレ率の指標(米10年物ブレークイーブン・インフレ率)や長期金利が低下傾向にあったのはこれまで当欄で指摘してきたとおり。しかし、FOMCを前に米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)がインフレの高まりや金利上昇を予想していることを示唆。また、米ウォール・ストリート・ジャーナルは米連邦準備理事会(FRB)が今回のFOMC後に早期利上げの可能性を示唆する可能性があるなどと報じており、債券投資家が持ち高調整の動きに出たのだろう。

 このように、金融緩和が続くことを前提にしたようなグロース・ハイテク株主導の上昇という日米株式市場の動きと、FOMCを前にこれまでの金利低下の反動が見られる米債券市場の動きは相反するものに見受けられる。ダイモン氏の発言やWSJ紙の報道を踏まえると、株式投資家も「長期金利の低位安定」という居心地のいい環境がどこまで続くか、慎重に見極める必要がありそうだ。

 さらに言えば、現在の株高は“緩やかな経済成長と緩和的な金融環境が継続する”という、いわゆる「ゴルディロックス(適温)相場」への期待に支えられたものだろうが、リスクの萌芽は米金利動向のみにあるわけではない。FOMCに関心が向かいがちだが、本日は米国で5月小売売上高や鉱工業生産の発表が予定されている。特に小売売上高は給付金効果の一巡でさえない結果になるとの見方があり、現地からは住宅価格の高騰で消費者のセンチメントが大きく悪化しているとの声も聞かれる。株式投資家の期待するシナリオは思いのほか狭い道かもしれない。短期的な波乱にも十分警戒したうえで取り組みたい。(小林大純)
《AK》

 提供:フィスコ

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