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【特集】藤商事 Research Memo(5):旧規則機からの入れ替え需要により2022年3月期の遊技機器市場は回復見込み

藤商事 <日足> 「株探」多機能チャートより

■藤商事<6257>の今後の見通し

1. 業界動向と市場シェア
(1) 業界動向
パチンコホール業界はここ数年、客数の減少を背景とした経営環境の厳しさが続くなかで、ホール数の減少傾向が続いており、2020年末時点ではコロナ禍の影響もあって9,035店舗(前年末比6.3%減)まで減少した。店舗数を伸ばすチェーン店もあるなかで、経営体力のない中小事業者の淘汰が進んでいるものと見られる。2021年に入ってもコロナ禍が続いており、店舗数の減少傾向が続く見通しだ。遊技機の設置台数について見ても、ホール軒数の減少とともにパチンコ遊技機は243万台(前年比4.9%減)、パチスロ遊技機は157万台(同4.0%減)とそれぞれ減少傾向となっている。

同社予想による2021年度の遊技機出荷台数を見ると、パチンコ遊技機が120万台(前年度比48.1%増)、パチスロ遊技機が70万台(同70.7%増)とそれぞれ増加に転じる見通しとなっている。前年度はコロナ禍による緊急事態宣言の発出で4~5月にパチンコホールの休業要請が出た影響もあり出荷台数が減少したが、2021年度については旧規則機の撤去期限である2022年1月末に向けた新規則機への入れ替え需要発生が増加要因となる。旧規則機の撤去期限は当初2021年1月末であったが、コロナ禍の影響に鑑みて1年先送りされた経緯があるが、今回は撤去期限の再延長は難しいと見ている。

業界全体の旧規則機の設置率は、2021年春時点でパチンコ遊技機が約45%、パチスロ遊技機が約50%と見られ、2020年度末の全設置台数を基に試算すると、現在も稼働している旧規則機はパチンコ遊技機で約109万台、パチスロ遊技機で約79万台残っていることになり、これらが入れ替え需要として発生する。ただ、パチスロ遊技機については射幸性が抑えられた新規則機の集客力が依然低く、今後もヒット機種が出ないようであればホール側で設置台数そのものを絞り込む動きが出ることも想定される。

(2) 市場シェア
同社の販売シェアは人気機種の販売時期によって変動があるものの、パチンコ遊技機はおおむね5~9%で安定して推移しており、年間6~8機種のペースで新機種を開発、販売してきた。2021年3月期は「Pとある魔術の禁書目録」が2万台を超えるヒット機種となったこともあり、市場全体の販売台数が落ち込むなかで逆に販売台数を伸ばし、市場シェアも9%弱に上昇した。一方、パチスロ遊技機は年間2~3機種のペースで新機種を投入してきたが、2021年3月期は新機種の投入がなく、2022年3月期に投入を再開する予定となっている。

遊技機業界は参加人口やホール数の減少により、当面厳しい市場環境が続くと予想されるが、同社ではユーザーの年齢層別にターゲットを合わせたジャンルを強化し、主力タイトルの開発・育成に取り組んでいる。ジャンルとしては「ホラー」や「時代劇」「萌え」などに加えて、前述した通り「アニメ」系でも主力タイトルの創出に成功している。各ジャンルでそれぞれ主力タイトルの開発・育成に取り組み、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェアの拡大を目指していく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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