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【注目】前日に「買われた株!」総ザライ ―本日につながる期待株は?―

日立造 <日足> 「株探」多機能チャートより

■日立造船 <7004>  920円 (+150円、+19.5%) ストップ高

 東証1部の上昇率トップ。日立造船 <7004> がストップ高。4日の日本経済新聞が、「日立造船は容量が世界最大級の全固体電池を開発した。容量は1000ミリアンペア/時で同社の従来品から約7倍に増えた」と報じた。これを材料視する形で買い人気が集中した。現在の2次電池市場はリチウムイオン電池が主流だが、電解液の発火性などが課題となっており、電解液の部分を固体材料に変えた全固体電池はそのリスクを解消できるほか、電気貯蔵能力やエネルギー効率の高さから次世代電池として注目度が高い。そうしたなか、今回の報道は日立造船の株価を強く刺激する格好となった。

■デュアルタップ <3469>  663円 (+100円、+17.8%) ストップ高

 デュアルタップ <3469> がストップ高。きょう昼ごろ、不動産売買などを手掛けるシーラホールディングス(東京都渋谷区)が関東財務局に変更報告書(5%ルール報告書)を提出しており、これが材料視されたようだ。報告書によると、シーラホールディングスと共同保有者の同社株式保有比率は5.01%から6.20%に増加したことが判明した。保有目的は純投資としている。報告義務発生日は3月2日。同社株はシーラ社が大量保有報告書を提出した昨年10月も連日ストップ高に買われた経緯がある。

■Kudan <4425>  3,850円 (+525円、+15.8%)

 Kudan <4425> は急反騰。3日に公式ツイッターで「embedded award 2021」のスタートアップ部門で最優秀賞を受賞したと発表しており、これを好感する買いが入った。同社は26日に「embedded award 2021」スタートアップ部門の最優秀賞候補3社のうちの1社としてノミネートされたことを明らかにしていた。アワードの最優秀賞候補にノミネートされることは、日本企業として、ここ10年で初めてという。なお、スタートアップ部門の最優秀賞を獲得した企業には、2万ユーロ相当の提携メディアにおけるマーケティング予算が付与される予定としている。

■リコー <7752>  1,117円 (+150円、+15.5%) ストップ高

 東証1部の上昇率2位。リコー <7752> がストップ高。3日の取引終了後、大規模な自社株買いと自己株消却を発表しており、株式需給の好転や自己資本利益率(ROE)など資本効率の改善を評価する買いが膨らんだ。自己株式を除く発行済み株式総数の20.02%に相当する1億4500万株、1000億円を上限に、3月4日~22年3月3日の期間に取得する。株主還元の充実ならびに資本効率の向上を目的としている。また、現在保有する2000万株と今回取得する自己株全てを22年4月30日に消却する。

■ナトコ <4627>  1,463円 (+153円、+11.7%) 一時ストップ高

 ナトコ <4627> が急騰。3日の取引終了後に発表した21年10月期第1四半期(20年11月~21年1月)の連結決算で経常利益が前年同期比70.3%増の5億6200万円に拡大しており、これを好感する買いが入った。建材用塗料で高耐久商材や内装建材向け抗ウイルス塗料の販売が伸びたほか、テレワークの拡大を背景にモバイル製品向けコーティング剤の需要が旺盛だった。また、生産性の向上や経費削減なども利益拡大に貢献した。併せて、上期の同利益予想を従来の6億1500万円(前年同期比0.2%増)から9億4000万円(同53.1%増)へ大幅上方修正し、14期ぶりに上期の過去最高益を更新する見通しとなった。なお、通期の経常利益は従来予想の16億4000万円(前期は15億円)を据え置いている。

■第一稀元素化学工業 <4082>  1,259円 (+114円、+10.0%)

 東証1部の上昇率4位。第一稀元素化学工業 <4082> は全体相場に逆行して上値追いを加速させている。きょうで4連騰となり連日の新高値。自動車排ガス触媒や電材向けジルコニウム化合剤の大手メーカーだが、燃料電池材料や電気自動車(EV)向け2次電池材料も展開していることが注目を集めている。きょうは日立造船 <7004> が世界最大級の容量持つ全固体電池の開発報道を受けストップ高に買われる人気となったこともあって、その連想買いの動きも加わっているもようだ。業績面でも21年3月期営業利益を従来予想の7億円から17億円(前期比45%減)に大幅増額しており、22年3月期は更に回復色を強める見通し。

■Jティッシュ <7774>  802円 (+72円、+9.9%)

 ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> が急騰。3日の取引終了後、2月1日から実施していた帝人 <3401> によるTOB(株式公開買い付け)が終了したと発表。帝人が議決権ベースで57.72%を保有する親会社となり、TOBに応じた富士フイルムホールディングス <4901> 傘下の富士フイルムとの資本業務提携を解消することを明らかにした。同社株はTOB発表後に急騰し2月は790円前後で推移していたが、今週に入り大きく下げ前日終値は730円だった。きょうはTOB成立が好感され大きく買い優勢となった。

■ロゼッタ <6182>  2,826円 (+243円、+9.4%)

 ロゼッタ <6182> は全体地合い悪のなか投資資金の攻勢が続き3連騰、急勾配の5日移動平均線を絡め上値追いを加速している。同社は人工知能(AI)を活用した自動翻訳サービスを展開しており、コロナ禍の新サービスとしてバーチャルリアリティー(VR)分野にも積極的に踏み込んでいる。3日取引終了後、外国語が話せなくても自由に外国人と会話できる言語フリー・スペース「友コネクト(YouConnect)」を5月からサービス開始することを発表、これを材料視する買いを呼び込んだ。

■ダイハツディーゼル <6023>  541円 (+45円、+9.1%)

 ダイハツディーゼル <6023> は全体下げ相場のなかで異彩の上昇波を形成、きょうで9連騰となった。船舶用発電エンジンを手掛けるが、コージェネレーション分野のノウハウも高く、脱炭素に向けた取り組みも積極的だ。同社は早くから地球環境問題を経営上の最重要課題の一つに掲げるなどESG重視の姿勢を前面に押し出している。ここ世界的にESG関連銘柄への注目度が高まっており、世界的にも先進国の中央銀行はグリーン債購入などESGを意識した動きを鮮明化させている。日本ではトヨタ自動車 <7203> がESG債を最大5000億円発行すると発表するなどで話題を呼んでいる。そうした流れのなかで、同社株はPBR0.4倍前後と超割安圏に放置されていることもあり継続的な買いを呼び込んでいる。

■平和 <6412>  1,815円 (+149円、+8.9%)

 東証1部の上昇率5位。平和 <6412> が続急伸。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が3日付で同社の投資判断を「ニュートラル(中立)」から「オーバーウエイト(強気)」に引き上げ、目標株価を1990円から2520円へ増額しており、これを好感する買いが入った。レポートでは、従来の遊技機主体企業からゴルフ主体企業へ転換し、22年3月期以降、ゴルフが牽引する新たな収益拡大局面に入ると評価。同証券による22年3月期から25年3月期の営業利益予想について、事業環境悪化で遊技機利益を減額する一方、事業環境の好転からゴルフ利益の増額幅が上回るとみて上方修正している。

■イーレックス <9517>  1,787円 (+124円、+7.5%)

 東証1部の上昇率7位。イーレックス <9517> が急反発。3日の取引終了後、21年3月期の連結業績予想について、売上高を958億8000万円から1367億円(前期比54.2%増)へ、営業利益を83億1100万円から152億円(同64.4%増)へ大幅に上方修正した。営業利益は従来の1割減益予想から一転して6割増益見通しとなっており、これが好感されている。売上高については、販売電力量の順調な増加により電力小売事業の売り上げが伸長したことや、卸販売の増加などが寄与した。また利益面では、自社発電所の順調な稼働や相対電源の活用などで、電源調達コストの低減が見込まれることなどが押し上げ要因となった。

■ワールド <3612>  1,378円 (+59円、+4.5%)

 ワールド <3612> が続伸。3日の取引終了後に発表した2月度の国内小売事業売上高で、既存店売上高は前年同月比18.3%減となったものの、前月の同39.8%減に比べて減収率が大幅に改善しており、これが好感された。2月は営業日と休日数が前年同月と比べて1日少ないほか、2回目の緊急事態宣言の影響で低調な滑り出しとなった。ただ、中旬以降の気温上昇により春物商品が活発となり、最終週には既存店売上高が前年同月を超過する水準に回復したという。ブランド別では、家での過ごし方を充実させる生活雑貨ブランド「ワンズテラス」や「212キッチン」、ゴルフウェア「アダバット」が好調に推移。EC販路では、前月発生した物流センターからの一時的な出荷遅延が解消し、同17.1%増と2ケタ伸長した。

■三櫻工業 <6584>  1,034円 (+38円、+3.8%)

 三櫻工業 <6584> が全体波乱相場のなかで強さを発揮、続伸で4ケタ大台に復帰してきた。自動車配管部品などを手掛けるが、コロナ禍にあっても自動車販売は米国・中国などを中心に好調で同社の収益環境は順風に変わっている。21年3月期業績は従来予想を大幅増額、営業利益段階で7億円から31億円(前期比43%減)に修正しているが、22年3月期は回復色が一気に強まる公算が大きいとみられている。またきょうは、日立造船 <7004> が前日に都内で開催された展示会で世界最大級の容量を持つ全固体電池開発に成功したことを明らかにしたと伝わり、一時ストップ高に買われる人気となった。三桜工も同社が出資する米ソリッドパワーが全固体電池を開発・出荷していることで、全固体電池関連の一角として改めて注目が集まったことも株価を刺激しているもようだ。

■エイケン工業 <7265>  2,819円 (+104円、+3.8%)

 エイケン工業 <7265> はしっかり。3日の取引終了後、第1四半期(20年11月~21年1月)単独決算を発表しており、売上高15億9900万円(前年同期比9.7%増)、営業利益1億4200万円(同52.5%増)、純利益1億800万円(同56.0%増)と大幅な増益となったことが好感された。付加価値の高い大型車用フィルターや高性能オイルフィルター、プレス部品の拡販に注力したことが奏功した。また、生産量の増加に伴い生産効率が向上し売上総利益率が向上したことや、旅費交通費などの販管費が減少したことも寄与した。なお、21年10月期通期業績予想は、売上高60億円(前期比11.4%増)、営業利益4億2200万円(同70.0%増)、純利益3億800万円(同36.0%増)の従来見通しを据え置いている。また、2万5000株(発行済み株数の2.45%)、6787万5000円を上限とする自社株を今朝の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で取得すると発表しており、これも好材料視された。株主への利益還元及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策をするためとしている。

■スターゼン <8043>  4,485円 (+140円、+3.2%)

 スターゼン <8043> は大幅続伸。3日の取引終了後、3月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表したことが好感された。投資単位当たりの金額を引き下げることで、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることが目的としている。

■日本郵船 <9101>  3,165円 (+85円、+2.8%)

 日本郵船 <9101> 、商船三井 <9104> 、川崎汽船 <9107> など大手をはじめ海運株が全体急落相場に逆行。米国では追加の大型経済対策に加え、複数の新型コロナワクチンが普及局面に入ったことでアフターコロナを意識する局面に入っている。東京市場でも緊急事態宣言の延長はあったものの、新規感染者数は減少傾向で医療システム崩壊などのリスクは緩和されている。また、中国ではいち早く新型コロナウイルスの影響から立ち直り、今週末から開催される全人代で経済政策が打ち出され一段と景気を刺激する方向が予想されている。世界的な経済の復元を背景に世界物流を担う海運セクターにとって荷動きの改善が意識される局面にある。市場では「複数の証券系調査機関がコンテナ船市況及びばら積み船市況の回復を見込み、目標株価を引き上げる動きをみせており、(全体地合い悪のなか)消去法的に投資資金が向かう形となっている」(ネット証券アナリスト)と指摘されている。

■第一工業製薬 <4461>  3,645円 (+75円、+2.1%)

 第一工業製薬 <4461> が3日ぶりに反発。3日の取引終了後、21年3月末から株主優待制度の一部を変更すると発表しており、これが好材料視されたようだ。新制度では100株以上保有株主に対し、「カイコ冬虫夏草」7日分お試しセット(約3000円相当)と「カイコ冬虫夏草」「スダチン」の株主優待特別販売クーポンを贈呈する。また、1000株以上保有者には「スダチン」1ヵ月分(約3000円相当)を追加で付与する。現行制度では100株以上保有で「スダチン」1ヵ月分、1000株以上保有で「スダチン」1ヵ月分と「カイコ冬虫夏草」5日分お試しセットを贈呈していた。

■モロゾフ <2217>  5,730円 (+120円、+2.1%)

 モロゾフ <2217> が続伸。同社は3日取引終了後、21年1月期業績予想の上方修正と配当の増額を発表したことが好感された。売上高は255億円から256億7000万円(前の期比13.1%減)に見直したほか、営業利益は5億3000万円から7億5000万円(同55.2%減)、純利益は2億円から3億5000万円(同68.0%減)に修正した。1月のインターネットや宅配ルートでのバレンタイン商品の販売が想定以上に堅調に推移したことで売上高は想定をやや上回った。また、利益面では増収効果に加え販売人件費や経費が想定を下回ったことが寄与した。年間配当は従来予想の40円から60円(前の期比40円減)に増額することも明らかにした。

■農業総合研究所 <3541>  592円 (+12円、+2.1%)

 農業総合研究所 <3541> は続伸。3日の取引終了後、資本・業務提携先であるJR東日本 <9020> のインフラを活用し、新しい農産物流通プラットフォームの共同運用を開始すると発表しており、これが好感された。同提携事業を通じて、主に関東・甲信エリアの農産物の販路拡大と生産者の収入源増を目指すとともに、鮮度の高い農産物の提供を可能にするとしている。第1弾として千葉・茨城・長野エリアの駅周辺施設を活用した農産物集荷場を整備し、生産者の出荷の利便性を高めるとともに、列車による農産物の輸送を通じて、流通時間の短縮を図る実証実験を行う。また、JRE MALL(ECサイト)内に農産物販売ショップ「農家の直売所」も出店し、収穫から最短で翌日に農産物を届ける。なお、同件による21年8月期の業績に与える影響は軽微としている。

※4日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。

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