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【市況】国内株式市場見通し:米FOMC前に一進一退か

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米金利動向に神経質な展開、パウエル議長発言で週末急落

今週の日経平均は引き続き米長期金利(10年物国債)の動向に一喜一憂する展開となった。週初は急騰していた米長期金利の落ち着きを受けて、半導体など中心にハイテク株が大きく買い戻され、日経平均も700円程反発して2月26日の急落分の半値戻しを達成。翌2日は米ISM製造業景況指数が市場予想を上回る数値だったが、過度なインフレ加速懸念には繋がらずにむしろ相場はポジティブに反応、米株高の流れを受けて日経平均も一時3万円目前まで上昇。しかし、3万円を一歩手前に失速すると上値の重さが嫌気され戻り売りに押された。米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事が直近の債券市場について「非常に注意を払っている」とし、金利動向をけん制する発言もあったが、2日の米株市場は週明けの相場急伸後に伴う利益確定売りが優勢となりハイテク中心に軟調となった。これを受けた3日の東京市場でもハイテク株が弱含んだ。一方、鉄鋼や非鉄金属、商社など資源関連株が賑わった。ADP雇用統計やISM非製造業景況指数が予想を下回ったほか、金利の高止まりが嫌気され、ハイテク中心に売りに押された米株市場の流れを引き継いで、4日の日経平均は大幅反落。半導体などのハイテクのほかファーストリテ<9983>といった値がさグロース株も大きく売りに押された。また、高騰していたニッケル価格の下落を受けて前日に急騰していた住友金属鉱山<5713>など非鉄金属の景気敏感系も利益確定売りが優勢に。週末5日は、注目されていたパウエルFRB議長の発言において、期待されていた程の金利上昇をけん制する内容が確認されなかったとして、米長期金利が上昇するなか失望売りが優勢となり、日経平均は一時600円程下落する場面があった。しかし、その後はアジア市場の堅調な動きもサポート材料となり、後場から急速に下げ渋る動きもみられ、下落幅は小幅にとどまった。

■メジャーSQなど前に神経質な展開か

来週の日経平均は、翌週に控える日米の中銀イベントを前に引き続き米国の期待インフレ率や長期金利の動向に神経質な展開が想定される。まず週初は米雇用統計の結果を受けた米株市場の動きを吸収する動きか。その後は、週末のメジャーSQ(特別清算指数)を前にこう着感を強めそうだ。ただ、週後半の海外材料には注意を払いたい。米国時間10日には米2月消費者物価指数(CPI)が発表される。これを反映するのは日本時間で11日。足元で過大とも指摘される財政支出による景気過熱、インフレ加速、これを反映した米長期金利の上昇が相場の関心事になっている。FRBはインフレは起きても一時的なものとしているが、先走りがちな市場においては依然としてインフレ懸念がくすぶっている。CPIで仮に強い数値がでると、相場も神経質に反応するかもしれない。飲食・レジャーなどのサービス業はまだまだ弱く、食品・エネルギーを除くコアであれば弱い数値が出るであろうが、これが市場に安心感を与えるとは考えにくい。むしろ、ある程度想定内ではあるがエネルギーを含んだCPIで強い数値が出た場合には敏感に反応する可能性もある。地合いが悪い場合は周知の事実でも弱い材料に反応しやすいことに留意しておきたい。特に来週はメジャーSQがあるため神経質になりやすい面もあるだろう。他方、現地時間11日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会がある。金利上昇をけん制する発言があれば安心感をもたらす可能性もある。そのほか、週末には1-3月期の法人企業景気予測調査がある。これ自体が相場に大きな影響力を持つとは考えにくいが、足元、インフレや金利の動きに敏感になっているなか、実体経済の確かな裏付けとして企業の景況感の改善などが示されれば、長期的な強気材料にはなろう。基本的には翌週に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀政策決定会合を前に週末のメジャーSQもあるため、来週は週を通じて積極的な売買は手掛けづらいだろう。ただし、広い視野でみれば実質金利は依然マイナスで、これがプラスになるほどの米長期金利の上昇は今のところ考えにくい。パウエルFRB議長もインフレや雇用の目標は程遠く緩和政策の長期化を度々強調しており、長期的な視点からみた株式の相対的な魅力が失われたわけではない。日経平均は今週末に一時日足の一目均衡表の雲上限近くまで下げた後、後場は急速に値を戻すなど強い押し目買いも見られた。こうした背景から調整一巡感もあるといえよう。

■幕間つなぎ的に中小型株物色

2月入り前後からみられた景気敏感株を中心とした主力大型株優位の展開は10-12月期決算以降も続いてきた。しかし、そうした動きもそろそろ一巡してくる頃合いか。米FOMCを前に大型株は手掛けにくいという背景もある。そうした中、幕間つなぎ的な形で中小型株優位な展開が期待できそうだ。中小型株は流動性の観点から大型株に比べて業績内容を織り込むのに時間がかかり、割安に放置されやすい側面もある。これまで注目されてこなかった中小型株の妙味が出てくるタイミングと考えたい。

■米CPI、メジャーSQなど

来週の主な国内外スケジュールは、8日に1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、9日に1月家計調査、10-12月期GDP改定値、10日に中国2月生産者物価指数、中国2月消費者物価指数、米国2月消費者物価指数(CPI)、米国2月財政収支、11日に2月企業物価指数、欧州ECB定例理事会、12日に1-3月期法人企業景気予測調査、メジャーSQ、米国2月生産者物価指数などが予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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