【特集】植木靖男が斬る!丑年「有望株!」 <新春お年玉企画>
株式評論家 植木靖男
「一大金融相場が持続、年後半に緩やかに騰勢」
●ウイルスとの戦いに縛られる金融・財政政策
新年相場をどう読むか。それには、まず前年つまり2020年の相場のトレンドとその要因を精査することが肝心である。
振り返ると、20年はトレンドからみると、大雑把に前半安と後半高に分けられる。前半(1~3月)は、いうまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大懸念という想定外の突発要因によって、経済的に供給と需要が一気に消失するというアクシデントに見舞われた。
実質GDP(国内総生産)は4-6月期に前期比年率換算で28.1%減とリーマン・ショック時を上回るマイナス成長となった。このため、財政・金融政策を総動員して資金供給に走り需要の回復を図った。
幸い、4-6月期を底に景気は回復に向かい、株式市場も反騰のきっかけをつかんだ。株式市場は膨大な資金供給で歴史的な金融相場を示現しつつあった。一方で、世界的な財政、金融政策による資金供給で金利が低下、マイナス金利が常態化した。
こうした背景の下、世界の株式市場は実態経済との乖離が問題視されるほど上昇した。
では、新年相場はどうか。ひとえに20年の過剰流動性相場が持続するのか、にかかる。この解は、コロナ感染拡大がワクチンの実用化で収束するのかがカギだ。コロナウイルスも生き延びるために必死である。人類が対策に走れば走るほど、ウイルスも感染能力を高めた変異種が出現するなど姿を変え、対抗を強めていく。
だとすると、新年もウイルスと人類の戦いは深刻化し、対立を深めるのではないか。
結果として、先進国の財政・金融政策はこれまで通り、“命が大事”とばかり、財政・金融政策に依存せざるを得ない。仮に経済が正常化に向かうとしても、先進国政府はコロナ拡大を恐れて、この政策から脱却しようとするほどの度胸は持ち合わせていないようにみえる。
●金利動向によりセンシティブに
だとすると、新年相場は20年も同様、一大金融相場が持続するとみてよさそうだ。
もちろん、相場である以上、人気が行き過ぎれば自律反落で10%程度の下落は年前半には予想されるが、あくまでも上昇途次の反落である。したがって、年を通じてみれば新年は上昇基調が継続するというシナリオしか選択肢はないのである。
かくして、新年は具体的には20年と同じく年前半は日経平均株価で2000~3000円の自律反落が予想されても、年後半はコロナ拡大懸念というマイナス材料を抱えることで急上昇とはいかず、緩やかな騰勢を続け、秋頃には2万8000円~3万円処の高値を示現するものと予想する。
この間、景気や企業収益の動向が株価の先行指標として意識されるのは常。そのカギを握るのは景気の体温ともいうべき金利動向だ。これまで以上にセンシティブであるべきだろう。
さて、21年の物色動向をどうみたらよいか。期待できそうな10銘柄をピックアップした。
◆植木氏のお薦め「2021年ポートフォリオ10銘柄」
・タカラバイオ <4974>
コロナ禍のもと、PCR検査試薬や医薬品受託が好調。
・日立造船 <7004>
脱炭素を目指す中、水素発生装置に期待。株価大転換へ。
・レノバ <9519>
再生可能エネルギーが注目される中、太陽光、バイオマス、風力発電など幅広く展開。
・アサヒホールディングス <5857>
世界的に通貨価値が下落するトレンドでは、金の価格は逆に上昇する。
・ブイキューブ <3681>
コロナ感染拡大でオンライン説明会、Web会議などが拡大。
・日本郵船 <9101>
中長期的に世界経済が回復する中で、そのトレンドに物流は連動する。中国の景気回復に期待。
・住友金属鉱山 <5713>
景気敏感株の一角。ニッケルで世界メジャー入りを目指す。国内唯一の高品位金鉱山を有する。
・NTTデータ <9613>
システム開発専業で国内最大手。大規模開発に強み。海外進出も急。中央官庁、銀行向けなどを得意とする。
・住友電気工業 <5802>
銅、アルミなどを原料に自動車部品のワイヤーハーネスでは世界シェア大手の一角。光ケーブルでも強み。
・三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306>
約40年に及ぶ金利低下が新年は大転換の見通し。収益改善への期待が高まる。
2020年12月29日 記
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