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【特集】動物高度医療 Research Memo(4):連携病院数、初診件数は増加基調

動物高度医療 <日足> 「株探」多機能チャートより

■日本動物高度医療センター<6039>の事業概要

4. 連携病院数及び初診件数
診療件数は一次診療施設からの紹介件数によるため、同社は特に初診件数(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標と位置付けている。そして登録の申し込みに基づく連携病院数の増加が初診件数や総診療件数(初診件数と再診件数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。

学会発表やセミナー開催などの学術活動を継続的に推進して連携病院の増加を図っており、連携病院数は増加基調である。2010年3月末の2,248施設から2020年3月末には3,747施設まで増加した。なお病院の新規開業に伴って受入体制が強化されるため、連携病院数も病院の新規開業(2011年12月名古屋病院、2018年1月東京病院)時に大幅増加する傾向がある。また連携病院数の増加に伴って、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も、2010年3月末の22.2%から2020年3月末には30.9%に上昇し、全体で初めて30%台に乗せた。このうち関東エリアでは東京病院の稼働も寄与して40%台後半まで上昇している。

連携病院数の増加基調に連動する形で、初診件数及び総診療件数は増加基調である。また初診から手術に至る割合はおおむね3分の1程度で推移しており、初診件数の増加に伴って手術件数も増加基調である。2020年3月期の初診件数は前期比7.4%増の6,476件、総診療件数は同6.2%増の25,307件、手術件数は同9.7%増の1,977件となった。なお2019年3月期以降は東京病院の開業に伴って大幅増加している。


高度医療専門の総合病院への参入障壁は高く、競合リスクは小さい
5. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性・リスク要因としては、一次診療施設からの紹介への依存、新規病院開業に伴う収益変動、ペット飼育頭数の減少や競合など事業環境の変化、診療サービスの過誤や診療動物間での感染症流行、獣医師法や獣医療法といった法令の改正による規制強化、人材の育成・確保などがある。

競合に関しては、一次診療施設の動物病院数は増加傾向(農林水産省調べによる全国の小動物診療施設軒数は2009年末の10,135軒から2019年末の12,116軒まで増加)だが、同社は一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携するビジネスモデルである。そして連携病院数は増加基調であり、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合も2010年3月末の22.2%から2020年3月末の30.9%に上昇している。また患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合病院への参入障壁は高く、競合激化リスクは小さいと考えられる。


質の高い獣医師・動物看護師の育成・確保に注力
6. 人材の育成・確保
同社単体ベースの2020年3月期末職員数185名のうち、現場で診療に携わる獣医師は72名、看護師は53名である。獣医師不足で大量の採用・増員が難しい状況だが、高度な医療サービスを提供するには質の高い獣医師・動物看護師の存在が必須であり、同社は中期成長に向けて人材の育成・確保に注力している。

人材の育成・確保に関しては、大学・専門学校・各種団体との関係性・人脈形成による採用強化に加えて、卒後臨床研修制度(2008年4月開始)を通じた獣医師育成も行っている。卒後臨床研修制度は、大学卒業後2年間に体系的なカリキュラムと指導体制のもとで、獣医師としての人格や価値観を育成し、患者動物を体系的に診ることができる基本的な診療能力を習得することを目的とした制度である。

また動物看護師の活用に対する期待が高まっている。高度化する動物医療に対応するため愛玩動物看護師法が2019年6月成立、公布された。動物看護師を国家資格化して、人間医療と同様に採血や投薬などの医療行為を行えるようにする法律である。一般財団法人動物看護師統一認定機構が指定試験機関となり、遅くとも2023年12月末までに第1回の愛玩動物看護師国家試験が実施される見込みとなっている。同社の動物看護師は既に民間資格を取得しているため、同法によって国家資格への移行がスムーズに進展し、動物看護師活用による獣医師の負担軽減や業務の効率化につながることが期待されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《NB》

 提供:フィスコ

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