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【市況】日経平均は3日ぶり反落、4連休控え模様眺め気分強まる/ランチタイムコメント

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均は3日ぶり反落。55.47円安の22828.75円(出来高概算5億3582万株)で前場の取引を終えている。

 前日21日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は159.53ドル高の26840.40ドル、ナスダックは86.73ポイント安の10680.36ポイントで取引を終了した。企業の良好な決算や欧州が復興基金で合意したことが好感され上昇して寄り付いた。その後、今週後半に主要ハイテク株の決算が控えており、内容を見極めたいとの思惑から手仕舞う動きが広がり、上げ幅を縮めた。

 今日の東京株式市場は売り先行で始まった。昨日の米国株式市場でダウ平均上昇の要因の一つとなったEU復興基金案の合意は、東京市場では昨日の後場の段階ですでに織り込み済みとの見方から、買い手掛かり材料とはならなかった。むしろ、欧州景気の回復期待で外為市場でユーロが買われ、ドルがユーロ以外の通貨に対しても安くなり、早朝の時間帯に1ドル=106円60銭台と、昨日の円の安値から70銭ほど円高・ドル安に振れ、株価を抑える要因となった。

 新型コロナに関しては、トランプ米大統領が、新型コロナの今後の見通しについて「状況は良くなる前におそらく悪くなる。」と発言し、また、小池東京都知事が、4連休は不要不急の外出を控えるよう都民に呼び掛ける考えを示すなど、新型コロナへの警戒感が一段と強くなっており、積極的な買いは手控えられた。寄り後は、明日からの4連休を控え、次第に模様眺め気分が強くなった。

 個別では、バス車内でキャッシュレス決済を導入すると発表した小田原機器<7314>がストップ高買い気配となり、中国の競合企業が米国の商務省産業安全保障局のEntityListに追加されシェア拡大が期待されたNISSHA<7915>が10%を超す上げとなった。また、第1四半期決算が市場予想を上振れた日本電産<6594>、21年3月期上半期(中間期)業績予想を上方修正した富士通ゼネラル<6755>、東証1部への市場変更を発表したLink-U<4446>、第3四半期以降の業績改善を見据えて国内証券が格上げしたネクステージ<3186>、「デキサメタゾン」がコロナ治療薬として認定され後発薬を製造している日医工<4541>が上げた。

 一方、21年1月期上半期(中間期)業績予想を下方修正し21年1月期業績予想を未定に修正したACCESS<4813>、21年3月期第1四半期(20年4-6月)連結営業利益が前年同期比8.7%減となったモーニングスター<4765>が10%を超す大幅安となり、アパレル市場逆風の中で割高感から国内証券が格下げしたZOZO<3092>、短期的な受注足踏みも想定し国内証券が格下げした安川電機<6506>が安くなった。

 セクターでは、鉱業、ゴム製品、石油石炭製品、非鉄金属、電気・ガス業などが上昇率上位。一方、医薬品、陸運業、精密機器、サービス業、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の35%、対して値下がり銘柄は60%となっている。

 東京市場は明日からの4連休が明けると、4-6月期決算の発表が本格化する。今回の決算発表は、新型コロナの影響が企業の売上高や利益にどの程度影響しているかということに焦点が当たるだろうが、少し違った見方もできるかもしれない。

 日本電産<6594>が昨日発表した21年3月期第1四半期(20年4-6月)決算は、前年同期比6.6%減収、1.7%営業増益となった。世界的な需要低迷で売上高が減少したが、コスト削減策の効果で増益を確保した。減収・増益となったのは日本電産だけではない。富士通ゼネラル<6755>が昨日発表した4-6月期連結業績は、新型コロナの影響で前年同期比6.9%減収だったが、コストダウンなどにより営業利益は前年同期に比べ55.3%増の大幅増益となった。

 また、昨日業績予想を上方修正したコスモ・バイオ<3386>。20年12月期上半期(中間期)連結売上高は前回予想から1%強と小幅に上方修正した一方、連結営業利益は前回予想を70%以上も上回る見込みと発表した。会社側は、新型コロナの影響による営業活動の自粛などにより経費が圧縮されたとしている。

 コロナ禍は一般的には企業にとって逆風だろう。しかし、コロナ禍の逆風を逆手に取り、次のステージに向けた施策を一気に進める経営者も少なくないと思われる。上述の日本電産や富士通ゼネラルは、コロナ禍の逆風の中でのコスト削減により収益体質が一段と強固になったと思われる。

 これはアフターコロナでも大きな強みとなる。また、コスモ・バイオは、利益を生むために行ってきた営業活動が、逆に利益拡大の阻害要因となっていたことが示唆されており、コロナ禍の逆風が新しい営業活動へ転換するきっかけとなる可能性もある。アフターコロナでは、これまでとは全く違う筋肉質の収益体質に生まれ変わった姿を見せる企業が現れるかもしれない。4連休明けから発表が本格化する4-6月期決算発表では、単に売上高や利益の増減だけではなく、個々の企業がコロナ禍の逆風の中で何をしてきたかが問われることになりそうだ。

 さて、後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。東京市場は明日から4連休となることから積極的にポジションを傾けにくい。また、4連休の間には米国でテスラ、マイクロソフト、ツイッターなど主要企業の4-6月期決算発表が相次ぎ、これを確認したいとする向きも多い。前場のTOPIXの下落率は0.1%で、日銀によるETF買いは期待しづらい。一方、テクニカル面では、短期的な下値支持線として意識される5日移動平均線が22700円台にあり、ここから下げても下値は限定的だろう。
《AK》

 提供:フィスコ

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