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【特集】山内俊哉氏【年末年始どう動く、日経平均の上値どこまで】(2) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

―コロナ感染懸念とワクチン普及期待の狭間で思惑交錯―

 週明け14日の東京株式市場は日経平均が3日ぶり反発に転じた。国内外で新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、経済活動への影響が改めて懸念されている一方、米製薬大手ファイザーの新型コロナワクチンが承認されたことなどで、ワクチン普及への期待感も高まっている。強弱感対立のなか、日経平均は2万7000円のフシ目を突破して更なる高みを目指すのか、それとも利益確定売りに調整局面が待つのか。また、ここ1ドル=104円近辺で収れんするドル円相場の先行きにもマーケットの関心が高まっている。株式と為替の展望について、それぞれ第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「ドル円は一進一退継続、バイデン新政権の方向性確かめたい」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

 足もとでドル円相場は一進一退で方向感に欠ける展開が続いている。新型コロナワクチンへの期待が強いが、来月5日に予定されている米ジョージア州の上院決戦投票を確かめたいとの見方もあり、これが膠着状態を生む要因となっているように思える。

 ジョージア州の決戦投票を経て、共和党は上院の過半数を確保するとの見方が一般的だ。しかし、もし同州で民主党が勝利すれば大統領と下院に加え、上院も制するトリプル・ブルーの状況となり、再び増税懸念が頭をもたげてしまう。米国の追加経済対策に関してもジョージア州の情勢を意識し歩み寄れない状況が生まれているとみており、同対策は年内に決まらない可能性もあると思う。

 また、新年にはバイデン政権が発足することになるが、民主党政権は保護主義的な性格があり、基本的にはドル安志向を持つともみられている。もっとも、バイデン政権の政策を確かめるうえで、一般教書演説や予算教書演説などを通じて新政権の政策の方向性を確認したいという意向は強いだろう。

 今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では大きな金融政策の変更はないとみられ、為替の膠着状態は変わらないのではないか。

 こうしたなか、年末年始を含む今後1ヵ月程度のドル円相場のコアのレンジは103円00~104円80銭程度を見込む。多少、上下に振れたとしても102~105円前後が想定され、基調としての一進一退は続くとみている。

 また、英国と欧州連合(EU)の交渉は、年内にはまとまらず、新年に入っても続く長丁場の協議となることもあり得ると思う。ユーロは1ドル=1.19~1.23ドルのレンジでの軟調地合いを予想している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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