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【特集】いま拡散される危機、待ったなしの「サイバーセキュリティー」関連株 <株探トップ特集>

サイバー攻撃が衰えることなく続いている。デジタル化の進展に伴って攻撃を受けるリスクは一段と高まっており、対策の重要性が再認識されている。

―相次ぐ不正アクセスで重要性を再認識、サイバートラストの新規上場も刺激に―

 警察庁は3月4日、2020年に確認したサイバー攻撃とみられる不審なインターネット接続が、1日当たりの平均で前年比55.2%増の6506件に上ったと発表した。今年に入ってからも航空会社の会員情報が漏洩(ろうえい)するなど被害が相次いでおり、システムを守るためには最新のセキュリティー対策が欠かせない。SBテクノロジー <4726> 子会社でセキュリティーサービスなどを手掛けるサイバートラスト <4498> [東証M]が4月15日に東証マザーズ市場に新規上場することもあり、サイバーセキュリティー関連銘柄への関心が再び高まりそうだ。

●衰えないサイバー攻撃

 警察庁はインターネットとの接続点にセンサーを設置してリアルタイム検知ネットワークシステムを24時間体制で運用し、通常のネット利用では想定されない接続情報などを検知し集約・分析している。検知したアクセス件数が拡大傾向にあるのは、IoT機器の普及により攻撃対象が増加しているほか、攻撃側(踏み台として攻撃に利用されている機器やサーバーを含む)のシステムが年々強化されていることが背景にある。最近では標的型メール攻撃などを通じて各種ランサムウェア(身代金を要求する不正プログラム)に感染させる事案も多数発生しており、重要データなどを暗号化し、元に戻す対価として金銭を要求するもののほかに、データを盗み、対価を支払わなければ当該データを公開するという二重恐喝を行うなど、より悪質なケースも目立っている。

 直近では世界の航空会社や旅行代理店などにネットワークや業務用アプリケーションなどの各種サービスを提供している国際航空情報通信機構(SITA社)への不正アクセスにより、日本航空 <9201> やANAホールディングス <9202> が3月初旬にマイレージ会員の名前や会員番号などが漏洩したことを公表。米IT大手のマイクロソフトは同月初旬、企業がメールや予定共有に利用するサーバー向けソフト「エクスチェンジ・サーバー」に国家支援型サイバー攻撃を受けたことを明らかにしている。

 IoTの普及でどれかひとつでも乗っ取られると瞬く間にウイルスが拡散するリスクが高まっていることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う テレワークの導入などにより業務や取り引きに関するデータをオンラインで取り扱う機会が増えていることや、キャッシュレス決済が広まっていることなどからサイバー攻撃の脅威は常に身近にあり、警察庁はセキュリティー対策を強化するよう呼び掛けている。

●関連銘柄の動向

 デジタルアーツ <2326> は有害情報遮断フィルタリングソフトの大手。テレワークの普及に伴い安全なWebアクセスを実現する「i-FILTER」シリーズなどの売り上げが拡大しており、21年3月期通期の連結営業利益は前期比52.5%増の35億5000万円となる見通し。株価は2月22日に昨年来高値1万990円をつけたあと、全体相場の悪地合いもあって上げ一服商状となっているが、75日移動平均線がサポートラインとして機能すれば再び上値トライの展開が見込まれる。

 テリロジー <3356> [JQ]はIPネットワーク関連製品やネットワークセキュリティー分野の製品・ソリューションを提供。サイバー攻撃の脅威が増大するなか、電力系などの重要インフラや工場及びビル管理などからの制御システム・セキュリティーリスク分析案件の引き合いが強いことなどを背景に、21年3月期の連結営業利益は前期比82.0%増の4億8000万円となる見通し。株価は2月25日に直近高値645円をつけたあとはやや上値が重くなっているが、PER(株価収益率)は27倍前後と割高感はない。

 ラック <3857> [JQ]はソフト開発会社で、 情報セキュリティー技術に強み。21年3月期通期の連結営業利益は前期比14.5%減の15億1000万円が予想されているが、セキュリティー対策チームの運用支援や緊急対応サービスの案件は順調に拡大。新型コロナ感染症の影響を受けていたセキュリティー診断サービスも回復しつつある。上昇する5日移動平均線に沿ってリバウンドをみせていた株価は、足もとで全体相場の地合いに押されるかたちとなっているが、2月12日につけた戻り高値1119円を上抜ければ、一段の上昇が期待できそうだ。

 デジタル・インフォメーション・テクノロジー <3916> は情報サービス会社で、サイバーセキュリティービジネスではWebサイト改ざん対策ソリューション「WebARGUS」が大規模顧客で本格的に稼働するなど売り上げ・利益を順調に伸ばしている。21年6月期通期の連結営業利益は前期比18.3%増の16億円が見込まれており、株価は新値追いの展開となっている。

 サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]は人工知能(AI)を活用したクラウド型Webセキュリティーサービス「攻撃遮断くん」が主力。製品の機能開発や営業強化により、21年12月期通期の連結営業利益は前期比32.8%増の2億5000万円が予想されている。株価は戻りの鈍い展開が続いているものの、5日移動平均線と25日移動平均線とのゴールデンクロスが目前。75日移動平均線が位置する3600円台が当面の上値のメドとなりそうだ。

●FFRI、F-ブレインなどにも注目

 このほかでは、安全なテレワークを実現する「Soliton SecureDesktop」を提供するソリトンシステムズ <3040> 、ネットワーク運用監視サービス「NetStare」を扱うセキュアヴェイル <3042> [JQG]、情報セキュリティー関連製品を販売するNo.1 <3562> [JQ]、次世代エンドポイントセキュリティー製品「FFRI yarai」を展開するFFRIセキュリティ <3692> [東証M]、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)対策製品「EX AntiMalware v7」を手掛けるフーバーブレイン <3927> [東証M]、標的型攻撃対策サービス「セキュアドック」のアズジェント <4288> [JQ]、クラウドセキュリティーサービス「HENNGEOne」を提供するHENNGE <4475> [東証M]などの動向にも注目したい。


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