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【特集】泉州電業 Research Memo(4):2020年10月期第2四半期はコロナの影響等で前年同期比16.1%の営業減益

泉州電 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2020年10月期第2四半期の連結業績
(1) 損益状況
泉州電業<9824>の2020年10月期第2四半期の連結業績は、売上高38,399百万円(前年同期比9.4%減)、営業利益1,804百万円(同16.1%減)、経常利益1,911百万円(同15.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,320百万円(同13.1%減)となった。

減収の要因は主に3つ。1つ目は銅価格の下落(前年同期比10.7%減)により売上高が減少した。2つ目は、米中貿易摩擦の影響により工作機械や自動車関連向けの機器用電線の需要が第1四半期から第2四半期前半に低迷したこと。3つ目の理由は、第2四半期後半に入りコロナの影響で一部の営業活動や出荷が停滞したことによる。銅価格が下がったことで売上総利益率は前年同期の15.7%から16.6%へ上昇したが、売上総利益は6,388百万円(同4.2%減)となり、販管費の増加(同1.5%増)を吸収できずに営業利益は同16.1%減となった。なお販管費の増加分(66百万円)のほとんどは減価償却費の増加(63百万円)であり、その他の経費はほぼ横ばいであった。

期間中の設備投資額は127百万円(前年同期1,257百万円)、減価償却費は291百万円(同234百万円)であった。投資の主な内訳は、旧埼玉営業所隣地取得55百万円、STECビル改修工事36百万円等である。

(2) 財務状況
2020年10月期第2四半期末の資産合計は前期末比1,732百万円減の66,856百万円となった。流動資産は同1,496百万円減の43,015百万円となったが、主に現金及び預金の増加1,351百万円、受取手形及び売掛金の減少2,617百万円、商品の増加58百万円などによる。固定資産は同236百万円減の23,841百万円となったが、主に減価償却費増による有形固定資産の減少122百万円などによる。

負債については、負債合計が前期末比2,173百万円減の26,666百万円となった。流動負債は同2,090百万円減の23,959百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の減少1,905百万円による。固定負債は前期末比82百万円減の2,707百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加33百万円などによる。純資産合計は、主に利益剰余金の増加982百万円などにより、同441百万円増の40,190百万円となった。

2. 2020年10月期第2四半期の商品別概況(単体ベース)
商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。

(1) 機器用・通信用電線
取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は12,709百万円(前年同期比11.7%減)となった。主な向け先が設備投資関連であることから、米中貿易摩擦の影響を受け工作機械向けや自動車関連向けが低調推移した。半導体製造装置関連は第1四半期は比較的堅調であったが、第2四半期に入りコロナの影響を受けて失速した。比較的銅価格の影響は少ないが、数量ベースでも前年同期比で減少となった。

(2) 電力用ケーブル
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、競争も激しく利益率は低い。オリンピック関連施設の竣工などもあり比較的堅調に推移していたが、第2四半期後半(2020年3月中旬以降)はコロナの影響を受け失速した。その結果、売上高は12,583百万円(同6.6%減)となった。

(3) 汎用被覆線
主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられる。電力用ケーブルほどではないが、やはり2020年3月以降コロナの影響が出始めて需要は低調だった。その結果、売上高は3,444百万円(同7.8%減)となったが同様に銅価格の影響を受けやすいので、銅価格の影響を除けば、微減だったと言える。

(4) その他電線
主に中小メーカー向けの銅裸線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。さらに末端での需要そのものも弱含みであったことから、売上高は1,621百万円(同16.4%減)となった。

(5) 非電線
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は比較的小さく相対的に利益率の高い部門である。しかし米中貿易摩擦の影響で設備投資需要が低迷し、売上高は5,538百万円(同11.7%減)となった。

※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。


(6) 子会社の状況
2020年10月期の第2四半期決算においては、単体の決算は発表されていないが、会社は「連結決算において子会社の貢献度が大きくなってきている」と述べており、過去のM&Aの成果が出ていると言えるだろう。今後は子会社群の動向も注視する必要がありそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《ST》

 提供:フィスコ

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