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【市況】株価指数先物 【週間展望】 ―週後半がシグナル転換のタイミング、NT倍率修正も意識

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

「週後半がシグナル転換のタイミング、NT倍率修正も意識」

 今週の日経225先物は、週末10日の米国市場の上昇を受け、足元で続く保ち合いレンジ(2万2000~2万2700円レベル)の上限を意識したスタートとなろう。

 10日の米国市場では、ギリアド・サイエンシズによる新型コロナウイルス感染症治療薬「レムデシビル」の良好な治験結果が好材料視され、NYダウは2万6000ドルを回復した。シカゴ日経225先物は大阪比310円高の2万2600円で取引を終えており、週初はこれにサヤ寄せする形になろう。米食品医薬品局(FDA)が警告を出していた抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」について、米政権が推奨を再開しており、引き続き新型コロナウイルス感染症を巡る報道には敏感に反応しやすい状況である。

 また、10日の取引終了後に第1四半期(3-5月)決算を発表した安川電機 <6506> に対する市場反応が注目される。売上高は前年同期比15.5%減の908億円、営業利益は同21.6%減の62.2億円だった。34億円程度とみていた市場予想を上回っており、5Gや半導体向けに主力のサーボモーターが堅調。ハイテクセクターのほか、中国景気底入れへの思惑から中国関連株の支援材料となる可能性がある。

 先週の日経225先物は、指数に連動するETF(上場投資信託)の分配金支払いのための売り需要の影響を大きく受けた。分配金支払基準日であった7月8日と10日は、8日が安値で取引を終えたほか、10日も日銀のETF買い入れ(1002億円)が行われたものの、売り需要(約4000億円)を吸収できずにほぼ安値圏で取引を終えていた。この需給イベントを通過したことで手掛けやすくなりそうだ。

 日銀のETF買い入れについては、前引けのTOPIXが0.30%の下落でも買い入れが行われており、市場関係者からみても買い入れのタイミングが見極めづらくなっている。ランチタイムでの価格推移からこれを探る動きもみられるが、ショート筋にとっては売り仕掛けはしづらいだろう。

 そのため、市場のムードとしては足元の保ち合いレンジからの上放れを意識したスタンスに向かいやすい。ただし、先物の手口は、短期的な売買が中心であり、レンジ上限レベルでの上値の重さが意識されてくるようだと、膠着感が強まりやすくなる。明確にレンジを放れてくるまでは、強弱感が対立しやすいだろう。

 なお、新型コロナウイルス感染症の動向に関する報道のほか、米中関係の行方などについては、指数寄与度の大きい値がさハイテク株に影響を与えやすいため、引き続き注視する必要がある。

 テクニカル面では5日移動平均線、25日移動平均線を挟んでの保ち合いの中、まずは5日移動平均線が位置する2万2450円辺りが支持線として意識されるかを見極めたい。底堅さが意識されてくるようであれば、保ち合いレンジの下限が切り上がることになり、チャート形状ではより煮詰まり感が台頭することになる。

 一目均衡表では雲を上回っての推移が続いているが、遅行スパンは実線を割り込んできており、下方シグナルが点灯している。一方で、基準線、転換線が2万2300円~2万2350円辺りに位置しており、これが支持線として意識される。なお、遅行スパンは週後半には6月半ばの下落時の位置にくるため、基準線、転換線をキープできれば、実線を突破し、上方シグナルを発してくる可能性はある。価格帯別出来高が保ち合いレンジ内で積み上がっており、レンジ突破となればトレンドが出やすい。テクニカルポイントには注視しておく必要があろう

 そのほか、今週は14日、15日に日銀金融政策決定会合が開催されるほか、展望リポートが公表される。大規模な金融緩和策を維持する見通しであり、景気は年後半にかけて持ち直していくというシナリオは維持すると見られ、サプライズは期待しづらい。中国では16日に4-6月期四半期国内総生産(GDP)、6月の小売売上高が発表される。中国市場は足元で強いトレンドをみせていることもあり、支援材料として期待されよう。

 米国では14日にシティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、15日にアルコア、イーベイ、ゴールドマン・サックス・グループ、16日にバンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、マイクロソフト、ネットフリックスの決算発表が予定されている。

 本格化する米決算がレンジ突破のカギとなる可能性があるほか、金融株の上昇が足元で高値を更新しているNT倍率(日経平均÷TOPIX)修正のキッカケになる可能性がある。そのため、TOPIX先物の出遅れ修正も若干意識しておきたいところである。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
6月限 日経225 22,071.46  TOPIX  1550.43
7月限 日経225 22,601.81  TOPIX  1555.00

◆日経225先物9月限(日中)
       始値   高値   安値   清算値 前日比
7月10日日中  22450  22540  22270  22290  -190 
7月9日日中  22500  22670  22440  22480  +110
7月8日日中  22450  22640  22370  22370  -170
7月7日日中  22650  22710  22470  22540  -110
7月6日日中  22260  22710  22240  22650  +370

◇TOPIX先物9月限(日中)
       始値   高値   安値   清算値 前日比
7月10日日中  1551.0  1554.0  1533.5  1539.0 -15.0 
7月9日日中  1555.0  1567.0  1547.0  1554.0 +2.0
7月8日日中  1562.0  1578.5  1552.0  1552.0 -17.0
7月7日日中  1576.0  1577.5  1561.5  1569.0 -3.0
7月6日日中  1551.0  1578.0  1550.0  1572.0 +20.0

●シカゴ日経平均 円建て
         清算値 前日比
7月10日(9月限) 22600 +310
7月9日 (9月限) 22385 -95
7月8日 (9月限) 22495 +125
7月7日 (9月限) 22415 -125
7月6日 (9月限) 22640 -10
※前日比は大阪取引所終値比


□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
      売り     前週末比   買い   前週末比  
7月3日   1兆8447億円  +241億円  3849億円  +60億円
6月26日  1兆8206億円  -672億円  3788億円 +147億円
6月19日  1兆8878億円  -480億円  3640億円 +786億円
6月12日  1兆9358億円 -3999億円  2853億円 -1746億円 
6月5日   2兆3357億円  -896億円  4600億円 -384億円
5月29日  2兆4254億円 -1453億円  4984億円 +317億円
5月22日  2兆5707億円  +732億円  4666億円 +156億円
5月15日  2兆4974億円 +1437億円  4509億円 -681億円
5月8日   2兆3537億円  +687億円  5191億円 +195億円
5月1日   2兆2850億円 -1275億円  4995億円 +223億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
     売り      前日比     買い     前日比 
7月8日   7億6039万株   -643万株  1億8446万株   +842万株
7月7日   7億6682万株   +1290万株  1億7603万株   -2335万株
7月6日   7億5392万株   -257万株  1億9938万株   -126万株
7月3日   7億5649万株    -30万株  2億0065万株   -1453万株
7月2日   7億5680万株   +331万株  2億1519万株   +241万株
7月1日   7億5348万株   +449万株  2億1277万株   -606万株
6月30日  7億4899万株   +988万株  2億1884万株   +1149万株
6月29日  7億3910万株   +777万株  2億0734万株   +1316万株
6月26日  7億3132万株   -275万株  1億9417万株   +438万株
6月25日  7億3408万株   +853万株  1億8978万株   -301万株
6月24日  7億2554万株   -883万株  1億9280万株    +6万株
6月23日  7億3437万株   -881万株  1億9274万株   +541万株
6月22日  7億4319万株   -119万株  1億8733万株    +48万株
6月19日  7億4438万株   +528万株  1億8685万株   +284万株
6月18日  7億3909万株   -1176万株  1億8400万株   -162万株
6月17日  7億5085万株   -757万株  1億8563万株   +1720万株
6月16日  7億5843万株   -1370万株  1億6842万株   +1906万株
6月15日  7億7213万株   +1326万株  1億4936万株   +364万株
6月12日  7億5887万株 -1億3763万株  1億4571万株 -1億2451万株
6月11日  8億9651万株   -2169万株  2億7023万株   -734万株
6月10日  9億1820万株   +2553万株  2億7757万株   +4251万株
6月9日   8億9267万株   +2663万株  2億3505万株   +847万株
6月8日   8億6603万株   -2193万株  2億2658万株   -306万株
6月5日   8億8796万株   -653万株  2億2964万株    +94万株
6月4日   8億9449万株   -1106万株  2億2869万株   +751万株
6月3日   9億0556万株   -2802万株  2億2117万株   -3218万株
6月2日   9億3358万株   -2657万株  2億5336万株   +700万株
6月1日   9億6015万株   -337万株  2億4636万株   -334万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
6月11日 1001億円
6月12日 1001億円
6月18日 1001億円
6月19日 1001億円
6月25日 1001億円
6月29日 1001億円
7月9日  1002億円
7月10日 1002億円

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