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【特集】金相場は方向性を模索か?ドル安見通しが下支えも、投資資金の動きは限定的 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 の現物相場は、リスク選好のドル安が支援要因となる場面も見られたが、バイデン氏の追加経済対策案を受けて長期金利が上昇すると、ドルが買い戻されて反落した。その後、バイデン氏が第46代米大統領に就任するとリスク選好の動きが戻り、下げ一服となった。

 金は1811.21~1958.73ドルの新たなレンジを形成した。新型コロナウイルスのワクチン普及で中長期の景気回復が見込まれるなかでのドル安見通しが金の支援要因である。ただ、バイデン米新政権が1兆9000億ドル規模の追加経済対策案を発表し、米国債の需給悪化に対する懸念から利回りが上昇したことで一旦ドルが買い戻された。

 また、欧州諸国で新型コロナウイルスの変異種の感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)が延長され、景気の二番底に対する懸念からリスク回避の動きとなったこともドル高要因となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が当面の政策変更はないとの見方を示していることや、米議会で追加経済対策案が可決・成立する見通しであることから、リスク選好の動きが戻れば金の下支えになるとみられる。

 ただ、南アフリカの変異種にワクチンの効果が限定的との見方がある一方、米モデルナのワクチンには予防効果があると伝えられるなど、情報が交錯している。ワクチン普及が進み、北半球の寒さが和らぐまでは新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着くことは期待できない。経済指標が悪化すればリスク回避のドル高に上値を抑えられるとみられ、当面は方向性を模索する動きが続くことになろう。

●ECBは3月末までの制限措置の解除を見込む

 欧州中央銀行(ECB)は21日の理事会で大規模な量的緩和の維持を決定した。ラガルドECB総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大や制限措置の長期化が経済のリスクになるとした。ただ、同総裁は欧州諸国がロックダウンの延長を発表した際、「3月末までに制限措置が解除され、ワクチン接種が進めば景気回復を見込むECBの見通しに影響はない」とコメントしている。

 一方、1月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)速報値は総合指数が47.5と前月の49.1から大きく低下した。ロックダウンの影響を受けてサービス部門が悪化した。リスク回避を促す要因になっており、今後発表される経済指標も確認したい。

 米国の長期金利が上昇したが、パウエル米FRB議長は、12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が14万人減少と8ヵ月ぶりに悪化し、米経済の状況は物価や雇用の目標からかけ離れているとした上で、資産買い取りの変更に関する議論は時期尚早とした。目先は米連邦公開市場委員会(FOMC)でどのような見通しが示されるかを確認したい。

 イエレン氏は19日の上院財政委員会の承認公聴会で、新型コロナウイルス危機の克服を最優先し、積極的に取り組む決意を表明した。債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとしており、積極財政が続くと、金の支援要因になる。米上院本会議は25日、イエレン氏が米財務長官に就任することを承認しており、今後、米FRBとの協調の行方も焦点である。

 また、ペロシ米下院議長は新政権の追加経済対策案について、下院で2月第1週の採決を目指すとの考えを示した。共和党の議員が規模縮小を求めており、米議会での対策案の議論も当面の焦点である。

●中国の金プレミアムが正常化

 中長期の景気回復見通しからドル安が見込まれているが、金ETF(上場投信)で投資資金の動きは限定的である。世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの現物保有高は25日に1173.25トン(12月末1170.74トン)となった。昨年9月の1278.82トンをピークに減少しており、ドル安見通しを背景に投資資金が戻るかどうかが焦点である。ビットコインに投資資金が流出したことも指摘されており、今後の資金動向を確認したい。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは1月19日時点で24万6638枚となり、昨年12月29日の26万8872枚から縮小した。リスク回避のドル高を受けて手じまい売りが出た。

 金の独自材料では、中国の上海金のプレミアムが正常化した。昨年の新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退を受けて大幅なディスカウントとなっていたが、昨年12月の20ドル前後のディスカウントから、年明けは5ドル前後のプレミアムに戻した。

 中国経済は新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、回復傾向にある。12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.9と3年ぶりの高水準となった前月の52.1から低下したが、回復の勢いを維持している。ただ、年明けに新規の感染者が確認されると、一部地域でロックダウンが再導入された。北京や上海では2月の春節を控えて帰省しないよう呼び掛けており、中国経済の行方も確認したい。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)


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