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【経済】【IR】デジタルマーケティング市場に挑戦 クロス・マーケティンググループ代表 五十嵐幹氏


クロス・マーケティンググループ<3675>
代表取締役社長  五十嵐幹 様

DX推進がもたらすマーケティング市場の変化

今やデジタル化時代を生き抜くための企業変革にかかせないデジタルトランスフォーメーション(DX)。
国内市場においても、官民が一斉にDX投資を加速させている。
中でも、AIやIoTの急拡大により膨大なデータ活用の最適化が必要とされるマーケティング業界では、個人情報保護の強化や、新型コロナウイルス感染拡大にともなう消費者行動の変化も加わり、より新たな変革が求められている。

今回は総合マーケティングソリューションを展開する、クロス・マーケティンググループの五十嵐社長へのインタビューを通じ、DXのもたらすマーケティング業界の変容、また同社の成長戦略にスコープをあてていく。


DXとは

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 (経済産業省『DX推進ガイドライン』より)

デジタルマーケティングとは

WEBマーケティングは、WEBサイト上やWEB広告を中心としたマーケティング。 デジタルマーケティングは、WEBサイト上の動きだけでなく、行動履歴や位置情報などさまざまなデータを蓄積し、活用するマーケティング。
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2つが必要とされる背景

● 生活・ビジネスにおいてデジタル化が進む
● 消費者の購買行動の変化
● 従来のコスト構造を前提としたビジネスモデルの限界



Web行動データ

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位置情報データ

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購買履歴

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企業紹介

株式会社クロス・マーケティンググループ
https://www.cm-group.co.jp/

クロス・マーケティンググループ<3675>は、マーケティングおよびリサーチを事業の柱として2013年6月に設立。
以来、多岐に渡る顧客のマーケティング課題を解決すべく、関係会社を増やしグループとしての機能強化を図る。
※現在主要関連会社16社を束ねる総合マーケティング会社へと発展
また、2021年度より従来の事業体制を改革し、「データマーケティング事業」「インサイト事業」「デジタルマーケティング事業」の3事業とした。このことで、10兆円を超える成長市場へ、継続的な施策と投資を行い、デジタルマーケティング領域におけるプレゼンスを発揮し、成長を目指すという。そして新たな総合マーケティングソリューション企業になろうとしている。
─海外にも多くの拠点を持つ。
拠点は世界11か国にあり、日本企業が海外でも製品やサービスを展開したいというニーズを支援。
現地法人や海外IT大手ベンダーの支援も実施している。

株式会社クロス・マーケティンググループ
代表取締役社長兼CEO 五十嵐幹
1996年4月 日本アジア投資株式会社入社
2003年4月 株式会社クロス・マーケティング設立、代表取締役社長就任
2006年12月 株式会社リサーチパネル取締役就任(現任)
2011年3月 株式会社クロス・マーケティング代表取締役社長兼CEO就任(現任)
2011年7月 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント取締役就任
2011年12月 株式会社クロス・コミュニケーション代表取締役就任
2012年2月 Cross Marketing China Inc.(現 Kadence International Inc.(China)) 董事長就任
2013年6月 当社代表取締役社長就任
2014年1月 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント代表取締役社長就任
2014年3月 当社代表取締役社長兼CEO就任(現任)
2014年6月 株式会社レアジョブ取締役就任
2014年11月 Kadence International Business Research Pte.Ltd. Director 就任
2015年1月 株式会社クロス・コミュニケーション取締役会長就任(現任)
2017年8月 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント取締役会長就任
2018年6月 株式会社レアジョブ社外取締役(監査等委員)就任(現任)


――  DXによる市場の変容: マーケティング企業に求められる対応策とは?

消費者行動のデジタルシフト DXを中心とした企業活動へ

マーケティングの本質は、企業が消費者に対し商品やサービスを届け、事業活動を行うことです。そのことが不変であるようにマーケティングの課題も昔からなんら変わっていません。
ただ、本質的に大きく変わったのは、消費者の購買行動がデジタル中心になっている、という事実です。インターネットの登場しかり、モバイルの普及を含め、購買行動の起点がDX(デジタルトランスフォーメーション)になって来た、ということは大きく変化したことだと捉えています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が消費者のDX化をさらに加速させました。
生活が在宅中心になったことで、通販やインターネットを使った各種サービス、ゲームなど、消費行動がよりデジタルにシフトしたと言えます。
また、DXは企業活動にとっても根幹となっています。DXはサービスやオペレーションを含めてトータルにプランニングされるものであり、企業の経営活動そのものに変化しつつあります。
マーケティングソルーション×デジタルトランスフォーメーション



――  マーケティング領域の市場規模はどう変化する?

3つの大きな市場に注目

● デジタルマーケティング関連市場 ● データマーケティング市場 ● インサイト市場

市場規模は、デジタルマーケティング関連市場、データマーケティング市場、インサイト市場を総合して、10兆円を超える規模となっております。また、その領域は世界的なDXの加速により、D2Cなども急拡大しており、今後も高い成長性がある市場と考えています。
当社のセクター別売上をみると、グループ連結の2020年の売上高は約160億円。2021年は約215億円を開示しております。その大きな伸びの理由は、2021年から株式会社ドゥ・ハウスの新規連結を開始したことにより、デジタルマーケティング領域がセクターとして最も大きくなったことがあります。
デジタルマーケティングの主戦場は大手法人になって来ています。企業でマーケティングを必要すると部署は、従来のマーケティング部門や販促部門、企画部門、商品開発部門に加えて、web関係の部署へも広がってきました。

デジタルマーケティング グラフ
「2019年の国内デジタルマーケティング関連サービス市場は、前年比9.2%増の4189億円であり、2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.8%、2024年に5299億円になる見込み 」
出典: IDC Japan 株式会社


これまで、我々は必要に応じて関係会社を増やすことでシナジーを生み、さらに機能を強化することでトータルにビジネスをサポートできる土壌ができ上がった段階です。
今後、成長が著しいデジタルマーケティング領域を徹底的に強化することで、まずは連結売上高300億円に向けて成長を加速させていきます。


――  国内市場における他のプレイヤーとの違いは?

グループが持つ様々な機能をクライアント課題に応じて提供
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我々の事業領域に照らし合わせると、クライアントが抱えるマーケティング課題に準じ、機能を提供する関係会社が分かれており、その関係会社ごとに競合がいる、と捉えています。例えばリサーチ支援ならインテージホールディングス<4326>やマクロミル<3978>。デジタルマーケティング支援だったらオーケストラホールディングス<6533>やメンバーズ <2130>といったようにです。
世界のリサーチ市場規模は約5.1兆円。インターネット広告市場でも約2兆円あります。競合を明確にすることで、我々はどの企業と戦っているという自分たちのポジションを明確にし、勝つためにどうすべきかを考えることができます。
そして、基本的により大きな市場にグループ全体が舵を取るという戦略を立てています。他社が持っていないパネルネットワークを武器に、科学的なアプローチでサービスの質を高めて勝って行く方針です。

――  総合マーケティングでいうとコンサル領域も含まれるようにも思いますが、マッキンゼー・アンド・カンパニーやボストン・コンサルティング・グループのようなコンサルティングファームは競合にあたりますか?


領域が違います。コンサルティングファームは戦略。我々は戦術です。実はコンサルティングビジネスは市場規模があまり大きくありません。戦略をどう戦術に落として展開するかに多くの費用が投下されます。実行機能を持っていた方が大きな成長が望めると考えています。

――  クロス・マーケティンググループが持つ独自性とは?

約500万人が登録している国内有数のパネルネットワークでインサイトを知る

【タイトル】ワンストップサポート 図

弊社では優れたテクノロジーを持つ関連会社を増やすなどして、冒頭でも申し上げたとおり、グループ全体でDXを推進させています。その理由は、消費者の行動のシェアがデジタル領域に寄ってきているからです。
消費者がデジタル領域・インターネット上で行動すると、消費者データはサーバーに蓄積されます。そのため、データを分析することで「なぜ、購入したのか」「なぜ、購入の途中で止めたのか」を容易に知ることができるようになりました。しかし、「なぜ、購入しなかったのか」はデータを取ることが困難なため把握できませんでした。
これは、一般的なマーケティングにおいては難しい課題でもあるのです。

【タイトル】五十嵐幹さん 写真2

マーケティングの本質として「人を動かす隠れた心理」、つまり「インサイト」を知ることはとても重要です。
弊社では、約600万人が登録している国内有数の「パネルネットワーク」を持っており、セグメントされたターゲット層に対してインターネット上で直接、「なぜ、購入しなかったのか」を聞くことができます。これが、弊社が持つインサイトを知る基本的機能インフラであり、他では真似できない領域であると考えています。

クロス・マーケティンググループ
【タイトル】クロス・マーケティンググループ 図

通常のデータビジネス
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また、個人情報保護法により消費者データを取ることが難しくなっており、「購入した理由」といった深いところまで知ることは困難な時代になってきています。この点に対しても弊社であれば、パネルネットワークを活用して聞くことができます。
パネルネットワークに登録されている約500万人の規模になると、統計上サンプリングの許容誤差としても少なく、消費行動データの確証性も高まります。
この約500万人の登録者を活用することで広範囲に意見を聞くことや、ニッチな商品・サービスに関しても意見を聞くことができます。
つまり、マーケティングスコープに外れた人たちに対しても焦点を当てられるので、未来を見ることが可能となるのが、弊社の強みです。
さらに、デジタルに蓄積されたデータとパネルネットワークから抽出したデータの両方を組み合わせることで、クライアントに最適なDXにおける企業活動の推進を支援できます。


ワンストップでプロデュースすることのメリット

クライアント様のニーズも消費者のニーズも変化しており、ビジネススピードは加速しています。そのためクライアント様とはコミュニケーションを取りながら、リアルタイムでビジネス活動を進めて行かなければならない時代になっています。また、仮説、検証、実行をアジャイルで、短期間で繰り返して行く必要もあります。
ワンストップでプロデュースすることで確実に、短期間でクライアント様のマーケティング課題が解決できるメリットが生まれます。


――  データを活用した分かり易い事例とは?

新型コロナウイルスに対する自主調査
【タイトル】五十嵐幹さん 写真3

マーケティングリサーチを提供する会社として、世の中の潮流を、依頼されたから調べるではなく、自ら調査し、発信することが大事と考えています。そのため、ひとつのサゼスチョンとして、ジェネラルな問題に対しては積極的に自主調査を行っています。
消費行動で一番大事なのはマインドの変化です。調査によって、コロナ禍における消費行動の変化と意識行動の変化が明確に分かりました。緊急事態宣言が発令されると消費者は明らかにディフェンスな思考になります。また、外出を20%削減すると具体的な消費行動に影響を及ぼします。
ただし、我々は「今後、どうなって行くか」を予言することはできません。ただ、ファクトを集め、提供することで、科学的な行動を取ってもらうことが目的です。

このような消費者行動データは企業の意思決定にとって大事なデータのひとつです。「新商品のリリースを〇月で考えていたが、〇月にずらした方がいい」、逆に「前倒しした方がいい」と判断することに役立ちます。


2021年度より事業セグメントを変更


――  新体制のねらいとは?

連結売上高300億円に向けてデジタルマーケティング事業強化へ

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弊社はまだ、デジタルマーケティングのない2003年にリサーチ会社として創業し、2008年に東証マザーズに上場したため、投資家を含め一般的に「リサーチ会社で2000億円市場の会社」と認識されてしまっています。
これまでデジタルマーケティングを行っているのにも関わらず、そのウエイトが小さく、かつ、リサーチの売上が80%を占めるため、誤解されてきたのです。「それは違うんです」ということを伝えなければならないと考えました。
それは、デジタルマーケティング領域は成長しているのにも関わらず、そのことを説明してこなかった我々の不手際ではあります。
弊社はこの4、5年で業態を変革させるべく、デジタルマーケティングの機能や、webマーケティング機能を追加してきた結果、デジタルマーケティングが売上のトップを占めるようになるまで成長しました。それをさらに顕著化させるためにセグメント変更を行い、解りやすくすることとしました。
今後は、さらにデジタルマーケティング主体の会社になって行きます。テクノロジーを活用し、科学的にデータを分析してクライアント様を成功に導く企業というポジションを明確にします。さらに今後、関係会社が増えて行けば、成長はより加速して行くと考えています。

DXを中心に業態変更を行う
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――  業界課題の一つである、人材確保についてはどうでしょうか?

国内外で優秀なリサーチャーを確保

データサイエンティストはデータを分析することが仕事ですが、消費者の意識は理解していない場合が多々あります。なぜなら、消費者のリサーチをやっていないから。ただ、データをグラフにしているだけで、消費者のリサーチを行わないと仮説は立てられません。
弊社には優秀なリサーチャーが国内約100名、海外を含めると300名体制になっています。
デジタルマーケティングが、データを分析して提供するだけの時代はもう、終わりました。今後はさまざまな消費者行動データも活用して分析する必要があります。

――  データを活用した今後の支援や取り組みは?

D2C領域とSDGsに着目
D2Cビジネスモデルが加速しており、我々としてもグループが持つテクノロジーをトータル活用していく予定です。弊社では、D2Cグロスパートナーという枠組みを作り、D2C支援のサービスも始めています。多くの企業がプロモーションだけ、システム開発だけ、と特化していますが、弊社ではさまざまな関連会社が持つテクノロジーをトータル活用し、かつ、インサイトを起点にして、さらなるサポートを提供して行きます。
SDGsへの取り組みにおいては、マーケティングリサーチを提供する会社の存在意義として、先にお話した新型コロナウイルスに対する自主調査や、世の中のトレンドといった情報を提供しています。去年1年間で自主調査を含めて数十本も提供し、メディア・マスコミでも使われています。
デジタルマーケティングの企業として、データを提供することでSDGsに取り組んで行きたいと考えています。
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成長のカギを握るのが消費者行動の理解を中心としたDX

DXを活用しない会社の成長率は止まり、活用する会社だけが成長し続けるでしょう。
過去のデジタルマーケティングは、デジタル上で完結しているものを売るビジネスでした。これから来るDXは、消費者行動の理解を真ん中に置くDXです。
DXとデジタルマーケティングは切り分けることはできません。我々はDXを支援するなかで、インサイトも分かることが強みになっています。
我々の産業がインサイト産業に代わりデジタル領域に踏み込んできている、と言えます。

個人投資家に向けてのメッセージ

弊社は、ミッションを「Discover Something New.=未来をつくろう」。ビジョンを「Just go for it!=やればいいじゃん」と掲げています。
人間はやらないことを選択するファクトをいっぱい集めます。でも、まずやると決めることが大切だと考えています。弊社はベンチャー企業です。新しいことへのチャレンジに抵抗感はありません。逆に今までの領域に留まらず、自分たちで変化させて来た会社だという自負があります。これからも変わっていきます。




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