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【特集】ネットイヤ Research Memo(1):NTTデータとの協業案件が拡大、オウンドメディア領域で成長加速を目指す


■要約

ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業を展開しており、主にWebマーケティング領域において豊富な実績を持つ。2019年2月にNTTデータ<9613>と資本業務提携契約を締結し、グループ会社となっている。また、ソーシャルメディアによるデジタルマーケティング支援を行う子会社の(株)トライバルメディアハウスの全株式を2021年4月に売却したため、2022年3月期より単体決算のみの開示となる。

1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結売上高は前期比2.7%増の5,611百万円と3期ぶりの増収に転じ、営業利益も172百万円(前期は77百万円の損失)と2期ぶりに黒字転換した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、期の前半は低調だったものの、後半からは企業のデジタル投資が回復したほか、NTTデータとの共同開発案件も売上増に貢献した。利益面では、プロジェクトマネジメント力の向上や外注費削減により売上総利益率が改善したほか、テレワーク体制へのシフトに伴う経費削減や採用費の減少等によって販管費が前期比44百万円減少したことも増益要因となった。

2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の単体業績は、売上高で前期比5.6%増の3,600百万円、営業利益で同0.3%減の140百万円を見込んでいる。売上高については、OMO※マーケティング施策に対する企業の関心が高まるなかで、オウンドメディアの開発案件やNTTデータとの共同開発案件の増加が見込まれる。また、マルチチャネルコマースプラットフォームとして国内でも急速に普及が進んでいる「Shopify(ショッピファイ)」の導入・活用支援サービスを2021年4月より開始しており、売上貢献が期待される。利益面では、売上総利益率の改善傾向が続くものの、人員増による採用費の増加や新サービスの立ち上げコスト増により、前期並みの水準を計画している。同社ではOMOマーケティングで重要となるUXの設計・実装力の強化を進め、2022年3月期中に社員の半数以上をUX人材化していく計画により、「日本一のUX企業」を目指していく。

※OMO(Online Merges with Offline)とは、UX(User Experience:顧客体験)の最大化を目的に、オンラインとオフラインの垣根を超えて購買意欲を創り出そうとするマーケティングの考え方。O2Oがオフラインに誘導するためのツールとしてオンラインを活用する企業側目線の考え方であるのに対して、OMOは顧客側の目線に立った考え方となる。


3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、2023年3月期までを「新たな事業機会創出」に取り組む期間と位置付けている。重点戦略として、EC/店舗まで含めた多チャンネルCXや、NTTデータとの共同プロジェクト推進、横展開できるサービスの汎用化、他社連携や資本集約型ビジネスモデルへのシフトなどに取り組み、オウンドメディアマーケティング領域での事業拡大を目指していく。また、2023年3月期以降は「成長分野の拡大」を掲げ、DX/UXのSaaS化による中小規模マーケットへの進出も視野に入れている。デジタルマーケティング業界においては、インターネット上の個人情報に関する保護強化の動きが進んでいることに加え、オンラインとオフラインの垣根がなくなるなかで、今後より一層、オウンドメディアの活用が重要になってくると思われる。UXの最大化を実現するためのデザイン力や運用力で豊富なノウハウを持つ同社にとっては成長加速の好機が訪れているとも言え、今後の動向が注目される。

■Key Points
・2021年3月期業績はコロナ禍の影響を受けつつも、3期ぶりの増収、2期ぶりの増益に転じる
・2022年3月期の営業利益は成長投資の実行で前期並みとなるが、売上高は成長トレンドに入る
・事業基盤の再構築が完了し、成長加速していくステージに入る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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