【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (24) 急騰・急落の波に乗るための指標を使いこなそう
株価急変時のリスクヘッジも想定した取引手法を活用する
◆マーケットの信号機「デッドクロス」と信用売りの合わせ技
一般に株価が上昇している時、マーケットの地合いは好調なものです。他の投資家が「まだまだ値上がりするだろうから全力買いだ」などと熱くなっている時に、株価が値下がりする可能性を冷静に考えることは難しいと言わざるを得ません。
そのような時に利益確定の売りや信用売りを判断するためには、誰にでも簡単に把握できる「値下がりする可能性を示す売買サイン」が指し示されなければならないでしょう。そこで注目したいのが、移動平均線を使った「売りの候補」です(図2参照)。
図2 「売りの候補」の3つのメニュー
移動平均線は、株価の一定期間の動きを折れ線グラフで表したものです。株価が上昇傾向であるのか、それとも下落傾向なのか、株価のトレンドを表します。「過去●日間の終値の合計÷●日」で求めることができ、チャート分析では期間の異なる複数の線が用いられます。
そして、期間の異なる2本の線が交差する動きにより、売買タイミングを分析することができます。期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を上から下に突き抜けることで表れるシグナルは「デッドクロス」と呼ばれ、一般的に売り場とされています。逆に、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を、下から上に突き抜けることで表れる買いシグナルは「ゴールデンクロス」と言い、買い場とされています。
まずは「テクニカルで探す」の「売りの候補」から、「5日と25日移動平均線のデッドクロス」を見ていきましょう。「5日と25日移動平均線のデッドクロス」では、2本の移動平均線の交差による売りシグナル(デッドクロス)が出現した銘柄を一覧で表示しています(図3参照)。「5日移動平均線」と「25日移動平均線」の組み合わせは最もポピュラーなものであり、この両線の交錯により生じるデッドクロス(ゴールデンクロス)は、売買シグナルとして多くの投資家が共通に認識しているものの一つです。
なお、一覧で銘柄が表示されるとはいえ、株式市場の地合いが悪化し始めた時などはかなりの数になる場合もあるでしょう。これまでご紹介したように、実際に売買を行う銘柄を探す際には、自分が普段から取引している市場から銘柄を選んだ方がよいでしょう。表の上部にある「市場別」と「時価総額別」のフィルターを活用して、銘柄をある程度選別してみましょう。
図3 売りの候補「5日と25日移動平均線のデッドクロス」
「5日と25日移動平均線のデッドクロス」の一覧表で、企業名の右側にある「ブック(本)」のマークをクリックすると、個別銘柄の基本情報ページを表示させることができます。
東亞合成 <4045>の「ブック」マークをクリックしてみましょう。基本情報ページの銘柄欄では銘柄名と証券コードの上(左上)に「貸借」と表示されています(図4参照)。この「貸借」は銘柄によっては「信用」や「現物」と表示が変わります。
信用取引では、信用買いと信用売り(空売り)が行えますが、投資対象を探す際にはその銘柄が「貸借」銘柄であるのかを必ず確認しましょう。「貸借」は「信用買いと信用売りの両方ができる銘柄」、「信用」は「信用買いのみできる銘柄」、「現物」は「現物取引のみができる銘柄」を意味しています。信用売りが可能であるのは「貸借」の表示がある銘柄となります。
図4 個別銘柄の基本情報ページ、「貸借」の表示を確認
基本情報ページの左カラムには、信用取引残高の推移を確認できる「信用取引」の表も掲載されており、信用取引でその株がどのくらい取引されているのかを知ることができます。将来の売り圧力や買い圧力をある程度把握することもできます。
将来の上昇を見込んで信用買いが増えれば買い残が積み上がり、信用倍率も大きくなっていきます。信用買い残が増加するケースでは、目先の相場は強くなるとも考えられますが、いずれは売却される取引ですので、将来、売り圧力の要因になるとも考えられます。
反対に、信用売りが増えれば売り残が積み上がります。空売りが増えれば目先の株価には下落圧力がかかりますが、いずれはそれを買い戻さなければなりませんので、将来の買い需要の要因であるとも考えられます。
このように「5日と25日移動平均線のデッドクロス」で下落する可能性のある「売りの候補」を確認したら、個別銘柄の基本ページに移って信用取引のデータやチャートをチェックします。そのうえで、実際に信用売りを行うことが理にかなうものであるのかを検討しましょう。
株探ニュース
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)
◆マーケットの信号機「デッドクロス」と信用売りの合わせ技
一般に株価が上昇している時、マーケットの地合いは好調なものです。他の投資家が「まだまだ値上がりするだろうから全力買いだ」などと熱くなっている時に、株価が値下がりする可能性を冷静に考えることは難しいと言わざるを得ません。
そのような時に利益確定の売りや信用売りを判断するためには、誰にでも簡単に把握できる「値下がりする可能性を示す売買サイン」が指し示されなければならないでしょう。そこで注目したいのが、移動平均線を使った「売りの候補」です(図2参照)。
図2 「売りの候補」の3つのメニュー
移動平均線は、株価の一定期間の動きを折れ線グラフで表したものです。株価が上昇傾向であるのか、それとも下落傾向なのか、株価のトレンドを表します。「過去●日間の終値の合計÷●日」で求めることができ、チャート分析では期間の異なる複数の線が用いられます。
そして、期間の異なる2本の線が交差する動きにより、売買タイミングを分析することができます。期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を上から下に突き抜けることで表れるシグナルは「デッドクロス」と呼ばれ、一般的に売り場とされています。逆に、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を、下から上に突き抜けることで表れる買いシグナルは「ゴールデンクロス」と言い、買い場とされています。
まずは「テクニカルで探す」の「売りの候補」から、「5日と25日移動平均線のデッドクロス」を見ていきましょう。「5日と25日移動平均線のデッドクロス」では、2本の移動平均線の交差による売りシグナル(デッドクロス)が出現した銘柄を一覧で表示しています(図3参照)。「5日移動平均線」と「25日移動平均線」の組み合わせは最もポピュラーなものであり、この両線の交錯により生じるデッドクロス(ゴールデンクロス)は、売買シグナルとして多くの投資家が共通に認識しているものの一つです。
なお、一覧で銘柄が表示されるとはいえ、株式市場の地合いが悪化し始めた時などはかなりの数になる場合もあるでしょう。これまでご紹介したように、実際に売買を行う銘柄を探す際には、自分が普段から取引している市場から銘柄を選んだ方がよいでしょう。表の上部にある「市場別」と「時価総額別」のフィルターを活用して、銘柄をある程度選別してみましょう。
図3 売りの候補「5日と25日移動平均線のデッドクロス」
「5日と25日移動平均線のデッドクロス」の一覧表で、企業名の右側にある「ブック(本)」のマークをクリックすると、個別銘柄の基本情報ページを表示させることができます。
東亞合成 <4045>の「ブック」マークをクリックしてみましょう。基本情報ページの銘柄欄では銘柄名と証券コードの上(左上)に「貸借」と表示されています(図4参照)。この「貸借」は銘柄によっては「信用」や「現物」と表示が変わります。
信用取引では、信用買いと信用売り(空売り)が行えますが、投資対象を探す際にはその銘柄が「貸借」銘柄であるのかを必ず確認しましょう。「貸借」は「信用買いと信用売りの両方ができる銘柄」、「信用」は「信用買いのみできる銘柄」、「現物」は「現物取引のみができる銘柄」を意味しています。信用売りが可能であるのは「貸借」の表示がある銘柄となります。
図4 個別銘柄の基本情報ページ、「貸借」の表示を確認
基本情報ページの左カラムには、信用取引残高の推移を確認できる「信用取引」の表も掲載されており、信用取引でその株がどのくらい取引されているのかを知ることができます。将来の売り圧力や買い圧力をある程度把握することもできます。
将来の上昇を見込んで信用買いが増えれば買い残が積み上がり、信用倍率も大きくなっていきます。信用買い残が増加するケースでは、目先の相場は強くなるとも考えられますが、いずれは売却される取引ですので、将来、売り圧力の要因になるとも考えられます。
反対に、信用売りが増えれば売り残が積み上がります。空売りが増えれば目先の株価には下落圧力がかかりますが、いずれはそれを買い戻さなければなりませんので、将来の買い需要の要因であるとも考えられます。
このように「5日と25日移動平均線のデッドクロス」で下落する可能性のある「売りの候補」を確認したら、個別銘柄の基本ページに移って信用取引のデータやチャートをチェックします。そのうえで、実際に信用売りを行うことが理にかなうものであるのかを検討しましょう。
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