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【市況】日経平均は反発、「日本のデジタル化」果実得るのは誰?/ランチタイムコメント

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均は反発。110.68円高の29819.66円(出来高概算5億9000万株)で前場の取引を終えている。

 8日の米株式市場でNYダウは続伸し、57ドル高となった。先週分の新規失業保険申請件数が2週連続で増加したほか、5年物国債入札も順調な結果だったため長期金利が低下。これを受けてハイテク株を中心に買いが入り、ナスダック総合指数は1.0%上昇した。また、東京市場ではオプション4月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買もあり、本日の日経平均は156円高からスタートすると、朝方には一時30064.35円(355.37円高)まで上昇。ただ、3万円前後では利益確定売りが根強いうえ、前日に決算発表したファーストリテ<9983>が朝高後売りに押される展開となったことで、その後の日経平均は上げ幅を縮める展開となった。なお、SQ値は概算で29909.73円となっている。

 個別では、レーザーテック<6920>、ソニーG<6758>、信越化<4063>などが堅調で、任天堂<7974>やトヨタ自<7203>は小じっかり。ソニーGは米ネットフリックスと映画の独占配信契約を締結したと発表している。決算発表銘柄ではUSENNEX<9418>やSHIFT<3697>が良好な内容を受けて急伸し、東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、前述のファーストリテは3%超の下落で前場を折り返し、1銘柄で日経平均を約118円押し下げた。好決算ながらサプライズなしと受け止められたようだ。7&iHD<3382>やローソン<2651>も決算を受けて軟調。その他ではソフトバンクG<9984>や東エレク<8035>が小安く、東芝<6502>は3%近い下げ。また、北興化<4992>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、精密機器、海運業、その他金融業などが上昇率上位。一方、鉱業、鉄鋼、小売業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の67%、対して値下がり銘柄は28%となっている。

 日経平均は米ハイテク株高を追い風に朝方3万円台に乗せる場面もあったが、その後失速して前場の取引を終えた。前引け時点の騰落率は日経平均が+0.37%、東証株価指数(TOPIX)が+0.60%。日経平均の押し下げ役となっているファーストリテは、堅調な決算だったとはいえおおむね市場予想並み。それに前日には決算を先取りする動きも見られたため、反動安もやむを得ないところか。

 ただ、前日説明したとおり、日経平均が3万円の節目を突破するだけのパワーに乏しいという当欄の見立てに沿った値動きとも言える。朝方の3万円台乗せに勇気づけられた向きが多いようだが、これは市場全体の売買が低調ななか、SQ算出に絡んだ売買が買い越しだった影響が比較的強めに出たからだろう。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円弱で、SQ算出日だったことを考慮するとやや低調か。海外投資家はイースター(復活祭)休暇から復帰しているはずだが、ここ数日の売買代金は1日を通じて2兆円台半ば程度にとどまっている。海外勢の日本株買い意欲が高まっているなどと強気の市場関係者はなお多いが、現状そういったムードは乏しいと言わざるを得ない。

 「GAFA」を中心とした米ハイテク株高の追い風は値がさ株に感じられるものの、やはり景気敏感系が選好されていた局面と比べると日本株の優位性は落ちている印象もある。やはり当面、日経平均は3万円近辺での高値もち合いとみておきたい。

 一方、新興市場ではマザーズ指数が日経平均の伸び悩みを跳ね返し、+1.28%と堅調な展開だ。ネットショップ作成支援のBASE<4477>が8%の上昇となっており、足元の新型コロナウイルス感染拡大を意識した物色かもしれない。また、AIinside<4488>が一部証券会社のカバレッジ開始を手掛かりに動意づいたほか、外資系証券のカバレッジ開始が観測されたChatwork<4448>も大きく上昇している。

 東証1部市場の上昇率上位にランクインしているソフトウェアテストのSHIFTでは、1月に英投資ファンド、クープランド・カーディフ・アセット・マネジメントが大量保有報告書を提出している。このクープランド・カーディフは昨年12月上場したウェルスナビ<7342>やKaizenPF<4170>でも大量保有報告書を提出。また、米運用大手のフィデリティやティー・ロウ・プライスは上場前後のテック企業に積極投資している。3月19日に新規上場したココナラ<4176>のブックビルディングでは海外勢の需要が旺盛で、4月22日上場予定のビジョナル<4194>も同様のようだ。

 前日の当欄で一般の個人投資家がテック株の投資機会をうかがっていると述べたが、海外勢も日本のデジタルシフトに熱視線を送っていることが窺える。さて、「日本のデジタル化」の果実を得るのは誰になるのだろうか?(小林大純)
《AK》

 提供:フィスコ

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