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【市況】明日の株式相場に向けて=バリューシフトに乗るメガバンク

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(17日)の東京株式市場は、前日の欧米株高が追い風。米国株市場ではNYダウが9カ月ぶりに史上最高値を更新したことを受けリスク選好ムードが継続した。日経平均株価は107円高の2万6014円と続伸し、29年半ぶりの2万6000円台へと歩を進めたが、さすがに買い疲れ感も垣間見られた。

 米国では製薬大手ファイザーに続いて、バイオ医薬品のモデルナが新型コロナワクチンの最終治験で94.5%の有効性を得られたと発表し、これがリスクオン相場の加速スイッチを押す格好となった。投資マネーはグロースから離れバリューシフトの動きが鮮明化し、新型コロナウイルスの影響が直撃した景気敏感セクターで広範にわたってリベンジ相場の色を濃くした。

 ただ、東京市場では11月に入ってから日経平均が前日段階で既に約3000円も水準を切り上げている。市場関係者の間でもさすがに行き過ぎに買われているという見方は少なくない。相場はいったん境界線を破り“通常モード”を外れると、合理に反する動きが加速する傾向があるが、11月前半は文字通り怒涛の上昇波が有無を言わさず全体を押し上げ、理屈は後からついてくるような状態となった。

 しかし、きょうについては日経平均が100円超の上昇をみせたものの強気相場という印象は受けない。途中、急速に値を消しマイナス圏に沈む場面もあり、その後持ち直したとはいえ、大引け時点で値下がり銘柄数が1300を超え、値上がり数を大幅に上回った。

 そして新興市場、特に個人投資家の土俵であるマザーズ市場が変調で、体感温度はむしろ冬場のそれである。きょうの東証マザーズ指数は一時4%強の下落で1180.95まで売り込まれ、75日移動平均線に接触する寸前まで水準を切り下げた。今月に入り75日線ラインの攻防は2日と11日に続き3度目である。

 ちなみに、騰落レシオは前日時点で東証1部が95.1%、東証2部は89.4%であるのに対し、マザーズ指数は74.9%と80%ラインを下回っている。騰落レシオは120%を上回ると買われ過ぎとされ、下は70%という見方もあるが、通常は80%を下回ればマインドが冷え込んでいる状態を示す。そうしたなか、下値支持の75日線を仮に3度目の正直で下抜けるとなると、個人の追い証リスクがまたもや取り沙汰される状況となるだけに注意が必要な局面ではある。また、マザーズ市場の信用評価損益率も注目される。大手ネット証券によると前日時点でマイナス17.5%。これがマイナス20%を超えると一部で追い証が出始め、25%を上回ると総投げ状態に発展する。今週は正念場といえよう。

 個別株は日経平均に目先高値警戒感が浮上するなか、新規買いはなかなか選別が難しいタイミングである。バリューシフトの流れに乗っているのは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>を筆頭とするメガバンクだ。直近では大型株の中でも配当利回りの高い銘柄が、投資対象としてキャピタルゲインを生みやすい地合いにある。また、中小型株の逆張りも虎視眈々と狙いたいところで、その際にはナイフが地面に刺さってから、業績面で裏付けのあるものを選ぶと戻り相場に乗りやすい。

 あすのスケジュールでは、10月の貿易統計、10月の訪日外国人客数など。海外では10月の米住宅着工件数が注目となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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