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【特集】エスプール Research Memo(1):障がい者の雇用創出、環境対策分野に取り組むESG関連企業として注目

エスプール <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

エスプール<2471>は、コールセンター向け派遣を中心とした人材ソリューション事業と、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス等を中心としたビジネスソリューション事業を展開している。障がい者雇用支援サービスでは、企業に対して貸し農園設備の販売及び運営管理と、障がい者の就労支援サービスを提供しており、ビジネスモデルとしてはフロー型とストック型を組み合わせたハイブリッドモデルとなっている。2010年に事業を開始して以降、2020年5月末時点で、千葉県、愛知県、埼玉県で21農園を運営、累計1,700名を超える障がい者雇用を創出している。

1. 2020年11月期第2四半期累計業績実績
2020年11月期第2四半期累計(2019年12月-2020年5月)の売上高は前年同期比17.6%増の9,759百万円、営業利益は同29.9%増の991百万円といずれも期初会社計画(売上高9,633百万円、営業利益788百万円)を上回り、半期ベースで過去最高業績を更新した。主力の人材アウトソーシングサービスや障がい者雇用支援サービスがそれぞれ2ケタ増収と好調に推移し、業績のけん引役となった。また、ロジスティクスアウトソーシングサービスや採用支援サービスなども増益に貢献している。

2. 2020年11月期見通し
2020年11月期の売上高は前期比17.8%増の20,636百万円、営業利益は同24.7%増の2,000百万円と期初計画を据え置いた。引き続き人材ソリューション事業、障がい者雇用支援サービス事業の成長を見込んでいる。人材ソリューション事業では、コールセンター業務で主要顧客の深堀りや顧客層の拡大に取り組むほか、需要が旺盛な介護・医療人材サービスでも関西エリアに進出し、更なる拡大を目指している。障がい者雇用支援サービスでは、第2四半期にコロナウイルス感染拡大(以下、コロナ)の影響で農園設備販売が一時的に落ち込んだものの引き合いは旺盛で、通期計画(前期比27.6%増収)は達成可能と見られる。採用支援サービスは新たにWeb面接代行や適性診断サービスなども本格的に開始し、更なる事業拡大を目指す。また、新たに抗ウイルスコーティングサービスを下期から開始しており、同社グループの取引先を中心にサービス展開していく予定となっている。今後、コロナによって再度、経済活動が冷え込む状況にならなければ、通期業績についても会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

3. 新規事業を含めた成長見通しについて
2021年11月期以降も増収増益基調が続くものと予想される。障がい者雇用支援サービスは、2020年11月期の第4四半期に販売開始する屋内農園モデル(東京・板橋区)が軌道に乗れば、その他周辺自治体向けでの展開も進む可能性が高い。知的障がい者の雇用創出に課題を抱える自治体が多いためだ。2021年4月以降は、企業の障がい者法定雇用率が現行の2.2%から2.3%に引き上げられることも追い風となり、販売区画数は2020年11月期計画の1,026区画から1,100~1,200区画に拡大する見通しで、ストック型収入となる運営管理収入もさらに伸長することで、引き続き業績のけん引役になるものと予想される。また、新規事業として環境分野にも注力する方針だ。2020年6月にカーボン・オフセット・プロバイダー事業を展開するブルードットグリーン(株)を子会社化しており、同社ノウハウを生かして企業に対してCO2削減に向けたコンサルティング及びプログラムの提供を進めていく予定で、数年後に売上規模で10億円以上に育成していくことを目指している。障がい者等の就労支援や雇用創出を通じた地方創生など社会貢献に加えて、新たに環境保全にも貢献する企業として、ESG投資の観点からも注目度が高まるものと予想される。

■Key Points
・主力2事業の好調に加え、ロジスティクスアウトソーシング、採用支援サービスも増益に
・障がい者雇用支援サービスは新たに販売開始する屋内型モデルが軌道に乗れば、都心周辺でさらに拠点が広がる可能性
・環境対策分野の新規事業を開始し、中期的に収益柱に育成していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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